Brush Up! 権利の変動篇

正解・解説

請負に関する問題4 瑕疵担保責任


【正解】

×

建設業者はAは、宅地建物取引業者Bとの間に締結した請負契約に基づき木造の建物を建築したが、工事完成後、その建物に瑕疵が発見された。この場合、民法の規定によれば、次のそれぞれの記述は、○か、×か。(昭和60年・問10)
ただし、担保責任に関する特約はないものとする。

1.「その瑕疵が重要ではなく、かつ、その修補に過分の費用を要する場合を除き、

Bは、Aに対して相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求することができる。」

【正解:

 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は請負人に対して相当の期限を定めてその瑕疵の修補請求をすることができます。(民法634条1項)

 ただし、その瑕疵が重要ではないのに過分の費用がかかるものには、瑕疵の修補請求をすることができません。この場合は、損害賠償の請求ができます。 

2.「その瑕疵が建物の引渡し後3年目に発見された場合でも、Aは、その担保責任を

負わなければならない。」

【正解:

  土地の工作物や地盤に瑕疵がある場合は、担保責任の存続期間は原則として5年(石造・土造・レンガ造・金属造は10年)なので、本肢の3年は存続期間内なので、請負人は担保責任を負います。

 請負人の担保責任(瑕疵の修補請求、損害賠償の請求、契約の解除)の存続期間は、引渡したときから1年内です。(民法637条)

土地の工作物や地盤の瑕疵の場合は、原則として5年、木造以外は10年。(民法638条1項)

 (滅失・毀損した場合を除いて、特約で伸長することも短縮することもできる。伸長する場合は10年を限度とする)(民法639条)

土地の工作物が、瑕疵のために滅失または毀損したときは、その時から1年。 (民法638条2項)

売買契約の瑕疵担保責任と違うのは、次の2点です。

・瑕疵は隠れた瑕疵に限らないこと。

・注文者の善意・無過失は不要であり、注文者は瑕疵を知らないことに過失があっても請負人は担保責任を負います。

3.「Bは、その瑕疵の修補に代えて、又は、修補とともに、Aに損害賠償を請求する

ことができる。」

【正解:

 目的物に瑕疵があるときの

 損害賠償請求

 (民法634条2項)

 瑕疵の修補に代わる損害賠償請求
 瑕疵の修補と共に損害賠償請求

 『瑕疵の修補請求をしないで、損害賠償請求』、『瑕疵の修補請求+損害賠償請求』のどちらもできます。

4.「その瑕疵のために、請負契約を締結した目的を達することができないときは、

Bは、請負契約を解除することができる。」

【正解:×

 請負契約では、目的物に瑕疵がある場合は、注文者は以下の三つの法的な措置がとれます。

・修補請求権 (民法634条1項)

・損害賠償請求権 (民法634条2項)

・契約解除権  (民法635条)

その瑕疵が重要ではないのに過分の費用がかかるものを除く。

 重大な瑕疵があって契約をした目的を達成できなければ、注文者は、契約を解除することができますが、民法635条但書では建物その他土地の工作物については、瑕疵があり契約をした目的が達成できなくても注文者は解除できないとしています。


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