Brush Up! 権利の変動編

正解・解説

質権・留置権・先取特権に関する基本問題


【正解】

×

1.「留置権者は、留置物の保管につき、自己の財産における同一の注意をもって

留置物を占有することを要す。」(昭和49)

【正解:×

留置物は他人の所有物(人様のモノ)なので、自己の物と同一の注意義務ではなく、

より大切に扱う「善良なる管理者の注意義務」が要求されます

2.「先取特権者は、債務者の財産につき、他の債権者に先立ち自己の財産の弁済

を受ける権利をもっている。」

【正解:

債権者は平等な立場が原則ですが、先取特権という特別な債権を持っている者は、

他の者に先立ち弁済を受けることができます

●先取特権の法改正
 306条308条の改正により,先取特権によって担保される労働債権の種類や範囲が商法295条1項に合わせる形で拡大されました。

306条 2号 雇用関係 〔改正前は 雇人の給料

308条 雇用関係の先取特権は,給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基き生じたる債権につき存在す。〔改正前は 雇人が受けるべき最後の6个月間の給料

3.「不動産売買の先取特権は、売買契約と同時に一定の事項を登記することによって、

その効力を保存する。」(昭和46年)

【正解:

 不動産売買の先取特権は、売買契約と同時に、未だ代金や利息の弁済がない旨を登記することによって、その効力を保存します。(民法340条)

先取特権と登記

一般の先取特権

 一般の先取特権は、不動産について登記がなくても一般債権者に対抗できます。しかし、登記をした第三者に対しては、登記のない一般の先取特権は対抗できません

抵当権に優越する先取特権

不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権はこれより先に登記されていた抵当権に対しても優先します。(民法337条-不動産保存の先取特権の登記-、338条-不動産工事の先取特権の登記-、339条-前2条の先取特権は抵当権より優先される-)

売買による先取特権では、登記の先後によることに注意してください。

4.「不動産質権者は、質権の目的となっている不動産の用法に従い使用・収益でき

るが、別段の定めがないかぎり、その債権の利息までは請求できない。」(昭和52年・改)

【正解:

 不動産質権者は、目的不動産を使用収益することができ(耕作して果実を売る等)、

その利益は利息に相当すると考えられるため、特約等がなければ、利息の請求は

できません。(民法358条,359条)

●不動産質権の法改正
 359条の改正により,以下の三つは,別段の定め以外に「目的不動産に担保不動産収益執行が開始された」ときにも適用されなくなりました。

 ・不動産質権者は用方に従い,使用収益できる。(356条)

 ・不動産質権者は管理費用を負担する。(357条)

 ・不動産質権者は利息をとることができない。(358条)

 担保不動産収益執行では,裁判所が選任した管理人が目的不動産を管理し,収取した収益・換価代金から必要費用を支払ってから配当等を実施することになっているためです。

5.「不動産質権の設定契約は、目的物の引渡しによって効力を生ずるが、第三者に

対する対抗力は登記によって生じる。」(昭和46年)

【正解:

 質権とは、債権者がその債権の担保として債務者または物上保証人から受け取ったものを、債務の弁済があるまで留置しておいて、債務が弁済されない場合には、その物から優先弁済を受けられる権利です。(民法342条)

 質権の設定は、債務者が質権の目的物を債権者に引き渡すことによってその効力を生じますが(民法344条)、その対抗力は登記をしなければ生じません。(民法177条)

●過去問・類題
1.「不動産に関する質権の第三者に対する対抗手段は、質物たる当該不動産を質権者が継続して占有することである。」(昭49)

【正解:×

●債権質の法改正
 363条 債権にしてこれを譲渡すにはその証書を交付することを要するものを以って質権の目的と為すときは質権の設定はその証書の交付を為すに因りてその効力を生ず。

 改正前,債権に質権を設定する場合は,その債権について証書があれば,その証書を交付することが質権設定の効力発生要件でしたが,この規定が一部の債権を除いてなくなりました。債権証書といっても何が該当するものなのか不明瞭なものが多く,この規定によりトラブルになるケースが多かったためです。

 ただし,債権を譲渡するときに証書の交付が必要な債権〔手形債権など〕は改正前どおりです。〔手形債権などは債権の証書の引渡しによって質権設定の効力が発生する。〕


担保物権のトップに戻る

Brush Up! 権利の変動に戻る