Brush Up! 権利の変動篇

正解・解説

保証債務に関する問題5


【正解】

×

債務保証に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているのはどれか。

(昭和50年)

1.「主たる債務者が債権者に対して反対債権を有しているときは、保証人は、その

反対債権により相殺をもって債権者に対抗することができる。」(昭和58年、平成6年)

【正解:

◆相殺

     A Cに対して反対債権を有している
   /
              ↓
   \
     B AのCに対する反対債権で相殺によりCに対抗できる

 主たる債務者が債権者に対して反対債権を持っているときは、保証人はこの反対債権を利用して相殺することができます(第457条2項)

しかし、主たる債務者が保証人の反対債権を援用することはできません

2.「保証人の負担が債務の目的又は体様につき、主たる債務より重いときは、保証

債務は、主たる債務の限度に縮減される。」(平成6年)

【正解:

◆保証債務が主たる債務よりも重いときは縮減する

 保証債務は、その目的や体様において主たる債務よりも軽くても構いませんが、重くなってはいけません。

 これに反して、保証債務が主たる債務よりも重くなったときは、保証債務の目的または体様を主たる債務の限度まで縮減されます。(448条)

●参考問題
1.「保証債務は、主たる債務を担保することに意義があるから、保証債務の金額が主たる債務の金額を下回ることは許されない。」     
【正解:×】 

 保証債務は、主たる債務に従たる債務なので、主たる債務よりも重いものであってはならない。しかし、軽いものであることには問題がありません。

 したがって、保証人は、主たる債務者の債務額の全部についてではなく、一部についてのみの保証をすることもできます。    

2.「債権者が主たる債務の弁済期を猶予した場合、保証債務の弁済期も猶予される。」
【正解:

 保証債務の態様は主たる債務の態様よりも重いものであってはいけないので、主たる債務に弁済期の猶予がなされた場合には保証債務の弁済期も猶予されます。 

3.「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他すべて、その

債務に従たるものを包含する。」(昭和58,60年)

【正解:

◆保証債務の範囲

     A 債務の元本・利息・違約金・損害賠償その他
   /
                 ↓     
   \
     B 保証債務の範囲になる

 保証債務について特約がない場合、保証債務の範囲は、主たる債務の元本・利息・債務不履行があったときの違約金、損害賠償その他債務に従うものを含みます。(447条1項)

4.「債務者が保証人をたてる義務を負う場合に要求される要件は、当該保証人が

能力者であること又は弁済の資力を有することのうち、いずれかの条件を具備して

いることである。」(昭和63年)

【正解:×

◆保証人の要件

     A 保証人を立てる義務があるとき
   /
                ↓
   \
     B 能力者 かつ 弁済の資力がある者

 保証人は特に資格を必要としているわけではありませんが、法律の規定や契約によって保証人を立てる義務があるときには、

 1) 能力者であること

 2) 弁済の資力を有すること

 が必要です。この二つとも必要なので、本設問では、「いずれかの条件を具備」となっているため、×になります。(民法450条1項)

 誰が指名するか  保証人
債権者が指名  民法では資格制限なし
主たる債務者が指名 保証人を立てる義務がない  民法では資格制限なし
保証人を立てる義務がある  能力者かつ弁済の資力


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