Brush Up! 権利の変動篇
地上権の過去問アーカイブス 昭和59年・問3
地上権に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和59年・問3) |
1.「地上権は,地主との契約により設定されるほか,時効によっても取得されることがある。」 |
2.「地上権は,抵当権の目的とすることができない。」 |
3.「地上権者が地主に対して定期の地代を支払うべきときに,2年以上その支払いを怠ったときは,地主は,地上権の消滅を請求することができる。」 |
4.「土地とその上にある建物が同一所有者に属する場合,その建物のみを抵当としたときは,抵当権設定者は,競売の場合に,地上権を設定したものとみなすことができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「地上権は,地主との契約により設定されるほか,時効によっても取得されることが
ある。」
【正解:○】 ◆時効による地上権の取得時効 地上権は、原則として、地主と土地の利用者との間で地上権設定契約によって設定されますが、時効によっても取得されることもあります。(163条) 地上権や永小作権は、これらの権利を自己のためにする意思をもって平穏かつ公然に行使していれば、所有権に準じて10年または20年で時効取得できます。 ▼地役権では、継続(時間的に継続)かつ表現(外形的事実を伴っていること)のものに限り、時効取得できることになっています。 |
2.「地上権は,抵当権の目的とすることができない。」
【正解:×】 ◆抵当権の目的となる地上権 抵当権を設定できる目的物は、原則として不動産(土地・建物)ばかりでなく、地上権や永小作権にも認められています。(369条2項) 地役権には抵当権が設定できませんが、本肢はそれと混同している人を落とし穴に入れようとしています。 |
3.「地上権者が地主に対して定期の地代を支払うべきときに,2年以上その支払い
を怠ったときは,地主は,地上権の消滅を請求することができる。」
【正解:○】 ◆定期地代の滞納による地上権の消滅 地上権者が定期の地代を支払うべき契約(地上権の設定には他に無償契約や一括払い契約もあります)のとき、引き続き「2年以上」地代を滞納したとき、地上権設定者は地上権の消滅を主張することができます。(266条、276条準用) |
4.「土地とその上にある建物が同一所有者に属する場合,その建物のみを抵当と
したときは,抵当権設定者は,競売の場合に,地上権を設定したものとみなすことが
できる。」
【正解:○】 ◆法定地上権 土地とその上にある建物が同一所有者に属する場合,その土地のみ、又は、その建物のみについて、抵当権を設定したときは、抵当権設定者は,抵当権が実行されたときに(競売の場合),地上権を設定したものとみなすことができます。(388条) |