Brush Up! 宅建業法篇

正解・解説

手付金等の保全措置に関する問題


【正解】

× ×

 宅地建物取引業法第41条に規定する手付金等の保全措置に関する

次の記述は、○か×か。

保全措置の対象となる手付金等の定義

『契約締結日以降、宅地建物の引渡しまたは買主が所有権の登記をするまでの間に』

支払われるものをいう。(宅建業法41条1項)

              

【引渡しまたは登記と同時に支払われる金銭については保全措置を必要としない】

国土交通省,不動産適正取引推進機構の解釈としては,宅建業法上の「引渡し」とは登記まで完了していることを意味するとしています。

手付金等保全措置を講じなければならないのは

1)未完成物件では

   代金額の5%または1,000万円を超える手付金等

2)完成物件では

   代金額の10%または1,000万円を超える手付金等

 <注意> 未完成物件、完成物件のどちらであるかは、売買契約締結時で考える。

手付金等保全措置を講じなくてもよいのは

1)未完成物件では

   ・代金額の5%以下かつ1,000万円以下の手付金等

   ・買主への所有権移転登記がなされたとき

   ・買主が所有権の登記をしたとき

 このうちのどれか

2)完成物件では(法41条の2第1項但書, 施行令3条の2)

   ・代金額の10%以下かつ1,000万円以下の手付金等

   ・買主への所有権移転登記がなされたとき

   ・買主が所有権の登記をしたとき

 このうちのどれか

手付金等については、その受領前に保全措置を講じます。

注意点

既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額で考える。

消費税を含めた金額で考える。(出題・平成9年・問44・肢4)

 消費税・地方消費税については、売買代金の一部として取り扱われる為、税込みの金額をベースに保全措置を講じるかどうかを判断します。(平成元年・建設省通達)

 注意・土地には、消費税はかかりません。

1.「宅地建物取引業者がみずから売主となるとき、宅地又は建物の売買に

関して、買主が移転登記をすれば、手付金等の保全措置を講じることなく、

代金額の10分の1を超える手付金等を受領することができる。」

【正解:

 買主が移転登記をすれば、手付金等の保全措置の対象となる手付金等には該

当せず、完成・未完成にかかわらず、宅地建物取引業者は代金額の10分の1

(又は1千万円)を超える金額、または全額であっても手付金等を受領する

ことができます。

2.「宅地建物取引業法において、手付金等とは、代金の全部又は一部とし

て授受される金銭及び手付金その他の名義をもって授受される金銭で代金に

充当されるものであって、契約の締結の日以降、当該宅地建物の引渡前に支

払われるものをいう。」

【正解:

 これが「手付金等」の定義であり、いわゆる中間金などが該当します。手附

(解約手付)との差異をあらためてご確認下さい。

手付金等とは、<代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付金その他の名義をもつて授受される金銭で代金に充当されるものであつて、契約の締結の日以後当該宅地又は建物の引渡し前に支払われるもの>のことをいいます。

 注意したいのは、宅建業者は<自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の20%を超える額の手附を受領することができない。>ので、手付金としては20%までしか受領できないということです。

 ただし、手付金受領の後に、中間金を受領し、併せて保全措置を講じるのであれば、<手付金+中間金>が代金 (消費税を含む) の 20%を超えていても、宅建業法違反にはなりません。

3.「宅地建物取引業者が完成物件につきみずから売主となるとき、

1千万円以上の手付金等を受領する場合は、手付金等の保全措置を

講じなければならない。」

【正解:×

 “完成物件”の場合、代金の10分の1又は1千万円を“超える”手付金等

を受領する場合は、手付金等の保全措置を講じなければなりません。

 よって、本問の場合は「以上」ということばが間違いとなります。

4.「宅地建物取引業者がみずから売主となるとき、未完成物件であっても

代金額の100分の5又は1千万円以下であれば、手付金等の保全措置を講じる

ことなく受領することができる。」

【正解:×

 設問3のヒックリ返し問題のようですが、“未完成物件”の場合は、代金

額の100分の5“以下”で「かつ」1千万円“以下”であれば手付金等の保全

措置を講じる必要はありません。よって、本問の場合は「又は」ということ

ばが間違いとなります。

 つまり、いずれかを超えたらダメであり、代金額の100分の5以下であって

も、1千万円を超えたらダメです。

〔例〕

・代金額3億円における手付金等の額が1,200万円

 →割合は4%だが、1千万円を超えているのでダメ。

・代金額1億円の場合における手付金等の額が600万円

 →1千万円以下であるが、割合が6%で100分の5(5%)を超えているの

  でダメ。

●手付金等の保全措置−完成物件と未完成物件の区別
 宅地建物取引業者社は,自ら建築工事完了前のマンションの売主となるときは,代金の一部が当該物件の売買価格の1/10以下で,かつ,1,000万円以下であれば,保全措置をしなくてもよい。(平成16年・問44・肢1)
【正解:×

◆未完成物件では,代金の5%以下,かつ,1,000万円以下は,手付金等保全措置を講じなくてもよい

 宅建業者が,自ら売主として,宅建業者ではない者と,未完成物件について売買契約を締結する場合に,手付金等が代金の額【消費税等を含む】の5%以下,かつ,1,000万円以下のときは,手付金等保全措置を講じなくても,受領することができます(宅建業法41条1項,施行令3条の2)

 本肢は,「1/10以下で,かつ,1,000万円以下であれば,保全措置をしなくてもよい。」としているので,誤りです。

 「1/10以下で,かつ,1,000万円以下であれば,保全措置をしなくてもよい。」のは、完成物件の場合でしたね。

手付金等とは,<代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付金その他の名義をもつて授受される金銭で代金に充当されるものであつて,契約の締結の日以後当該宅地又は建物の引渡し前に支払われるもの>のことをいいます。

 本肢では,『代金の一部が』としていますが,『代金の一部として授受される金銭』と読み取るべきでしょう。

5.「宅地建物取引業者が完成物件につきみずから売主となるとき、買主が

所有権の登記をした場合、当該取引業者は、手付金等の保全措置を講じるこ

となく、代金額の10分の1を超え、又は1千万円以上の手付金等を受領する

ことができる。」

【正解:

 “超え”、“又は”、“以上”ということばばかりに惑わされると足下をすくわれます。

 「登記」をした買主はもう安全であり、以降保全措置等を講じることなく

宅地建物取引業者は手付金等を自由に受領することができます。

●注意−手付けの額の制限と保全措置
 宅地建物取引業者社が自ら3,000万円の宅地の売主となる場合,手付金の保全措置を講じれば,宅地の引渡し前に手付金として900万円を受領することができる。(平成16年・問45・肢3)
【正解 : ×】 

◆手附の額の制限−手付金等保全措置を講じても代金の20%超の手附は受領できない

 この問題で問うているのは,保全措置ではなく,手附の額の制限に違反しているかどうかなので,問題文中に,未完成物件・完成物件のどちらなのか書いてなくても,正誤の判断をすることはできます。

 宅建業者は,自ら売主となる宅地又は建物の売買契約を宅建業者ではない者と締結するに際して,代金の額【消費税等を含む】の20%を超える額の手附を受領することはできません(宅建業法39条1項)

 手付金の保全措置を講じても,このことに変わりはないので,本肢は誤りです。

本肢では,「宅地の引渡し前」という文言があるので,いぶかしく思ったかもしれません。これは,手付金等が引渡し前に支払われるものをいうために,問題文中に出てきたもので,深い意味はありません。


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