Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
相続に関する問題2 平成7年・問11
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
Aには,妻B,子C・Dがあり,A及びBは,CにA所有の資産全部を相続させAの事業も承継させたいと考えているが,Cは賛成し,Dは反対している。 |
1.「Aは,Dが反対していることを理由として,遺言で,Dを相続人から廃除することが
できる。」
【正解:×】 A―――――B(配偶者) Aの子Dは「第1順位」の相続人ですが、Dが遺言の内容につき反対しているという理由で、Dを相続人から廃除することはできません。 つまり、Aが、Dを相続人から排除の請求ができる場合は、 ・DがAに対して虐待をしたり重大な侮辱をしたときや ・その他の著しい非行がある場合(民法第892条)であり、 Dが遺言の内容につき反対しているという理由だけでは、廃除することはできません。 |
2.「Aが,遺産の全部をCに遺贈した場合も,DからCに対して遺留分の減殺をすれば,
Cは,その部分(遺留分)を除外した部分を承継するほかない。」
【正解:○】 A―――――B(配偶者) 被相続人(A)の財産は、その者1人だけの力で形成されたものとは限られず、したがって、一定範囲内の相続人については、その者の生活保証のため「遺留分」といい、一定額を請求する権利が認められています(第1028条、第1031条)。 この場合は、配偶者Bと子がCとDの2人であり、Bが遺留分を保全するための減殺請求をせずに、Dのみが減殺請求をしたときは、Dは相続財産の4分の1(=1/2×1/2)を相続することができます。 <関連>遺留分の割合 ア.相続人が、「配偶者」または「子」がいる場合 →相続財産の2分の1 イ.相続人が、「直系尊属(親・祖父母)のみ」の場合 →相続財産の3分の1 ウ.相続人が、「兄弟姉妹のみ」の場合 →遺留分はない |
3.「Dは,Aの死亡後で遺産分割前でも、B及びCの同意を得なければ,自己の相続分を
第三者に譲渡することはできない。」
【正解:×】 A―――――B(配偶者) 分割前の相続財産は“相続人の共有物”であり、共有物であっても、所有権に変わりなく、各共有者は、いつでも所有権に基づいて、法令の範囲内において自由に使用、収益および処分をすることができ(第206条)、それにつき他の共有者の同意は必要とされていません。→遺産分割については、平成11年の問題参照。 <関連> 共同相続人の一人が、分割前にその相続分を第三者に売り渡したときは、他の相続人は、その価額や費用を償還してその相続分を譲り受けることができる(第905条1項)、という規定もあり、したがって、他の相続人の同意がなくても第三者に譲渡できるものと解されます。 |
4.「Aの死亡後,遺産分割協議をし,改めて相続人の多数決で,遺産の全部をCに承継
させるしかない。」
【正解:×】 遺産分割の協議(第907条1項)は、多数決(過半数)の協議によるという規定はなく、したがって“相続人全員の一致”が必要であると解され、またその協議が調わないときは、その分割を家庭裁判所に請求することになります(〃2項)。 |