Brush Up! 権利の変動篇

担保物権・通則の基本問題2 正解・解説


【正解】

×

不動産を目的とする担保物権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。(平成3年・問7)

1.「不動産を目的とする担保物権の中には,登記なくして第三者に対抗することが

できるものもある。」

【正解:

 不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものがあります。

 留置権では、公示手段として登記が認められておらず、登記は対抗条件ではありません。(民法295条、不動産登記法1条)これは、留置すること自体が公示方法になっているからです。

 留置権では、留置することにより、登記ナシに、所有者から不動産を譲り受けた第三者に対抗することができます。

▼もっと詳しく

 留置物が第三者に譲渡されても、譲受人に留置権を対抗でき、第三者は留置権の負担のついた所有権を取得することになります。(最高裁・昭和47.11.16)

2.「不動産を目的とする担保物権の中には,被担保債権が将来のものであっても,

存在するものがある。」

【正解:

 不動産を目的とする担保物権の中には、被担保債権が将来のものであっても、成立するものがあります。

 抵当権では、将来発生する債権も被担保債権として設定できます。(例えば、根抵当権などもその例です。)

 判例でも,将来発生する債権でも現時点で特定できるならば公示することは可能であることから,将来発生する債権のためにも普通抵当権を有効に設定できるとしています。(大審院・大正2.5.8)

3.「不動産を目的とする担保物権の順位は,すべて登記の先後による。」

【正解:×

 担保物権の順位は原則として登記の先後によります。(不動産登記法6条1項)しかし、

 不動産を目的とする担保物権の順位は、すべて登記の先後によるわけではありません。

 不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権はこれより先に登記されていた抵当権に対しても優先します。(民法337条-不動産保存の先取特権の登記-、338条-不動産工事の先取特権の登記-、339条-先取特権は抵当権より優先される-)

売買による先取特権では、登記の先後によることに注意してください。

4.「不動産を目的とする担保物権は,被担保債権の全部が弁済されるまでは,

目的物の全部の上にその効力を及ぼす。」

【正解:

 担保物権の不可分性

 被担保債権の全部の弁済があるまで、担保物権は目的物の全部の上に存続し、その効力を及ぼします。(民法296条-留置権の不可分性、305条-先取特権の不可分性-、350条-質権の不可分性-、372条-抵当権の不可分性-)


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