民法で，先取特権・不動産質権・債権質・抵当権・根抵当権等の担保物権について，平成15年８月１日に公布された改正があります。施行日は平成16年４月１日です。(不動産登記法も関連して改正されています。)

　この領域は、宅建の出題分野としてはマイナーな分野ですが、近年賃貸借とのからみでよく出題されているところなので要注意。

▼抵当権以外の担保物権　質権・留置権・先取特権が出題されています。昔は、担保物権の基本的な知識を問う出題でしたが、近年は事例問題で、背景は不動産の賃貸借になっています。借地借家法の問題の肢問として出題も可能な分野です。本節は、担保物権の基本的な性質を事細かに見ていくというところではなく、宅建試験という性格から見て出題範囲は限られていると思われます。

　平成９年 …留置権、平成10、13、14年…質権、平成12年…先取特権、

▼そのほかの物的担保　買戻し特約付売買(昭和61年,平成３年)、仮登記担保(昭和54年,63年)、譲渡担保(昭和47年)、所有権留保(宅建業法43条により、宅建業者が所有権留保での売主になることは禁じられています)などの物的担保がありますが，最近は出題されていません。

　売渡担保…買戻し特約付売買(579条〜)・再売買予約(556条)による。売主(債務者)は一定期間内に代金を買主(債権者)返済すれば目的物を取り戻すことができる。債務者が取り戻すのは，買戻しでは契約の解除(留保していた解除権の行使による)，再売買予約では再売買(予約完結権の行使による)という形式をとる。

　譲渡担保…法令上の制限の平成６年問18肢４に、国土利用計画法の届出義務があるかどうか問う問題で、イキナリ出題。債務者が、金銭債権の担保として、目的物の所有権を融資者に一旦は移転し、金銭債権を弁済したら、その目的物の所有権を融資者から戻してもらう、というのが譲渡担保です。〔譲渡担保権設定者は設定後も使用収益を続けることができるというのが買戻しと違うところです。〕

　この譲渡担保は、民法の条文にはなく、判例によって認められたものです。民法の問題としては、昭和47年に、譲渡担保についての単独問題がありました。

　仮登記担保…「仮登記担保契約に関する法律」(昭和53年法律78号)の規定による。

　所有権留保…民法には規定がなく，判例・学説により物的担保として認められています。所有権留保は家電や車などの動産の割賦販売で多く使われていました。

2004/05/05　譲渡担保の過去問　(４問)★★　昭和47年

2004/05/05　仮登記担保の過去問　(４問)★★　昭和54年、昭和63年