Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
保証債務に関する問題3 昭和60年・問11
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
Aは、宅地建物取引業者Bからマンションを購入し、そのときに、Bの保証を受けてC銀行から金銭を借り入れ、その支払いに充てた。この場合、民法の規定によれば次の記述は、○か、×か。(昭和60年・問11) |
1.「Bの保証債務の対象には、AがC銀行に支払うべき違約金及び損害賠償も含ま
れるが、Bは、自己の保証債務についてのみ違約金又は損害賠償の額を約定する
ことはできない。」(昭和50,58年)
【正解:×】 ◆保証債務の範囲と保証債務の違約金・損害賠償の定め A (主たる債務者) 債務の元本・利息・違約金・損害賠償その他 保証債務について特約がない場合、保証債務の範囲は、主たる債務の元本・利息・債務不履行があったときの違約金、損害賠償その他債務に従うものを含みます。(447条1項) 保証契約は、主たる債務とは別個の契約であることから、保証債務についてのみの違約金や損害賠償額の予定をすることができます。(447条2項) したがって、前半は○ですが、後半が×になります。 |
2.「Bの保証がAの委託を受けてなした連帯保証である場合、C銀行がAに債務の
履行を請求したときは、Aは、『まずBに催告せよ。』とC銀行に請求することができる。」
(昭和58年、昭和63年)
【正解:×】 ◆主たる債務者に、催告の抗弁権はない 保証契約でも、また連帯保証でも、主たる債務者には、催告の抗弁権は認められていない。 なお、保証契約では、保証人に催告の抗弁権は認められていますが、連帯保証では、連帯保証人には催告の抗弁権は認められていません。
▼保証人、連帯保証人とも、同時履行の抗弁権は認められています。 |
3.「C銀行がAに対して債務の履行を請求したときは、Aの債務の消滅時効のみ
ならず、Bの保証債務の消滅時効も中断される。」(関連 :昭和63年)
【正解:○】 ◆保証債務の付従性−主たる債務者への履行請求 A (主たる債務者) Aから履行請求 保証債務では、主たる債務者に時効中断事由が生じると、保証債務にも時効中断の効力が及ぶものとされています(民法457条1項) 債権者からの請求や、債務者の債務の承認は、主たる債務の消滅時効の中断事由にあたるため、保証債務の消滅時効も中断されます。 |
4.「Bは、Aの委託を受けなくても保証をなすことができるが、Aの意思に反して保証
をなすことはできない。」
【正解:×】 ◆主たる債務者の委託がない保証人 A (主たる債務者) 主たる債務者の委託を受けずに、保証人になることも、 例えば、債権者が保証人を指名することもできます。→平成6年出題 ▼主たる債務者の委託を受けないで保証人になった場合や、主たる債務者の意思に反して保証人になった場合は、保証人がその出捐によって保証債務を履行したときに、求償の範囲が制限されます。(利息や損害賠償の範囲など。)(462条) |
■保証債務の随伴性 主たる債務者に対する債権が移転すると、保証人に対する債権もいっしょに移転します。 【債権譲渡】 A (主たる債務者) 債権者Cが、この契約をDに債権譲渡すると、主たる債務者Aが譲受人Dに対して債務履行の責任を負うだけではなく、保証人Bも譲受人Dに対して保証債務を負担することになります。 |
●参考問題 | |||||||||||
1.「保証人に対して債権の譲渡を対抗するには、主たる債務者と保証人に対して、当該債権の譲渡を通知する必要がある。」 | |||||||||||
【正解:×】
譲受人が保証人に対して債権譲渡を対抗するには、主たる債務者に対して債権譲渡の通知をすることが必要です。(大審院・昭和9.3.29) ▼保証人に対して債権譲渡の通知をしても、譲受人は主たる債務者に譲渡を対抗することはできません。
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