Brush Up! 権利の変動編
借地権の基本問題 定期借地権
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | ○ |
一般定期借地権 | ・50年以上の存続期間
・この特約は公正証書など書面によってしなければならない ・建物買取請求権はない。 (建物を撤去し更地に戻して土地の所有者に返す。) (借地契約終了後、借地上に建物が存続する場合でも、 |
事業用定期借地権 | ・10年以上50年未満
・事業の用に供し、居住用はダメ。 ・公正証書による設定契約をしなければならない ・建物買取請求権はない。 (建物を撤去し更地に戻して土地の所有者に返す。) (借地契約終了後、借地上に建物が存続する場合でも、 |
建物譲渡特約付借地権 | ・30年以上
・書面で締結しなくてもよい。 ・契約期間終了により建物は譲渡される。 |
次のそれぞれの記述は、借地借家法の規定によれば○か、×か。 |
1.「専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く)の所有を目的とし、かつ、
存続期間を10年以上50年未満とする借地権を設定するとき、存続期間満了時に更新は
できず、また買取請求もしない旨を定めることができるが、その設定特約は公正証書に
よらなければならない。」
【正解:○】
◆事業用定期借地権 「事業用定期借地権」といい、存続期間は10年以上50年未満であって、居住の安定性が損なわれるため居住用は除かれ、また事業用かどうかの確認のため、又更新されないという意思の確認のために、公正証書(証拠力が極めて強い)によらなければなりません(第23条1項、2項、3項)。 この事業用借地権は、経済的寿命が比較的短いと考えられる、郊外型のレストランや中古車センターその他のために利用されていることが多いのですが,平成19年改正によって50年未満にまで存続期間が延ばされました。 なお参考までに、事業用借地契約が公正証書によらずに設定されたとき、事業用借地権としてその効力を生じません(第23条3項)。
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2.「存続期間を30年以上として借地権を設定するとき、存続期間を経過した日に、借地
権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定める
ことができるが、その特約は口頭ですることもできる。」
【正解:○】
◆建物譲渡特約付借地権 「建物譲渡特約付借地権」といわれるもので、30年以上の約定期間で、建物は借地権設定者に相当の対価(時価)で買い取られて、借地関係は自動的に終了するという制度であり、以降は更新の問題は生じないため、契約の方式は規定されてなく(第24条各項)、したがって、実務上はともかく、法律上においては口頭でも有効です。 なお、当該借地権の消滅後に継続使用している借地権者から請求があれば、一定の場合を除き、“期間の定めのない賃貸借がなされた”ものとみなされます(第24条2項)。 |
3.「存続期間を50年以上として借地権を設定するとき、存続期間満了時に契約の更新
及び建物の築造による存続期間の延長がなく、また買取請求をしない旨の特約を定め
ることができるが、その特約は公正証書による等書面によってしなければならない。」
【正解:○】
◆一般定期借地権 「一般定期借地権」といわれるもので、50年以上に定めた期間で打ち切られ、更新及び買取請求もできず、また明渡しが50年以上も先という普通借地権とは異なるタイプの借地権であり、当事者間の意思の確認のためと、後々のトラブル予防のため、その特約は公正証書に限定はされませんが、少なくとも書面によらなければなりません(第22条)。 なお参考までに、当該契約が口頭でなされた場合、「更新できない旨の特約」及び「買取請求ができない旨の特約」は“無効”となり、50年以上の普通借地権が設定されたことにみなされ、さらに期間も定めなかった場合は、30年の普通借地権が設定されたものとみなされます(第3条)。
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4.「臨時設備の設置、その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合
であっても、この法律の規定が適用される。」
【正解:○】イジワル問題
◆臨時設備の設置、その他一時使用のために借地権を設定 臨時設備の設置、その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合、 ・第3条及び第4条の「借地権の存続期間等」 ・第5条の「更新規定」 ・第13条の「期間満了後の買取請求」 ・第17条、18条の「増改築・再築」 など借地借家法の特有規定は適用されませんが、 ・第10条の「借地権の対抗力」、第11条の「地代等増減請求権」 ・第12条の「借地権設定者の先取特権」 などの規定は適用されます(第25条)。 ▼一時使用目的の借地権が適用されるものの具体例 選挙事務所・工事現場の事務所・海の家など ▼一時使用目的の借地権でも、「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう」という第2条の定義に含まれます。この「一時」が具体的にどのくらいの期間を示すのかは明確なものではありません。
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