Brush Up! 権利の変動篇 

借家に関する問題 借賃増減請求権・賃貸人の修繕義務・借賃の支払い時期


が、その所有する甲建物をに賃貸することに関する次のそれぞれの記述は、民法及び借地借家法の規定によれば○か、×か。

1.「は甲建物の使用及び収益に必要な修繕をなす義務を負い、またが甲建物の保存に必要なる行為をするとき、は拒むことができない。」

2.「甲建物の借賃の支払い時期は、毎月末までに来月の1カ月分を支払うものとするが、特段の定めがなければ、は複数月分を前もって支払うこともできる。」

3.「甲建物の一部がの過失によらずに滅失したとき、は、その滅失した部分の割合に応じて借賃の減額を請求でき、その残存部分のみでは借りた目的を達成できない場合、は、当該契約を解除することができる。」

4.「当該契約が、公正証書による等書面によって、契約の更新がない旨を定めたものであるとき、契約期間中における賃料は一切増額しない、若しくは減額しない旨の定めをすることもできる。」

【正解】

×

1.「Aは甲建物の使用及び収益に必要な修繕をなす義務を負い、またAが甲建物の保存

に必要なる行為をするとき、Bは拒むことができない。」

【正解:

 賃貸人Aは甲建物の使用及び収益に必要な修繕をなす義務を負い、また、Aが甲建物の保存に必要な行為をするとき、賃借人Bは、これを拒むことはできません(民法第606条1項、2項)。

≪補足≫

 この条文には続きがあります。

 賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、賃借人がこれによって賃借目的が達成できないときには、賃借人は契約の解除をすることができます。(民法第607条)

  前条で賃借人が賃貸人の保存行為受容義務を負う不利益を考慮した、バランスのある条文構成になっています。

2.「甲建物の借賃の支払い時期は、毎月末までに来月の1カ月分を支払うものとするが、

特段の定めがなければ、Bは複数月分を前もって支払うこともできる。」

【正解:×

 建物の借賃の支払い時期は「民法の規定」によれば、毎月末(当月末)です(民法第614条)。

 なお、この規定は任意規定なので、当事者間の合意があれば、別段の定めをすることもできるため、慣習的に前家賃制度が多く取り入れられています。しかし、問題冒頭の指定は「民法及び借地借家法の規定によれば」となっており、実務や商慣習にしたがって答えると誤った答えを導くことになりますので注意が必要です。

3.「甲建物の一部がAの過失によらずに滅失したとき、Bは、その滅失した部分の割合に

応じて借賃の減額を請求でき、その残存部分のみでは借りた目的を達成できない場合

Bは、当該契約を解除することができる。」

【正解:

 甲建物の一部が、過失によらず滅失したとき、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、借賃の減額を請求でき、残存部分のみでは借りた目的を達成できない場合、契約解除もできます(民法第611条1項、2項)。

4.「当該契約が、公正証書による等書面によって、契約の更新がない旨を定めたもので

あるとき、契約期間中における賃料は一切増額しない、若しくは減額しない旨の定めをす

ることもできる。」

【正解:

 当該契約が、公正証書による等書面によって契約の更新がない旨を定めたもの、つまり「定期建物賃貸借」であるときは、借賃増減請求権の規定は適用されない(借地借家法第38条7項)ため、当該契約期間中における賃料は一切増額しない旨の定め、若しくは減額しない旨の定めもできます。


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