Brush Up! 権利の変動篇

抵当権の過去問アーカイブス 根抵当権 平成元年・問5


根抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。(平成元年)

1.「根抵当権者は,元本の確定前において,同一の債務者に対する他の債権者の利益のために,その順位を譲渡することができる。」

2.「根抵当権者は,元本の確定前において,後順位の抵当権者の承諾を得ることなく,根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更することができる。」

3.「根抵当権者は,元本の確定前において,根抵当権設定者の承諾を得て,その根抵当権の一部を譲渡することができる。」

4.「根抵当権者は,元本の確定後においても,利害関係を有する者の承諾を得て,根抵当権の極度額の変更をすることができる。」

【正解】

×

1.「根抵当権者は,元本の確定前において,同一の債務者に対する他の債権者の利益のために,その順位を譲渡することができる。」

【正解:×

◆元本確定前に根抵当権の順位の譲渡・放棄はできない

 根抵当権では,その処分について普通の抵当権とは異なった扱いをしています。

 後順位の根抵当権者が,先順位抵当権者から順位の譲渡や放棄の利益を受けることはできますが,(398条の15)

 根抵当権者は,元本確定前に,376条の定める処分(根抵当権の譲渡・放棄や順位の譲渡・放棄)をすることはできません。(398条の11第1項)⇒ 根抵当権の全部譲渡・一部譲渡については肢3参照

根抵当権でも転抵当〔その根抵当権を第三者の担保に供すること〕は認められています(398条の11第1項)。

2.「根抵当権者は,元本の確定前において,後順位の抵当権者の承諾を得ることなく,根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更することができる。」

【正解:

◆債権の範囲の変更・債務者の変更には,利害関係人の承諾は要らない

 根抵当権者は,元本確定前ならば,被担保債権の範囲の変更や債務者の変更をすることができます。(398条の4第1項)

 この変更には根抵当権設定者との合意があればよく,後順位の抵当権設定者その他の第三者の承諾を得る必要はありません。(398条の4第2項)

3.「根抵当権者は,元本の確定前において,根抵当権設定者の承諾を得て,その根抵当権の一部を譲渡することができる。」

【正解:

◆根抵当権の全部または一部の譲渡−根抵当権設定者の承諾が必要

 根抵当権者は,根抵当権設定者の承諾を得れば,元本確定前に,根抵当権の全部譲渡または一部譲渡をすることができます。(398条の12第1項,398条の13) ⇒ 肢1参照

4.「根抵当権者は,元本の確定後においても,利害関係を有する者の承諾を得て,根抵当権の極度額の変更をすることができる。」

【正解:

◆極度額の変更には利害関係人の承諾が必要

 元本確定の前後を問わず利害関係人全員の承諾がないと極度額の変更をすることはできません。(398条の5)

 極度額の変更は,後順位抵当権者や一般債権者の利害に大きく影響するからです。

 ※利害関係人に注意

 極度額の拡大変更の利害関係人 → 後順位抵当権者・差押債権者

 極度額の縮小変更の利害関係人 → 転抵当権者

 根抵当権の変更
 変更内容  時期  利害関係人の承諾  登記
 極度額  確定後も可能  全員の承諾が必要  効力要件
 被担保債権の範囲  元本確定前  不要
 債務者
 確定期日  確定期日前

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