Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
未成年者に関する問題1
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
○ | × | × | 〇 | 〇 |
1.「自分のしたことの善悪を判断する能力のない未成年者が,他人に損害を与えたとき,
当該未成年者は,その損害を賠償しなくてもよい。」
【正解:○】 ◆未成年の不法行為では,損害賠償責任は法定代理人が負う 不法行為によって他人の権利を侵害した者は、損害賠償責任を負う(民法第709条)のが原則です。 しかし、善悪の判断がつかない未成年者による場合、その損害賠償責任は免除されます(第712条)。 この場合、その法定代理人がその責任を負います(第714条本文)。
※親権者であっても,制限行為能力者(未婚の未成年者,成年被後見人,被保佐人,被補助人)は親権を行使できない。この場合は,未成年後見人が選任される。 |
2.「未成年者Aの法定代理人Bが,Aに対し,目的を定めて処分を許した財産につき,
Aは自由に処分することができ,また,目的を定めないで処分を許した財産についても,
同じとする。」
【正解:×】 ◆目的を定めて処分を許された財産 法定代理人は、財産の一部を処分することについて、未成年者に許可を与えることができます。〔全財産の処分を許可することは認められていません。〕 お小遣いなど、目的を定めない場合は自由に処分できます(第5条後段)が、目的を定められた場合は、”目的の範囲内で”自由に処分でき(〃後段)、”目的の範囲内”という文言が抜けています。 つまり、親が、未成年者に対して、参考書を買うためとか、玩具を買うためというように、目的を定めて金銭を渡した場合は、”その範囲内で「のみ」”自由な処分が許され、未成年者が目的外の処分を行った場合は取消すことができます。 |
●類題 |
未成年者であっても,法定代理人の同意を得れば,その所有宅地を第三者に有効に売却することができる。(昭和50年) |
【正解 : ○】
未成年者が法律行為をするには,その法定代理人の同意を得ることが必要です。〔もし,同意を得ないで単独で法律行為を行った場合は,未成年者・法定代理人のどちらからでも取り消すことができます。〕(5条1項,2項) なお,通常,法定代理人は親権者ですが,両親がいる場合,一方だけではなく双方の同意が必要になります。(818条3項) |
3.「一種または数種の営業を許された未成年者Aは,当該営業に関しては成年者と同一
の行為能力を有する者とみなされ,以降Aは,法定代理人によって,当該営業につき制限
されることはない。」
【正解:×】 ◆営業の許可による成年擬制 法定代理人によって営業許可を受けた未成年者Aが、その営業に耐えられない場合、そのまま営業を継続すれば、損害発生のおそれが大となるため、Aの保護のため、営業許可の取消など、法定代理人によって,制限されることもあります(第6条2項)。許可の取消や制限は将来に向かってのみ効力を生じます。 ▼未成年者が商法4条に規定されている営業を行う場合は登記が必要で(商業登記,『未成年の登記』と呼ばれています),許可の取消には登記の抹消が必要です。(商法5条,12条,15条) |
さて、3番ですが「未成年者の営業」に関して民法第6条を下記に記します。 1.法定代理人から営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同様の資格があり、その営業に関する法律行為は単独で有効にすることができる。 2.この場合、営業を続けさせることが未成年者によって不利益になるような事情が起こったならば、法定代理人は親族編の規定に従って、営業の許可を取り消し、またはこれを制限することができる。 ・・・あらためて設問3を見ますと、「以降Aは、〜制限されることはない」とありますが、6条2項の規定により、制限されることがあります。 |
●類題 |
未成年者は,営業の許可を受けている場合はこれにより成年と同一の行為能力を取得しているので,婚姻をするためには父母の同意は必要ではない。 |
【正解 : ×】
上で見たように,第6条1項での成年擬制は『その営業に関して』のみで、その営業以外のことでは成年擬制はありません。 |
4.「未成年者が婚姻したときは,これによって成年に達したものとみなされ,その後
20歳に達するまでの間に離婚したとしてもなお成年擬制の効果は存続する。」
【正解:〇】 ◆婚姻による成年擬制 婚姻によって行為能力を認めておきながら、婚姻の解消(離婚や一方の死亡、婚姻の取消し)を理由に「行為能力」が不完全な者に戻すことは取引上の混乱をもたらすと考えられ、通説では、成年擬制の効果は消滅しないものとされています。 この成年擬制は、民法の条文としては、782条(成年の子の認知)、792条(養子をする能力)、974条(証人・立会人)、1009条(遺言執行者) においても認められます。 当然のことですが、民法以外の法律、例えば公職選挙法、未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法などについては成年擬制の効果は及びません。 宅建業法では、未成年でも婚姻した経験のある者は成年とみなすことになっています。 <民法753条> 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。 |
5.「未成年者が,法定代理人の同意を得ないでした売買契約を,行為能力の制限を
理由として取り消す場合は,法定代理人の同意を要しない。」
【正解:○】 ◆未成年者本人が取消すときには,法定代理人の同意は不要 未成年者が法定代理人の同意を得ないでした法律行為は、法定代理人だけではなく、未成年者本人も、能力の制限を理由として取り消すことができます。(5条2項) 未成年者が取り消す場合は、法定代理人の同意は不要です。 ▼取消の効果 取消の意思表示をすると、その法律行為は始めから無効だったことになり、双方または一方に既に履行したものがあれば、受領したものは返還しなければいけません。(121条) この場合、制限行為能力者は、自らの利益を受けている限度で、つまり現存している利益を償還すればよいとされています。(121条但書) |
●盲点 |
未成年者Aは自己所有の土地・甲を売却するにつき,法定代理人Bから営業の許可を受けている。Aがこの土地をCに売却する契約を締結したときは,Bは,Aが未成年者であることを理由に取消すことはできない。 |
【正解 : ○】
未成年者Aは,土地・甲を売却するにつき,法定代理人Bから営業の許可を受けているので,その営業に関しては成年者と同一の能力を持っています。(第6条1項 : 成年擬制) したがって,法定代理人Bは,すでに営業の許可を与えている以上,Aが未成年者であることを理由に,AC間の売買契約を取消すことはできません。 |