Brush Up! 権利の変動篇
地上権・地役権の過去問アーカイブス 昭和56年・問4
地上権または地役権に関する記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和56年・問4) |
1.「地下または空間は,地上権の目的とすることができない。」 |
2.「地役権者は,地役権の設定行為で定めた目的に従って他人の土地を自己の土地の便益に供することができる。」 |
3.「地役権は,要約地から分離して譲渡することができない。」 |
4.「地上権は,設定契約によって成立するほか時効によって取得されることがある。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
1.「地下または空間は,地上権の目的とすることができない。」
【正解:×】 ◆地下,空間の地上権 近年の建築土木記述の進歩や市街地価格の高騰などにより、他人の土地の上下に、モノレール・空中廊下・地下鉄・地下商店街などの需要があり、それ等の需要に効率的に応えられるように、地下でも空中でもその範囲を定めて、地上権の目的とすることができます。(民法269条2項、昭和41年に追加) |
2.「地役権者は,地役権の設定行為で定めた目的に従って他人の土地を自己の土地
の便益に供することができる。」
【正解:○】 ◆地役権の内容 本肢は、民法280条ソノママ抜書きしたものです。 「定めたる目的」とは、通行、引水、眺望、日照、送電線架設などのためにできるということです。便益に民法上の制限はありませんが、第3章(所有権・第1節の(所有権の限界、206条〜238条公の秩序に関する規定し |
3.「地役権は,要約地から分離して譲渡することができない。」
【正解:○】 ◆地役権は要役地に付従する 要役地から分離して地役権を譲渡することはできません。(281条2項) 要役地の所有権が移転すれば、特約がない限り、地役権も移転します。(281条1項) 地上権や賃借権、永小作権を設定した場合にも、それらの権利者は地役権を行使できます。 ▼承役地の所有権が移転したときに、要役地の所有者が通行地役権を主張するには、地役権の登記を必要とします。 |
4.「地上権は,設定契約によって成立するほか時効によって取得されることがある。」
【正解:○】 ◆時効による地上権の取得時効 地上権は、原則として、地主と土地の利用者との間で地上権設定契約によって設定されますが、時効によっても取得されることもあります。(163条) |