Brush Up! 権利の変動篇

正解・解説

連帯保証の基本問題3


【正解】

× × ×

Bは,Aから,A所有の不動産を,代金の支払時期及び物件の引渡し時期について特に履行期限を定めずに買い受け,Bの代金支払債務についてCが連帯保証をなした。AがCに対して代金の支払を請求してきた。次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和52年改)

1.「Cは,Aに対して,まずBに請求すべきことを主張することができる。」

【正解:×

◆催告の抗弁権は,連帯保証人にはない

     B (主たる債務者)
   /
      
   \
     C (連帯保証人) Aから履行の請求

 通常の保証債務では、債権者が保証人に債務の履行を請求したときに、「まず主たる債務者に催告せよ」と主張する催告の抗弁権がありますが、連帯保証人には認められていません。(454条)

2.「Aが移転登記をしない場合には,CはAに対して,期間を定めて催告し,期間内

に履行がなされないときは,契約を解除することができる。」

【正解:×

◆連帯保証人は,売買契約の当事者ではないので解除はできない

 売主Aが移転登記をしない場合、買主は、期間を定めて催告し、期間内に履行がなされないときは、契約を債務不履行により解除することができます。(履行期間の定めのない債務の場合は、履行の請求を受けたときから、履行遅滞になります。)

 しかし、契約の解除は、売買の当事者でなければできませんから、Cは保証人なので契約を解除することはできません。

3.「Cは,移転登記と引き換えでなければ代金を支払わない旨主張することができる。」

【正解:

◆連帯保証人にも,同時履行の抗弁権はある−保証債務の付従性

     B (主たる債務者) 同時履行の抗弁権
   /
                      ↓    
   \
     C (連帯保証人)  Cも、移転登記と引き換えに支払うことを主張できる

 保証債務は、その目的が主たる債務の履行を担保するものなので、主たる債務者が有する抗弁権(債務が行使されるための要件)を保証人も主張することができます。

 したがって、保証人は、主たる債務者のもつ同時履行の抗弁権を行使することができます。

 このことは、連帯保証人でも変わらず、本肢の場合、移転登記と引き換えでなければ代金を支払わない旨主張して、Aの代金請求を拒むことができます。 

4.「BがAに対する反対債権を有する場合でも,Cは,Aに対して,その反対債権に

より相殺をもって対抗することができない。」(昭和55,57)

【正解:×

◆連帯保証人は、主たる債務者の反対債権で相殺の援用ができる

     B (主たる債務者) Aに対して,反対債権をもっている
   /
                       
   \
     C (連帯保証人) BのAに対する反対債権により相殺をもって対抗できる

 主たる債務者が債権者に対して反対債権を有している場合、連帯保証人は、その反対債権について相殺を援用することができ、相殺適状であった債権の全額の債務を免れることができます。(457条1項)


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