Brush Up! 権利の変動篇
保証の過去問アーカイブス 昭和45年 単純保証
保証に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和45年,1970) |
1.「保証人は,主たる債務者の委託を受けて保証をしたときは,検索の抗弁権を有しない。」 |
2.「未成年が保証人となる場合には,その法定代理人の同意を得ることを要する。」 |
3.「債権者が主たる債務者に対してした時効の中断は,保証人にも及ぶ。」 |
4.「保証人は,主たる債務者と連帯して債務を負担したときは催告の抗弁権を有しない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
1.「保証人は,主たる債務者の委託を受けて保証をしたときは,検索の抗弁権を有しない。」 |
【正解:×】 ◆委託の有無によって,検索・催告の抗弁権に変わりはない 主たる債務者の委託を受けたか受けなかったかで異なるのは,保証人が弁済をしたときに,主たる債務者への求償権の範囲等に差があるだけです。(459条,460条,462条) 主たる債務者の委託があろうとなかろうと,催告の抗弁権,検索の抗弁権とも,保証人は有します。したがって,本肢は×です。 |
2.「未成年が保証人となる場合には,その法定代理人の同意を得ることを要する。」 |
【正解:○】 ◆保証人が未成年 → 未成年側は取消すことができる 保証契約は法律行為であり,保証人になると将来に債務を負担する危険性があるので,未成年者が保証契約を行うときは,法定代理人の同意が必要です。(4条1項) |
3.「債権者が主たる債務者に対してした時効の中断は,保証人にも及ぶ。」 |
【正解:○】 ◆主たる債務者の時効中断は保証人に及ぶ 債権者が主たる債務者に対してした時効の中断は,保証人にも及びます。(457条1項) このようにしておかないと保証債務だけが時効によって消滅することがありえるからです。つまり,主たる債務が消滅しない限り,保証債務も存続することになっています。 ▼保証人の時効中断の効果は主たる債務者に及ばないことに注意。 ⇔ 連帯保証人の時効中断の効果は主たる債務者にも及ぶ。 |
4.「保証人は,主たる債務者と連帯して債務を負担したときは催告の抗弁権を有しない。」 |
【正解:○】 ◆連帯保証人には催告の抗弁権はない 連帯保証には,債権者から見ると,主たる債務者・連帯保証人のどちらからでも自由に選んで弁済を請求できるという性質があります。この点が保証とは異なる点です。 このため,連帯保証人には,催告の抗弁権・検索の抗弁権ともありません。(454条) |