Brush Up! 権利の変動篇Notes
制限行為能力者の相手方の保護(第19条)-催告権-
催告権について整理してみましょう。 |
◆要件
1 催告の受領能力(98条の2)があり、取消・追認を為しうる者(120条、122条)に対して
2 1ヶ月以上の期間を定めて、追認をするかどうかの確答を促す
◆20条2項〜3項の構造(追認擬制と取消擬制)
確答がない場合の催告の効果(催告の時期が、制限行為能力者である間のとき)
制限能力者 | 催告の相手方 | 制限行為能力者の行為の効力 | 20条では |
未成年者
成年被後見人 |
法定代理人
成年後見人 |
保護者単独で追認できる行為→追認 | 2項 |
後見監督人の同意を要する行為→取消 | 3項 | ||
被保佐人
被補助人 |
本人 | 保佐人・補助人の同意を要する行為→取消 | 4項 |
保佐人
補助人 |
保護者単独で追認できる行為→追認 | 2項 | |
保佐・補助監督人の同意を要する行為→取消 | 3項 |
※保護者・・・未成年者の法定代理人・成年後見人・保佐人・補助人(同意権を付与)
※能力回復後(成人後の本人)への催告に,確答がない場合は,『追認』になる。ただし,
成年被後見人が能力を回復した場合は,その行為が取り消しうるものであることを知った
後の催告でないと『追認』にはならない。
◆確答がない場合の催告の効果の考え方の基本
催告の相手に受領能力がない場合 |
|
催告の相手 | 催告の効果 |
成年被後見人(能力回復前)
未成年(成人前) |
無効 |
催告の相手に受領能力がある場合 |
|
単独で追認できるかがポイント | 返事をしない場合の効果 |
保護者or本人単独で追認できる行為 | 追認とみなす |
保護者or本人単独で追認できない行為 | 取消とみなす |
◆保護者の同意または代理を要する行為の民法該当箇所
保護者 | 同意または代理を要する行為 | |
未成年者 | 親権者
未成年後見人 |
原則としてすべての財産行為。
(例外 : 5条1項但書、5条3項、6条、身分行為、 |
成年被後見人 | 成年後見人 | 日常生活に関する行為以外の全ての財産行為 |
被保佐人 | 保佐人 | 13条1項各号所定の行為、13条2項により保佐人の 同意を要するとされた行為 |
被補助人 | 補助人 | 13条1項各号のうちの特定の行為 |
◆未成年者の例外規定−法定代理人の同意を得なくてもできる行為
民法の規定 | |
5条1項但書 | 但、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については
この限りではない。 |
5条3項 | 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産はその目的の範囲内
において、未成年者が自由に処分することができる。 目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。 |
6条 | 1一種又は数種の営業の許可を許された未成年者は、
その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。 2前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない 事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、 その許可を取り消し、又は、これを制限することができる。 |
身分行為 | 嫡出でない子の認知(780条)、満15才に達した者の遺言(961条)など |
取消し得べ
き行為の 取消(120条) |
行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、
制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることが できる者に限り、取り消すことができる。(120条1項) |
◆制限行為能力者の保護者の権限のまとめ
保護者 | 同意権 | 代理権 | 取消権 | 追認権 | |
未成年者 | 親権者
未成年後見人 |
○ | ○ | ○ | ○ |
成年被後見人 | 成年後見人 | × | ○ | ○ | ○ |
被保佐人 | 保佐人 | ○ | △* | ○ | ○ |
被補助人 | 補助人 | ○ | △* | ○ | ○ |
保佐人・補助人の代理権は,家庭裁判所の審判により,特定の法律行為にのみ付与。
補助人の場合は、家庭裁判所の審判により、特定の法律行為についての同意権・代理権
の双方または一方を付与される。被補助人が制限行為能力者なのは,『同意権』または
『同意権と代理権の双方』を補助人に付与する旨の審判を受けた者。