Brush Up! 宅建業法
正解・解説
クーリング・オフに関する問題1
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
宅地建物取引業法第37条の2の規定による売買契約の解除に関する次の記述は、 ○か×か。 |
1.「宅地建物取引業者がみずから売主となるとき、事務所等以外の場所で売買契約を
締結したとき、売主から解除できる旨の書面を受領しない買主は書面を発行することに
より、いつでも当該解約を解除することができる。」
【正解:×】 売買契約する場所・業者の書面交付にとらわれているとヒッカカる問題です。 まず、第1に解答者が思い浮かぶのは、 ・事務所等以外の場所で申込みをしたときは、クーリング・オフできる。 ・宅建業者がクーリング・オフできることを書面で告げない時は、8日間の起算が始まらないので申込者または買主はいつまでも撤回・解除ができる。 この2つだと思いますが、チョット待ってください。 クーリング・オフができる大前提として、「履行がまだ完了していない」ことがあるのを思い出してください。 たとえ売主から解除できる旨の書面を受領しない買主であっても、“物件の引渡を受け”かつ“代金の全額を支払った”場合は、履行の完了であり、当該契約を解除することはできません。 本設問では、「書面を発行することにより、いつでも当該解約を解除することができる。」となっているので、不適当となります。 クーリング・オフできる要件は、場所・時期・履行の三つ揃えて考えるようにしてください。 ≪クーリング・オフができなくなる場合≫ 1 履行の完了(物件の引渡しを受け、かつその代金を支払ったとき) 2 告知の日から起算して8日間の経過 3 事務所等で買い受けの申込をし、その後、売買契約を締結した買主 |
2.「宅地建物取引業者がみずから売主となるとき、当該業者が取引業者でない相手方
(買主)から呼び出されて売買契約の説明をしに行った、相手方の取引先銀行は、クーリ
ング・オフの対象となる場所である。」
【正解:○】 業者が相手方(買主)から呼び出されて説明をしに行って、宅建業法37条のニ第1項でいうところの“クーリング・オフ制度が適用除外になる事務所等”とみなされる場所とは、 ・相手方(買主)が自ら申し出た場合の買主の自宅」か「勤務先」 の2カ所で、ここで、申込か契約が締結されれば、買主はクーリング・オフはできません。 したがって、たとえ買主に呼び出されて説明しに行ってもその場所が 相手方の取引先銀行であれば、“クーリング・オフ制度が適用除外になる事務所等”とはみなされず、クーリング・オフの対象(=申込みの撤回、契約の解除ができる)となります。 |
3.「宅地建物取引業者がみずから売主となるとき、当該取引業者の事務所において
買受けの申込みをし、事務所等以外の場所(喫茶店その他)において売買契約を締結
した取引業者でない買主は、当該契約を解除することができる。」
【正解:×】 この法律は、意思決定(買受けの申込み)の段階を重視しており、事務所等に おいて買受けの申込みをした買主の購買意思は、「安定的な状態でなされた」 と考えられています。 その後において事務所等以外の場所において売買契約を締結(それは単な る事務手続きであるという考え)しても、当該契約を解除することはできません。 ≪整理すると≫ クーリング・オフできるかどうかは、買い受け申込場所で決まる
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4.「宅地建物取引業者がみずから売主となるとき、現地分譲地近くのホテルで買受け
の申込みをした取引業者でない者は、申込みの撤回ができる旨を書面にて告げられた
とき、その告げられた日から8日以内であれば、書面を発することにより、当該契約を
解除することができる。」
【正解:×】要注意! “告げられた日から8日”ではなく、「告げられた日から起算して8日」以内です。 つまり、告げられた日から8日とは、民法の基本原則である“初日不算入の原則”が 適用されるため、初日は参入(カウント)されず、翌日から起算されます。 例えば、日曜日の現地見学会のホテルにおいて告げられた場合、 “告げられた日”からとすれば初日不算入となり、翌日からカウントして8日、 つまりその日から起算して9日後の月曜日までに撤回書面を発すればセーフという ことになってしまいますが、 クーリング・オフ制度では、その「告げられた日から起算」されるため、日曜日から起算 して8日目の次週の日曜日までに撤回書面を発しなければなりません。次週の月曜日 ではクーリング・オフできません。 ≪口頭での告知≫ クーリングオフができることを書面ではなく、口頭で告げられたときは、8日間の起点が始まりませんので、「引渡しを受け、かつ、全額支払う」ことがない間なら、いつでも契約を解除できることになります。 |
≪チョット一言≫ このクーリング・オフの問題では、用語の定義・クーリングオフの要件をしっかり把握していない為に、間違えてしまうケースが目立ちます。平成年間で出題がなかったのは、2年、9年、11年で、毎年のように出題されていますが、本試験に出れば絶対に落とせないところです。 |