Brush Up! 権利の変動篇

地上権の過去問アーカイブス 昭和63年・問5


地上権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば誤っているものはどれか。(昭和63年・問5)

1.「地上権は,不動産に関する物権の一つであるから,その設定及び移転は,登記をしなければ,効力を生じない。」

2.「地上権者は,土地の所有者の承諾がなくても,その土地を他に転貸することができる。」

3.「地上権は,抵当権の目的とすることができる。」

4.「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において,その土地のみを抵当としたときは,抵当権設定者は,競売の場合に地上権を設定したものとみなされる。」

【正解】

×

1.「地上権は,不動産に関する物権の一つであるから,その設定及び移転は,登記を

しなければ,効力を生じない。」

【正解:×

◆第三者への対抗要件としての登記

 地上権の設定および移転は意思表示のみで効力を生じます(176条)
地上権も、登記をしなければ、第三者に対して対抗力はありません。(177条)

 この二つを混同しないようにしましょう。

2.「地上権者は,土地の所有者の承諾がなくても,その土地を他に転貸することができる。」

【正解:

◆物権としての地上権

 地上権は物権なので、土地所有者の承諾なしに、自由に地上権を譲渡したり、転貸することができます

3.「地上権は,抵当権の目的とすることができる。」

【正解:

◆抵当権の目的となる地上権

 抵当権を設定できる目的物は、原則として不動産(土地・建物)ばかりでなく、地上権や永小作権にも認められています。(369条2項)

4.「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において,その土地

のみを抵当としたときは,抵当権設定者は,競売の場合に地上権を設定したものと

みなされる。」

【正解:

◆法定地上権

 土地とその上にある建物が同一所有者に属する場合,その土地のみ、又は、その建物のみについて、抵当権を設定したときは、抵当権設定者は,抵当権が実行されたときに(競売の場合),地上権を設定したものとみなすことができます。(388条)

 その土地のみ→昭和63年、その建物のみ→昭和59年


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