Brush Up! 権利の変動篇
担保物権・通則の基本問題
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、○か×か。(昭和53年) |
●この問題を解くときの注意事項 |
・「一般的に」=「原則として」 ・民法上の抵当権・質権・先取特権・留置権の代表的なものをイメージする。例外事項を考えると、択一問題の場合、解答ができないことがあります。 |
1.「担保物権には、一般に被担保債権が成立しなければ、担保物権も成立しないと
いう性質がある。」
【正解:○】 ◆附従性 担保物権は、債権を担保するためのものであり、「債権(あるいは債務)なしに担保は存在しえない」と言われます。 したがって、被担保債権を発生させる契約そのものが無効で成立しなかったり、また被担保債権が消滅すれば、担保債権も消滅することになります。 ▼参照 民法295条、303条、342条、369条 |
2.「担保物権には、一般に被担保債権が譲渡等により他に移転すれば、担保物権も
それに応じて移転するという性質がある。」
【正解:○】 ◆随伴性 担保物権は、被担保債権の従たる権利で被担保債権と密接不可分の関係にあります。被担保債権が譲渡等により他に移転すれば、担保物権もそれに応じて移転します。 ▼参照 民法302条、314条、348条、377条 |
3.「担保物権には、一般に被担保債権について全部の弁済がされるまで、その担保
物権の目的物の全部について権利を行使できるという性質がある。」
【正解:○】 ◆不可分性 被担保債権について全部の弁済がされるまで、その担保物権の目的物の全部について権利を行使できます。 債務の弁済が一部行われていたとしても、残っている被担保債権には利息や遅延利息がかかる場合もあり、弁済が行われた範囲で被担保債権が縮減するにしても (担保物権の担保の範囲が縮減される。) その担保物権の目的物の全体が担保であることは変わりません。 ▼参照 民法296条、305条、350条、372条 |
4.「担保物権には、一般にその目的物の売却、滅失等により、担保物権も消滅すると
いう性質がある。」
【正解:×】 ◆物上代位性ー留置権にはない 物上代位とは、担保物権の目的物が売却、賃貸、滅失、毀損により、目的物そのものから優先弁済を受けられなくなったときに、債務者が受ける金銭その他のものから優先弁済を受けることができることです。 この物上代位は、債務者が受ける金銭に効力を及ぼすというよりも、債務者が目的物の売却等により生じる請求権の上に効力を持つとされています。 物上代位の要件としては、払渡前又は引渡し前の差押えを必要とします。 先取特権・質権・抵当権にこの規定があります。留置権にはありません。(判例では、譲渡担保にも物上代位性を認めています。) したがって、本問の「目的物の売却、滅失等により、担保物権も消滅する」というのは誤りになります。 ▼参照 民法304条、350条、372条 |