Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
保証債務に関する問題4 昭和63年・問9
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
保証債務に関する次の記述は、民法の規定によれば○か、×か。(昭和63年・問9) |
1.「主たる債務が無効であるときは、保証債務も無効である。」(平成6年)
【正解:○】 ◆主たる債務が無効→保証債務も無効 保証債務の付従性 A (主たる債務者) 主たる債務が無効 保証債務は、主たる債務を代わりに弁済するものであるため、主たる債務が成立しなければ保証債務も成立せず、主たる債務が消滅すれば保証債務も消滅します。 したがって、主たる債務が無効であるときは、保証債務も成立しません。 |
2.「主たる債務者の債務承認による時効中断の効力は、保証人には及ぶが、
連帯保証人には及ばない。」(関連 : 昭和60年)
【正解:×】 ◆主たる債務者の債務承認 A (主たる債務者) Cに債務の承認 保証債務では、主たる債務者に時効中断事由が生じると、保証債務にも時効中断の効力が及ぶものとされています(民法457条1項) 主たる債務者に対する履行請求や、主たる債務者の債務の承認は、主たる債務の消滅時効の中断事由になるため、保証債務(連帯保証債務)の消滅時効も中断されます。
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●参考問題 |
保証人Bが、主たる債務者Aの債権者Cに対する債務を承認したとしても、主たる債務の消滅時効は中断しない。 |
【正解:○】 判例
A (主たる債務者) Aの消滅時効は中断しない |
3.「債務者が保証人を立てる義務を負うときは、その保証人は、行為能力者であり、
かつ、弁済の資力のある者でなければならない。」(関連:平成6年) (昭和50年)
【正解:○】 ◆保証人の条件 A (主たる債務者) 保証人を立てる義務があるとき 保証人は特に資格を必要としているわけではありませんが、法律の規定や契約によって保証人を立てる義務があるときには、
が両方とも必要です。(民法450条1項)
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●参考問題 |
保証人が未成年で、法定代理人の同意がないときは、保証人は、その保証契約を取り消すことができる。 |
【正解:○】
A (主たる債務者) 法律の規定や契約によって保証人を立てる義務がないときには、制限行為能力者でも保証人になることができますが、有効な法律行為としての要件を備えることが必要です。 |
4.「保証人(ただし、連帯保証人ではない。)は、債権者から債務の履行の請求を
受けたときは、原則として、まず主たる債務者に催告をするよう請求することができる。」
(昭和58年、昭和60年)
【正解:○】 ◆催告の抗弁権 A (主たる債務者) 保証人は、催告の抗弁権・検索の抗弁権をもちます(民法452条,453条)が、連帯保証人は持ちません。(民法454条) ▼保証人は、主たる債務者の有する抗弁権を援用することもできます。例えば、同時履行の抗弁権を援用することができます。 |
●参考問題 |
保証債務は、主たる債務とは独立した債務であるから、保証人は主たる債務者の有する同時履行の抗弁権を行使することはできない。 |
【正解:×】
A (主たる債務者) 同時履行の抗弁権 保証債務とは、主たる債務の履行を保証するものであるため、主たる債務者の有する抗弁権(主たる債務が履行されるための要件)を主張することができます。 したがって、保証人(連帯保証人)は、主たる債務者の有する抗弁権を行使することができます。 |
●求償権 |
保証人が、主たる債務者に代わって弁済した場合は、主たる債務者に対して求償権をもちます。(民法459条〜464条) 保証人が弁済をするに際して、事前・事後に、主たる債務者に通知をすることが義務づけられています。これを怠ると、求償権の制限を受けることになります。(民法463条1項) → 連帯債務でも、同様のことがありましたね。 |