Brush Up! 権利の変動篇

不動産登記法 共有と登記 


共有と登記に関する次の記述は,○か,×か。

1.「不動産を数人で買い受けて共有とする場合でも,持分を平等とするときは,所有権移転の登記には,持分の記載はされない。」

2.「土地の登記記録の表題部に被相続人が所有者として記載されている場合において,その相続人が複数あるときは,共同相続人の1人は,自己の持分についてのみ所有権保存の登記を申請することができる。」

3.「共有名義の土地の地目変更の登記は,共有者全員で申請しなければならない。」

4.「所有権の登記名義人が異なる土地を合併して共有地とする合筆の登記をすることはできない。」

【正解】

× × ×

1.「不動産を数人で買い受けて共有とする場合でも,持分を平等とするときは,所有権移転の登記には,持分の記載はされない。」(昭和62年・問16)

【正解:×

◆持分の記載

 権利に関する登記では,登記名義人が2名以上のときは当該権利の登記名義人ごとの持分は登記事項になっています(不動産登記法・59条4号)

 したがって本肢は×です。

2.「土地の登記記録の表題部に被相続人が所有者として記載されている場合において,その相続人が複数あるときは,共同相続人の1人は,自己の持分についてのみ所有権保存の登記を申請することができる。」(平成12年・問14)

【正解:×

◆共同相続人の1人からの申請

 登記簿の表題部に被相続人が所有者として記載されているということは,まだ所有権保存登記がなされていないわけですが,相続人が複数あるときに,共同相続人はどのように所有権保存登記をするのでしょうか?

 まず,相続人は,被相続人が所有者として記載されているときに,被相続人名義,相続人名義のどちらででも,所有権保存登記ができます(昭和39.9.18民甲232号回答)

 本肢では,相続人名義で,所有権保存登記する場合です。

 このほか次の先例があります。

●登記先例
共同相続人(共有者)の1人は,

  全員のための所有権保存登記の申請は共有財産の保存行為として,
  できる(民法252条の保存行為)(明治33.12.18民刑1611号民刑局長回答)

  自己の持分のみについて所有権保存登記の申請をすることはできない
                       (明治32.8.8民刑1311号民刑局長回答)

●類題

1.「表題部に所有者として記載された者が死亡し,共同相続があった場合,各共同相続人が各別に自己の持分のみにつき保存登記を申請することはできない。」(司法書士・昭和60年)

【正解:
●所有権保存登記
(所有権の保存の登記)
第74条
 所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。

一  表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人

二  所有権を有することが確定判決によって確認された者

三  収用(土地収用法 (昭和26年法律第219号)その他の法律の規定による収用をいう。第118条第1項及び第3項から第5項までにおいて同じ。)によって所有権を取得した者

2  区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。

3.「共有名義の土地の地目変更の登記は,共有者全員で申請しなければならない。」(平成8年・問15)

【正解:×

共有の土地の地目の変更

 地目又は地積について変更があったときは,表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に,当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければなりません(不動産登記法・37条1項)

 地目又は地積に変更があった土地が共有地の場合,土地の地目・地積の変更の登記申請をすることは共有物の保存行為に該当するので,共有者の1人から単独で申請することができます。(民法252条但書) → 共有

 したがって,共有者全員で申請しなくてもよいので,本肢は誤りです。

●類題

「共有に属する土地の地目が変更した場合には,共有者の1人が単独で地目の変更の登記をすることができる。」(土地家屋調査士・昭和56年)

【正解:
●地目の変更
(地目又は地積の変更の登記の申請)
第37条  地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。

2  地目又は地積について変更があった後表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。

4.「所有権の登記名義人が異なる土地を合併して共有地とする合筆の登記をすることはできない。」(平成11年・問11)

【正解:

◆合筆禁止−所有権の登記名義人が異なる土地

 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地は当然,常識的に土地の合併はできないと判断できます。以下のものもこれに準じて禁止されています。

土地の表題部に記載された所有者土地の所有権保存登記の登記名義人が同一でも土地の合併はできない。

 (表題部に所有者として記載されていても,権利の登記は任意なので,実際の所有者が表題部に記載されている所有者と異なる場合があり得る。)

持分の異なる共有地も土地の合併はできない(不動産登記法41条4号)

 例・甲地は 1/3,2/3 とする共有の持分の登記があるが,乙地はAB共有の登記はあってもその持分の記載がない。

●共有物の保存・管理・変更
 保存行為  共有物の現状を維持する行為  単独でできる
 管理行為  使用方法の協議

 利用行為 (収益を図る)

 改良行為 (経済的価値を増加)

 共有者の持分の価格に従い,

 その過半数で決定する

 変更行為  物理的な変更

 法律的な処分

 全員の同意が必要

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