Brush Up! 権利の変動編

正解・解説

地役権に関する基本問題1


【正解】

× ×

次のそれぞれの記述は、民法の規定および判例によれば○か、×か。

1.「地役権者は、地役権の設定行為で定めた目的に従って他人の土地を自己の土地の

便益に供することができる。」(昭和56)

【正解:地役権の内容

 地役権者は、地役権の設定行為で定めた目的に従って他人の土地(承役地)を自己の土地(要役地)の便益に供することができます。しかし、ただ単に個人的な便益のために設定することはできず、土地の利用価値・利便性を増進するためのものでなければいけません。

 民法280条の条文ソノママの出題でした。

用水地役権・通行地役権・日照地役権・電線を通す地役権・眺望のための地役権

地役権は無償であってもよく、また存続期間の制限もありません。

地役権は、要役地が第三者に譲渡されても第三者が同じ内容の地役権を取得します。(地役権の随伴性)

要役地上に抵当権や質権を設定するとこれらの権利の効力は地役権に及び、また、要役地上に地上権・永小作権・賃借権などを設定するとこれらの権利者も地役権を行使できます。

2.「地役権は、設定行為のほか時効によっても取得し得る。」(昭和58)

【正解:地役権の取得時効

 地役権の取得は、通常の設定行為・遺言・相続などによって取得されるほか、時効によっても取得することができます。

 地役権は、「継続かつ表現」のものに限り、時効取得が認められ、承役地の所有者が認識することができない状態で無権限の土地利用をしていた場合は、表現の要件を欠くため、時効取得は認められません。承役地の所有者が権利保全のために時効中断の措置をとる機会を確保されていなければ公平とは言えないからです。

3.「地役権は、物権であるから、消滅時効にかかることはない。」(昭和61)

【正解:×地役権の消滅時効(291条、167条2項)

 地役権も地役権者が20年間、権利を行使しないときは、時効に因り、消滅します。

(このほかには、民法289条の規定-承役地の時効取得-による地役権の消滅もあります)

4.「地役権の設定行為で別段の定めがないときは、要役地を賃借している者は、

地役権を行使することができる。」

【正解:

 要役地上に地上権・永小作権・賃借権が設定された場合,地役権設定時に別段の定めがなければ、対抗力ある賃借人、地上権者、永小作権者は地役権を行使できます。(民法281条1項,判例)

5.「地役権を設定するためには、要役地と承役地とは隣接した土地であることが必要

である。」

【正解:×

 要役地と承役地とは隣接している必要はなく、離れていても設定することができます。

●地役権にも抵当権の効力が及ぶ
 要役地に抵当権が設定されると,その効力は従たる権利の地役権にも及びます。このため,地役権設定時に地役権の移転について承役地の所有者の承諾を必要とする特約がないときには,競売になった要役地の買受人は土地の所有権とともに地役権も取得します。

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