Brush Up! 権利の変動篇
抵当権の基本確認番外 抵当権と登記の問題1
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
× | ○ | ○ | × | × |
抵当権の登記に関する次の記述は、○か、×か。 |
1.「抵当権の設定の登記の申請は、被担保債権の債権者が登記権利者、債務者が
登記義務者となって行わなければならない。」(H4-14-3)
【正解:×】
◆抵当権の設定登記 誤った登記等を防止するため、また、補正が即時にできるためという実務上の要請から、登記の申請は、原則として、登記権利者と登記義務者が共同して申請するもの(不動産登記法・第60条)とされています。 抵当権の設定登記の場合、登記権利者は、抵当権者(債権者)ですが、登記義務者は「抵当権設定者(目的不動産の所有者)」であり、例えば、親が子の債務のために自己名義の土地に抵当権を設定する場合など、自分以外の債務のために抵当権を設定する者(物上保証人という:民法第351条)もいるため、“債務者”が必ずしもいつも登記義務者であるとは限りません。 抵当権者→登記権利者、抵当権設定者→登記義務者。
抵当権設定者は被担保債権の債務者の場合と物上保証人の場合があります。本設問は、<債務者が登記義務者>となっているので×になります。 |
【乙 区】 (所有権以外の権利に関する事項) | ||||
【順位番号】 | 【登記の目的】 | 【受付年月日・ 受付番号】 |
【原因】 | 【権利者 その他の事項】 |
1 | 抵当権設定 | 平成16年1月26日
第○号 |
平成16年1月23日 金銭消費貸借 同日設定 |
債権額 利息 損害金 債務者 抵当権者 |
2.「抵当権の順位の変更の登記は、権利部の乙区に記録される。」H3-15-2
【正解:○】
◆抵当権の順位変更の登記 所有権以外の権利の記載は権利部の乙区でしたね。 抵当権の順位の変更には、各抵当権者の合意と利害関係人(転抵当権者、被担保債権の差押え権者など)の承諾が必要とされています。(民法374条1項) 抵当権の順位変更の登記は、順位を変更する抵当権の登記名義人全員が共同して申請します(不動産登記法89条1項)。 ▼順位の変更の効力(H13-7-4) 順位変更登記をもって効力が生じます。(民法374条2項) |
3.「抵当権の順位変更の登記を申請する場合には,申請情報と併せて,順位を変更
する各抵当権の登記名義人が抵当権の設定登記を受けた際の登記識別情報を提供
しなければならない。」」H10-14-4
【正解:○】
◆抵当権の順位変更の登記 抵当権の順位変更の登記の申請には、順位を変更する各抵当権の登記の登記識別情報 (または登記済証) を添付する必要があります。(不動産登記令8条1項6号) |
4.「抵当権設定の仮登記に基づき本登記を申請する場合に、その本登記について
登記上利害関係を有する第三者があるときは、申請情報にその者の承諾を証する情報を
添付しなければ、当該本登記を申請することができない。」H10-15-3、類・昭和52
【正解:×】
◆登記上利害関係を有する第三者がいる場合の本登記の申請
所有権以外の仮登記(例えば,抵当権設定の仮登記)に基づく本登記については,利害関係者の承諾を証する情報,利害関係者に対抗できる裁判があったことを証する情報を提供する必要はありません(不動産登記法109条1項,別表69項)。 ▼仮登記 仮登記をする場合は、その左側に後日、本登記があったときに記載できるスペースを設けておき、本登記の申請があった時にそのスペースに本登記の記載をします。 |
●参考問題 |
1.「Bを権利者とする抵当権設定の仮登記後、Cを権利者とする抵当権設定登記がなされたA所有の土地について、Bの仮登記の本登記をなす場合には、Cの承諾を得る必要はない。」昭和52 |
【正解:○】 Cの承諾を得る必要がないのは、Bを権利者とする抵当権設定とCを権利者とする抵当権設定の先後関係がBの本登記によってハッキリしたのにすぎないからです。 |
5. 「根抵当権の登記名義人の表示の変更の登記は、権利部の甲区に記録される。」H3-15-3
【正解:×】
根抵当権のように所有権以外の権利の記載は権利部の乙区でしたね。 登記名義人の表示の変更(住所の移転や氏名の変更など)の登記は、付記登記として該当区事項欄に記録されます。 |