Brush Up! 権利の変動篇

正解・解説

連帯債務に関する問題3  昭和59年・問9


【正解】

× × ×

A及びBは、Cに対して連帯債務を負担している。この場合、民法の規定によれば、次の記述は○か、×か。(昭和59年・問9)

1.「AがCに対して債権を有しており、Cの債権と相殺が可能であるときは、Bは、Aが

相殺を援用しない間は、Aの負担部分についてのみ、相殺を援用することができる。」

(平成13年)

【正解:

◆相殺

     A Cへの反対債権を持っている
   /
  
   \
     B 

 Cから請求を受けたBは、Aが債権者Cに対して反対債権を持っているのに、Aが相殺しない間は、Aの負担部分のみについて、相殺を援用することができます。(436条2項、判例) 

 相殺を援用することによって、債務全額からその相殺分(この場合は、Aの負担部分のみ)を減じた額の連帯債務になります。

例えば、連帯債務が4,000万円のときに、AがCに対して有している反対債権が3,000万円だとします。(AとBの負担割合は同じ1/2とします。)

 BはAの負担割合の2,000万円について相殺を援用することができます。この場合は、

相殺を援用することによって、債権全額4,000万円からその相殺分(この場合は、Aの負担部分の2,000万円)を減じた額2,000万円をABで負担する連帯債務になります。

 4,000万円−2,000万円=2,000万円

2.「CがAに対して履行を請求しても、Cの債権の消滅時効は、Bについては中断され

ない。」(平成元年、3年)

【正解:×

◆債務者の1人に請求すると、他の債務者も消滅時効が中断

     A Cから履行請求→Bに履行請求したのと同じ効果
   /
                   
   \
     B         Bも消滅時効中断

 連帯債務者の1人Aに対する履行の請求は、他の連帯債務者Bに対しても効力を生じ、Bの債務の消滅時効が中断されます。(434条)

3.「AがCに対して債務を承認すると、Cの債権の消滅時効はBについても中断される。」

(平成元年、3年)

【正解:×

◆債務者の1人が承認しても、他の債務者には消滅時効が中断しない

     A 債務を承認 → ほかの債務者の消滅時効は中断しない。
   /
  
   \
     B 

 連帯債務者の1人AがCに対して債務の承認をして消滅時効が中断した(147条3号)としても、他の連帯債務者には効力を生じないのでBの債務の消滅時効を中断しません。(440条)

4.「Aについて時効が完成しても、Bは債務の全部を履行しなければならない。」(平成3年)

【正解:×

◆時効の完成した債務者の負担部分を引いたものが連帯債務になる

     A 消滅時効の完成
   /
  
   \
     B 

 連帯債務者の1人Aのために消滅時効が完成したときは、他の債務者は、Aの負担部分だけ債務を免れます(439条)

例えば、連帯債務が4,000万円のときに、Aについて消滅時効が完成した場合(AとBの負担割合は同じ1/2とします。)

 BはAの負担割合の2,000万円について時効の完成を援用することができます。

債権全額4,000万円からAの負担部分の2,000万円を減じた額2,000万円を負担することになります。

 4,000万円−2,000万円=2,000万円


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