Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
連帯債務に関する問題 平成8年・問4
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
AとBが、Cから土地を購入し、Cに対する代金債務については連帯して負担する契約を 締結した。さらに、AとBの共有持分及び代金債務の負担部分はそれぞれ2分の1とする旨 の約定がある。 この場合、次のそれぞれの記述は、民法の規定によれば○か、×か。(平成8年・問4) |
1.「Cは、AとBに対して、同時に、それぞれ代金全額の支払いを請求することができる。」(平成13年)
【正解:○】 ◆履行の請求 連帯債務とは、連帯債務者の各人が、それぞれ、その債務の全額につき責任を負うものです。 そのため、債権者は、連帯債務者の1人に対し、または同時にもしくは順次に総債務者に対して、全部または一部の履行を請求することができます(民法第432条)。 なお、連帯債務の1人が債務の全部を弁済すれば、その債務者は他の債務者に対して、その負担部分(頭割り分)につき、求償することができます(第442条)。 |
2.「Cが、Aに対し代金の支払いを請求した場合、その効力はBにも及ぶ。」
(昭和59年、平成元年、3年)
【正解:○】 ◆履行請求の効力 A Cから履行の請求 → CからBに対して請求したのと同じ効果 連帯債務者の1人に請求すれば、その効力は他の債務者にも及びます(第434条)。 債権者Cが連帯債務者ABのうち、Aにだけ「支払え」と要求すれば、Bにも要求したことになります。 その結果、Cとの間の時効中断(第147条)が生じるだけでなく、Bに対しても時効が中断します。 履行の請求の結果として他の債務者にも影響が生じるものとしては、時効の中断のほかに、解除権の発生(第541条)、履行遅滞(第412条3項、第415条)がともに生じます。 <コメント> 初学者の方にとっては、まだ学習が進んでいないところにまで言及しましたが、民法が一通り終了したところで、再度読み返していただくと、横断的に整理ができることでしょう。 |
3.「Cが、Aに対して代金債務の全額の免除をした場合でも、Bに対して代金の2分の1の
支払いを請求することができる。」(昭和55年)
【正解:○】 ◆免除 A 負担割合1/2 Cから債務全額の免除 連帯債務者の1人に対する債務の免除があれば、他の債務者に対し、その負担部分につき効力が及ぶため(第437条)、債権者はその負担部分を抜いた残額を、他の債務者に請求することになります。 例えば、ABの連帯債務が1,000万円のとき、ABの負担部分はそれぞれ500万円です。Aが債務全額を免除された場合は、Bは債務の全額からAの負担部分500万円を免れることになり、1,000万円−500万円=500万円 を負担することになります。 <コメント> 「債務者の一人に生じた事由は他の債務者に対しても効力が及ぶ」、これを『絶対的効力』と呼びますが、今回は“免除”について出題しましたが、他の要件に関しても参考所等で関連付けて理解してください(「1000本ノック・民法編」でも解説してあります)。 |
4.「Cが、本件売買契約を解除する意思表示をAに対してした場合、その効力はBにも及ぶ。」
【正解:×】 ◆解除 A Cから解除の意思表示 当事者が数人ある契約を解除するときは、ある者に対して解除となり、他の者に対しては継続するという、複雑な関係となることを避けるため、連帯債務の場合であっても、その全員に対して解除しなければなりません(第544条1項、第440条)。 |