Brush Up! 権利の変動編

正解・解説

地役権に関する基本問題2


【正解】

× × ×

次のそれぞれの記述は、民法の規定および判例によれば○か、×か。

1.「地役権者は、特約を定めたとしても、要役地とは別に地役権のみを譲渡することは

できない。」(昭和61,56)

【正解:地役権の付従性

 地役権は、土地(要役地)の便益のための権利なので、その土地を離れて存在することはできないため、地役権は、要役地とは別に分離して処分することはできません。(民法281条2項)

2.「地役権は、承役地が分割又は一部譲渡された場合には、原則としてその各部分の

上に存する。」(昭和58)

【正解:地役権の分割・譲渡と不可分性

 地役権は、承役地が分割又は一部譲渡された場合でも、原則としてその各部分の上に存在します。(民法282条2項)

3.「承役地を第三者が不法占拠している場合、地役権者は、その者に対して、当該承役地

を自己に引き渡すよう請求できる。」(昭和61)

【正解:×

 地役権も土地に対する物権なので、承役地の利用を妨げられている場合には、回復する為の物権的請求権は認められています。(妨害排除請求権・妨害予防請求権)

しかし、地役権者には「土地明渡し(引渡し請求権)」までは認められていません。

4.「土地・甲のために地役権が設定・登記された土地・乙上に、さらに土地・丙のために

重ねて地役権を設定することはできない。」

【正解:×

 土地・甲の承役地が土地・乙で、土地・丙の承役地がまた土地・乙であるということはあり得ます。

 これは、地役権は排他的・独占的に承役地を使用するためのものではないからです。

地役権の設定登記は、承役地が第三者に譲渡されてもその第三者に地役権を対抗するためのものです。

5.「眺望・観望を目的とする地役権を設定することはできない。」(昭和54)

【正解:×

 民法では、地役権の設定行為で定める目的、つまり土地の便益の種類に制限を設けていません。土地の利用価値を高めるものであるならば、自由に定めることができます。

 承役地に、日照・眺望・観望を妨げる建物を建築しないという不作為を内容とする地役権も可能です。


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