Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
連帯債務に関する問題2 昭和55年・問8
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
買主A、B及びCは、売主Dに対し900万円の連帯債務を負い、3者の負担部分は等しいものとする。次のそれぞれの記述は、民法の規定によれば○か、×か。(昭和55年・問8) |
1.「DがAに対し、その債務を全額免除したとき、B及びCは600万円についてDに
連帯債務を負うことになる。」(平成8年)
【正解:○】 ◆免除 A Dから全額免除 負担部分 300万円→ 負担 0円 連帯債務者の1人Aに対する債務の免除があれば、他の債務者に対し、その負担部分につき効力が及ぶため(第437条)、他の債務者はAの負担部分を抜いた残額の連帯債務を負担することになります。 DがAの債務を全額免除すると、BCは、Aの負担部分300万円だけ債務を免れ、BCは、900万円−300万円=600万円 の連帯債務を負担することになります。 |
2.「Aについて破産手続開始の決定があったとき、DはAの破産財団の配当に900万円をもって加入できる。」
【正解:○】 ◆債務者の1人が破産 A 破産→ 破産財団 債権者は、債務者の全員に対して、誰にいくら請求するかは自由であって、全員に全額請求することも可能です。連帯債務者の1人が破産手続開始の決定を受けてもこのことは変わりません。 債権者は、連帯債務者について破産手続開始の決定があったときも、その債権の全額(ここでは900万円全額)について破産財団の配当に加入できます。(民法441条) ▼この規定は、債権者の保護のためのものです。配当加入に900万円全額というのはおかしいと思うかもしれませんが、配当率を考えるとわかります。配当率が例えば10%だとすれば、900万円×0.1=90万円 の回収になりますが、もし、Aの負担部分300万円しか配当加入できないとすれば、配当率が10%の場合は、300万円×0.1=30万円 しか回収できません。(配当率が10%というのはまず期待できない数字) |
3.「Aが900万円をDに弁済し、B及びCに対し求償したが、Bは無資力であったとき、
CはAに対し450万円償還しなければならない。」
【正解:○】 ◆債務者の1人が無資力 A 900万円全額を弁済 A 負担は 300万円+150万円 連帯債務者の中に、無資力で償還できない者がいるときは、求償した者と残りの債務者との間で、各自の負担割合に応じて無資力者の負担部分を分担して負担します。(444条) したがって、債務者の1人Aが900万円全額を弁済して、他の債務者BCに300万円ずつ求償しようとしたところ、Bが無資力だった場合は、Bの負担部分300万円をAとCとで、ACの負担部分に応じて、半分ずつ、つまり150万円ずつ負担します。(Bの負担部分300万円÷2=150万円) ▼ただし、Bに求償できなくなったのがAが求償する時期を逸したなどAの過失によるときは、AはCに150万円の分担を請求できなくなります。この場合、Cは当初の負担部分だけ償還すればよいことになります。 |
4.「AがDを相続したときは、Aの債務は消滅するが、B及びCは依然として、
900万円についてAに連帯債務を負う。」(平成元年)
【正解:×】 ◆混同 A Dを相続する→混同により、債務は消滅→BCに300万円ずつ求償できる。 債権と債務が同一人に帰したとき、その債権は消滅し、このことを混同と言います。(民法520条) 連帯債務者の1人とその債権者との間に、混同が生じると、その債務者は債務を全額、弁済したものとみなされ、連帯債務は消滅します。(民法438条) Dを相続したAは、債務の900万円を1人で弁済したときに準じて、他の連帯債務者BCに対し、各自の負担部分に応じて償還を求めることができます。 |
■グループでまとめて覚えよう−連帯債務者Aに生じた事由の効力 A (連帯債務者) 負担部分 300万円 □免除、相殺(反対債権を持たない債務者が相殺を援用するとき)、債務者の1人が時効完成
□弁済、混同、更改、
□請求
□債務の承認、時効利益の放棄
このほかには、連帯債務者の1人の契約が無効、連帯債務者の1人に期限の猶予が |