Brush Up! 権利の変動篇

地役権の過去問アーカイブス 昭和58年・問4 共有と分割


地役権に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和58年・問4)

1.「地役権は,設定行為のほか時効によっても取得しうる。」

2.「要役地の共有者の1人は,その持分について,その土地のために存する地役権を消滅させることができる。」

3.「承役地の共有者の1人は,その持分について,その土地の上に存する地役権を消滅させることはできない。」

4.「地役権は,承役地が分割又は一部譲渡された場合には,原則としてその各部分の上に存する。」

【正解】

×

1.「地役権は,設定行為のほか時効によっても取得しうる。」

【正解:

◆地役権の時効取得

 地役権が、

  ・継続(長年に渡り)

  ・かつ表現(通路の架設等)

できるものであれば、時効取得することができます。(283条)

2.「要役地の共有者の1人は,その持分について,その土地のために存する地役権を

消滅させることができる。」

【正解:×

地役権の共有と不可分性

 要役地または承役地の共有者の1人は、自己の持分について地役権を消滅させることはできません。(民法282条1項)

 民法では、できるだけ地役権を存続させようとしています

3.「承役地の共有者の1人は,その持分について,その土地の上に存する地役権を

消滅させることはできない。」

【正解:

地役権の共有と不可分性

 要役地または承役地の共有者の1人は、自己の持分について地役権を消滅させることはできません。(民法282条1項)

 民法では、できるだけ地役権を存続させようとしています

上の肢2とこの肢3はワンセットになっていますが、このような出題は今後は見込めないと思われます。

4.「地役権は,承役地が分割又は一部譲渡された場合には,原則としてその各部分

の上に存する。」

【正解:

承役地が分割又は一部譲渡された場合

 承役地が分割又は一部譲渡された場合には,地役権は、原則としてその各部分の上に存在します。(民法282条2項)

 → 要するに、承役地が分割されても、又は一部譲渡されても、地役権はそれらの土地の全てに存在するということです

 「原則として」とあるのは、例えば、承役地の一部のみに地役権が設定されているようなときに、地役権が設定されていた土地と地役権が元々設定されていなかった土地とに、承役地を分割した場合は、元々地役権が設定されていた土地のみに以後地役権が存在することにしているからです。


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