Brush Up! 権利の変動篇

保証に関する基本問題 単純保証


保証債務に関する次の記述は,民法の規定及び判例によれば,○か×か。

1.「保証債務は,債権者,主たる債務者,保証人の三者の合意による保証契約で成立する。」

2.「保証人は,主たる債務者の債務額の全部についてではなく,一部についてのみの保証をすることはできない。」

3.「主たる債務がなければ保証債務は成立しないため,まだ現実に発生していない将来の債務を主たる債務として保証契約を締結することはできない。」

4.「債権者が主たる債務者に請求したが弁済を得られなかったので保証人に請求した場合,もはや保証人は弁済を拒むことはできない。」

【正解】

× × × ×

1.「保証債務は,債権者,主たる債務者,保証人の三者の合意による保証契約で成立する。」

【正解:×

◆保証契約の当事者

 保証債務は,債権者と保証人になろうとする者の合意による保証契約で成立します。

2.「保証人は,主たる債務者の債務額の全部についてではなく,一部についてのみの保証をすることはできない。」

【正解:×

◆主たる債務の債権額の一部の保証

 主たる債務者の債務額の全部についてではなく,一部についてのみの保証をすることもできます。

3.「主たる債務がなければ保証債務は成立しないため,まだ現実に発生していない将来の債務を主たる債務として保証契約を締結することはできない。」

【正解:×

◆将来の債務に対する保証

 将来の債務を主たる債務として保証契約を締結することもできます。

●類題

1.「は,に対する1,000万円の債務について,保証人となる契約を,と締結した。に対する債務が条件不成就のため成立しなかった場合,は,に対して保証債務を負わない。」(平成6年・問9)

【正解 :

 保証債務は主たる債務に附従するものなので,主たる債務が条件不成就のため成立しなかった場合,保証人は債権者に対して保証債務を負いません。

4.「債権者が主たる債務者に請求したが弁済を得られなかったので保証人に請求した場合,もはや保証人は弁済を拒むことはできない。」

【正解:×

◆検索の抗弁権

 本肢は意外にヒッカカル問題です。

 債権者が主たる債務者に請求したが弁済を得られなかったので保証人に請求した場合でも,保証人は,『主たる債務者に弁済の資力があり,かつ執行が容易であること』を証明すれば,債権者は保証人より先に主たる債務者の財産について執行しなければいけません。(453条)


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