Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
連帯保証の基本問題2 昭和55年・問9
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
Aは,BのCに対する債務について連帯保証人となった。次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和55年・問9) |
1.「Aが,連帯保証人となった後破産手続開始の決定を受けたとき,AがCの指名した者
であったときでも,CはBに対し,新しい保証人を立てることを請求することができる。」
【正解:×】 ◆債権者の指名した連帯保証人が破産 B (主たる債務者) 債務者が保証人を立てる義務があるときは、保証人が破産手続開始の決定を受けた場合は、『行為能力者で、かつ、弁済の資力を有する者』を新たに保証人に立てるように、債権者は、主たる債務者に請求することができます。(450条2項、1項2号) しかし、債権者が保証人を指名して保証人が破産手続開始の決定を受けた場合は、保証人を代える請求をすることは認められていません。 (450条3項) このことは、連帯保証でも変わらないので、本肢は×になります。 |
2.「CがAに債務の履行を請求してきた際,AはCに対し,まずBに債務の履行を
催告することを請求することができる。」
【正解:×】 ◆連帯保証人には,催告の抗弁権はない B (主たる債務者) 通常の保証債務では、債権者が保証人に債務の履行を請求したときに、「まず主たる債務者に催告せよ」と主張する催告の抗弁権がありますが、連帯保証人には認められていません。(454条) |
3.「BがCに対して債権を有していても,Aはその債権により,相殺をもってCに対抗
することができない。」(昭和52,57)
【正解:×】 ◆連帯保証人は、主たる債務者の反対債権で相殺の援用ができる B (主たる債務者) Cに対して,反対債権をもっている 主たる債務者が債権者に対して反対債権を有している場合、連帯保証人は、その反対債権について相殺を援用することができ、相殺適状であった債権の全額の債務を免れることができます。(457条1項) |
4.「Cが,Aの連帯保証債務を免除したときでも,Bは,その債務を免れない。」
【正解:○】 ◆債権者が連帯保証人の債務を免除 B (主たる債務者) Aが免除されても,Bは債務を免れない Aの連帯保証債務は、BC間の契約に付従するものですが、BC間の契約とはもともと別の契約です。 債権者の、連帯保証人に対する免除は、連帯保証債務の免除としてのものであり、主たる債務そのものを免除するものではありません。 したがって、主たる債務者Bは、連帯保証人Aが債務の免除を受けても、主たる債務を免れることはできません。
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●他人の相殺権の援用(436条2項)、免除(437条)、時効の完成(439条) |
連帯保証人について生じた事由が、主たる債務者には影響しないものとして、他人の相殺権の援用(436条2項)、免除(437条)、時効の完成(439条)、この三つがよく出題されます。 この三つとも、連帯債務と紛らわしいために、よく出題されます。 □他人の相殺権の援用 連帯保証人が債権者に対して反対債権を有している場合に、主たる債務者はその反対債権をもって相殺の援用をすることはできません。 □時効の完成 連帯保証人のために、時効が完成した場合、主たる債務者はこれを援用することができません。 □免除 債権者の、連帯保証人に対する免除は、連帯保証債務の免除としてのものであり、主たる債務そのものを免除するものではありません。 |
●主たる債務者について生じた事由 |
主たる債務者について生じた事由は、通常の保証債務と同じように、ほとんど連帯保証人にも及ぶものと考えていい、と思われます。 □他人の相殺権の援用 主たる債務者が債権者に対して反対債権を有している場合、連帯保証人は、その反対債権について相殺を援用することができ、相殺適状であった債権の全額の債務を免れることができます。(457条1項) □時効の完成 主たる債務者のために、時効が完成した場合、連帯保証人はこれを援用することができます。(判例) 時効の援用によって、連帯保証人は、自らの債務をすべて免れることができます。 |