Brush Up! 権利の変動篇

正解・解説

連帯保証に関する問題1 平成5年・問4 共同保証


【正解】

× × ×

に対して負う1,000万円の債務について,及び連帯保証人となった。
CD間に特約はないものとする)。この場合,次のそれぞれの記述は,民法の規定及び判例によれば○か,×か。(平成5年・問4)

1.「は,1,000万円の請求を,A・C・Dの3人のうちのいずれに対しても,その全額

について行うことができる。」

【正解:

     A (主たる債務者)
   /
  ―C (連帯保証人)     
   \
     D (連帯保証人)

 同一の主たる債務ついて、保証人が数人いる場合を共同保証といいます。これには、三つ類型がありますが、このうち宅建の試験で出ているものは、複数の保証人が通常の保証債務の場合と、連帯保証人である場合の二つです。通常の保証債務の場合は、次のようになっています。

 この、「同一の債務を数人が保証している」とき、各共同保証人は、債務額を全保証人の間で頭割りした部分についてのみ保証債務を負担するのが原則です。(分別の利益)

  しかし、連帯保証人の場合は、保証人の間に連帯の特約がなくてもこの分別(頭割り分)の利益を有しない(民法第458条、434条準用)ため、債権者Bは、A・C・Dのいずれの者に対し、それぞれ全額を請求することができます。 

2.「から1,000万円の請求を受けた場合,は,に対し,に500万円を

請求するよう求めることができる。」

【正解:×

     A (主たる債務者)
   /
  ―C (連帯保証人)  『分別の利益』はない   
   \
     D (連帯保証人)

設問1の解説のように、連帯保証人には分別の利益がない、つまり全額につき責任があるため、「頭割り分をもう一人に請求せよ」とは言えません。 

3.「から請求を受けた場合,に執行の容易な財産があることを証明すれば,

は,まずに請求しなければならない。」

【正解:×

     A (主たる債務者)
   /
  ―C (連帯保証人)  『検索の抗弁権』はない   
   \
     D (連帯保証人)

 保証人の場合には「検索の抗弁権」があり、保証人が、主たる債務者に弁済能力があり、かつ、取立て可能であることを証明すれば、債権者はまず主たる債務者の財産に執行しなければなりません(第453条)。

 しかし、連帯保証人の場合は、この抗弁権もありません(第454条)。

 なお、連帯保証人には、「先に主たる債務者に請求せよ」という「催告の抗弁権」もありません(第452条) 

4.「が1,000万円をBに弁済した場合,は,に対して求償することができるが,

に対して求償することができない。」

【正解:×

     A (主たる債務者)        
   /                    ↑1,000万円求償
  ―C (連帯保証人)  1,000万円全額弁済   
   \                    ↓ 500万円求償
     D (連帯保証人)

 設問1でも解説しましたが、連帯保証人間には分別の利益はなく、各人は債権者に対し全額弁済の義務を負います(第432条)。

 連帯保証人の1人が自己の負担部分を超えて弁済したとき、内部関係としては他の保証人に対し、“連帯債務者”相互と同様の関係が生じ、他の保証人に対して求償することができます。

 この場合、CはAに1,000万円、Dに500万円、求償することができます。ただ、A・Dの2人から1,000万円を超えて償還を受けることはできません。例えば、主たる債務者Aから1,000万円全額の償還を受けた場合は、Dから償還を受けることはできません。

【CからAへの求償は、第459,462条、CからDへの求償は第465条1項,442条1項】

<コメント>

 本問は、条文規定だけではなかなか理解することが難しいかと思います。

 ただし、“連帯債務”と“共同保証”との決定的な違い(頭割りで債務を保証するか否か)と、“共同保証人間”の内部関係は、参考書等でキッチリと整理しておいてください。


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