Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
連帯保証に関する問題2 平成10年・問4
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
AがBに1,000万円を貸し付け,Cが連帯保証人となった場合に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成10年・問4) A(債権者) ― B (主たる債務者) C (連帯保証人) |
1. 「Aは,自己の選択により,B及びCに対して,各別に又は同時に, 1,000万円の
請求をすることができる。」
【正解:○】 ◆債権者の請求 B (主たる債務者) 連帯保証人には催告の抗弁権はないので、債権者Aは、債権回収のため、B、Cどちらに対しても、各別に又は同時に1,000万円の請求をすることができます。 |
2. 「Cは,Aからの請求に対して,自分は保証人だから,まず主たる債務者であるBに
対して請求するよう主張することができる。」
【正解:×】 ◆催告の抗弁権は、連帯保証人にはない B (主たる債務者) 連帯保証人には、「まず主たる債務者であるBに対して請求する」催告の抗弁権(452条)はありません。(454条)検索の抗弁権もありません。 ≪催告の抗弁権のない場合≫ 連帯保証以外のケースとしては、主たる債務者について破産手続開始の決定があったとき、または行方不明のときには、催告の抗弁権はありません。(452条但し書) ≪検索の抗弁権≫ 保証人が「債権者に弁済の資力があり、かつ執行が容易であること」を証明した場合には、債権者はまず主たる債権者の財産について執行しなければならない。(453条) ▼連帯保証人には、この検索の抗弁権がありません。 |
3. 「AがCに対して請求の訴えを提起することにより,Bに対する関係で
消滅時効の中断の効力が生ずることはない。」
【正解:×】 ◆連帯保証人への請求 → 主たる債務者も時効中断 B (主たる債務者) 主たる債務者も消滅時効が中断 債権者の連帯保証人への請求は、主たる債務者にも効力を及ぼすため、債権の消滅時効は中断します。(458条、434条) 連帯保証と消滅時効中断については、時効のBrush Up! 参照。 ≪参考≫ 連帯保証人に生じた事由が主たる債務者に及ぶものとしては、以下のようなものがあります。 履行の請求・履行・相殺・更改・混同 ↑ただし、相殺は、連帯保証人が債権者に対してもっている反対債権によって、連帯保証人本人が相殺を援用して債務を消滅させた場合です。 他人の相殺権の援用とは違うので、注意してください。主たる債務者は、保証人が債権者に対して有している反対債権について相殺を援用することは認められません。(主たる債務者は、保証人に出捐を促すよりもまず先に自らの弁済責任を果たさなければいけません。) |
4. 「CがAに対して全額弁済した場合に,Bに対してAが有する抵当権を代位行使
するためには,Cは,Aの承諾を得る必要がある。」
【正解:×】 ◆弁済による代位−債権者の承諾は要らない B (主たる債務者) 連帯保証人Cは弁済によって主たる債務者Bに対して求償権を取得します。(462条) 連帯保証人は利害関係人であるため、債権者であるAに代位します。(弁済による代位−500条、大審院・昭和9.10.16) この場合、債権者の意思に関係なく、当然に代位します。(法定代位) 債権者Aは、代位者Cに対し代位した権利の行使を容易にならしめる義務も負います。(503条、504条) この代位により、Cの求償債権を担保するため、債権者Aのもっていた抵当権はCに移転し、CはBに対して抵当権を行使することができます。 したがって、Cは、Aの承諾を得る必要はありません。 |