Brush Up! 宅建業法編

正解・解説

報酬規定に関する問題1


【正解】

× ×

●課税業者の報酬限度額 → これまでと実質的に変化なし

 200万円以下の部分  5.25/100 (従来は 5/100)
 200万円を超え400万円以下の部分   4.2/100 (従来は 4/100)
 400万円を超える部分  3.15/100 (従来は 3/100)

 ⇒ それぞれ従来のものに1.05を乗じたものに過ぎない。

 ⇒ 改定後の速算方式もありますが,覚えるとかえって煩雑なため,本節では,敢えて
   従来のものにとどめてあります。

●課税業者の報酬限度額の速算式〜改定後〜

 200万円以下の価額  価額の5.25%
 200万円を超え400万円以下の価額  〔価額の4.2%+2.1万円〕
 400万円を超える価額  〔価額の3.15%+6.3万円〕

●従来の課税業者の報酬限度額の速算式〜消費税との合算額〜

 200万円以下の価額  価額の5%×1.05
 200万円を超え400万円以下の価額  〔価額の4%+2万円〕×1.05
 400万円を超える価額  〔価額の3%+6万円〕×1.05

●従来の免税業者の報酬限度額の速算式〜みなし仕入れ率との合算額〜

 200万円以下の価額  価額の5%×1.025
 200万円を超え400万円以下の価額  〔価額の4%+2万円〕×1.025
 400万円を超える価額  〔価額の3%+6万円〕×1.025

宅地建物取引業法の規定によれば、次の報酬についての記述は○か×か。

1.「消費税の免税事業者Aが、消費税の課税業者であるBから依頼を受

け、B所有の価格1,000万円の宅地の媒介で受領することのできる

総額表示での報酬の限度額は、売主と買主を合わせて738,000円が限度となる。」

【正解:×

 “媒介”の場合の報酬額は、「依頼者の一方につき」片手分の369,000円

〔=(1,000万円×3%+6万円)×1.025〕

が限度であり、つまり「売主から369,000円」、「買主から369,000円」が限

度となるのであり、合わせて738,000円ではありません(“代理”の場合に

はこうなります)。

 なお、式中の1.025とは、消費税の免税業者について、報酬額に“みなし

仕入率”として、0.25%を加えた額、つまり1.025を乗じた(カケた)もの

を受領できる総額表示での報酬の限度とすることができます。

▼念のため−土地には消費税はかかりません。

2.「消費税の課税事業者であるAが、1,000万円の売買物件の代理で受領する

ことのできる総額表示での報酬の限度額は、756,000円が限度となる。」

【正解:

 “代理”の場合の報酬額は、「両手分」の72万円

〔=(1,000万円×3%+6万円)×2〕

が限度となりますが、Aは、課税事業者なので消費税額(5%)を加算した額

756,000円〔=720,000×1.05〕を受領することができます。(総額表示での報酬)

3.「借賃が1カ月15万円、権利金(退出のときに返還されないもの)350万円の

事務所の貸借の代理を、免税事業者Aが受け、契約を成立させた場合

に受けることのできる総額表示での報酬は、328,000円が限度となる。」

【正解:権利金の授受がある、非居住用建物・土地の賃貸借の代理

 ≪1ヶ月分の賃料 or 売買価額とみなす権利金≫

 “非居住用”の建物の場合は、権利金を売買価額とみなして消費税を除いた報酬額を売買での計算方法で計算することができます。

 速算法(200万円超400万円以下)…価格×4%+2万円=片手分

よって、350万円×0.04+2万円=160,000円。

売買の代理として考えると、この2倍になるので、320,000が報酬の限度額。

 Aは免税業者なので、この金額にみなし仕入率を合わせて乗じた合計額328,000円

(320,000×1.025)が受領できる総額表示での報酬の限度額となります。

4.「宅地建物取引業者Aは、甲の媒介依頼を受けて、甲所有の事務所ビルの

一室を権利金(権利設定の対価として支払われる金銭で、返還されないもの)

300万円、借賃月額13万円で、賃貸借契約を成立させ、甲から14万円の報酬を

受領した。(消費税やみなし仕入率は考えないものとする。)

【正解:権利金の授受がある、非居住用建物・土地の賃貸借の媒介

≪1ヶ月分の賃料 or 売買価額とみなす権利金≫

 “非居住用”の建物の場合は、権利金を売買価額とみなして報酬額を売買での

計算方法で計算することができます。

 速算法(200万円超400万円以下)…価格×4%+2万円=片手分

よって、300万円×0.04+2万円=140,000円。(消費税は別)

 本設問では、免税業者、課税業者の区別は明記されていませんが、

Aが免税業者ならば、この金額にみなし仕入率を合わせて乗じた合計額143,500円

(140,000×1.025)が受領できる総額表示での報酬の限度額となります。

Aが課税業者ならば、この金額に消費税率を合わせて乗じた合計額147,000円

(140,000×1.05)が受領できる総額表示での報酬の限度額となります。

【参考1】上の「非居住建物の賃貸借の代理」と比べてみてください。

【参考2】土地の賃貸借でも権利金がある場合は、この方式が使えます。

5.「借賃が1カ月16万円の居住の用に供する建物の賃貸借の媒介の場合、

当該依頼者の承諾あるときを除き、依頼者の一方から8万円を超える報酬

受け取ることはできない。(消費税やみなし仕入率は考えないものとする。)

【正解:

 居住用建物の賃貸借の媒介の場合、当該依頼者の承諾あるときを除き

依頼者の一方から「1カ月の借賃の2分の1を超える」報酬を受け取ることは

できません。

6.「宅地建物取引業者Aは甲から代理依頼を、また宅地建物取引業者Bは乙から

媒介依頼を受けて、共同して甲乙間に、甲所有の居住用建物の賃貸借契約を

借賃月額24万円、敷金60万円で成立させ、Aは甲から24万円、Bは乙から12万円の

報酬を受領した。(消費税やみなし仕入率は考えないものとする。)

【正解:×

▼宅建業者が複数関与している場合は、各宅建業者の報酬の総額は1ヶ月分

 居住用建物敷金や権利金はカウントしない。

 (貸主)―代理・・・・・B―媒介 (借主)

1) A、Bを個々にみていきます。▼原則のお話

Aは賃貸の代理なので、依頼人から受領できる報酬の限度額は賃料1ヶ月分。相手方の了承を得て相手方からも報酬を受領する場合でも、依頼者・甲と相手方・乙と双方から受領できる報酬の合計額は1ヶ月分を超えることができません。したがって、Aの報酬の限度額は24万円。代理の依頼者(取引の当事者の一方)からは1ヶ月分が報酬の限度額になります。

Bは賃貸の媒介なので、貸主・借主の双方から受領できる報酬は貸主・借主合算して1ヶ月分が限度額。原則として、一方からは0.5ヶ月分を超えて受領してはいけません。

例外として、承諾があれば、一方から0.5ヶ月分を超え、1ヶ月分まで受領できます。この場合でも、双方からの報酬の合計の限度額は1ヶ月分です。したがって、Bの報酬の限度額は24万円。(原則として、一方からの報酬の限度額は0.5ヶ月分の12万円。)

A、Bを個別に見ていくと問題文は正しいようにも思えますが、これはヒッカケです。実は、個別に計算するまでもなく、たちどころにおかしいということがわかります。個別にみた上の計算例は、複数の宅建業者が関与していない場合の計算です。

2) A、Bの受領する報酬の合計の限度額▼宅建業者が複数関与している場合

 AとBが受領する報酬の限度額は、AB合計して1ヶ月分の24万円。業者が2社(2人)係っていても、この金額を超えることはできません。(昭和61.2.14建設省経動発17号)

したがって、Aが24万円、Bが12万円、合計36万円では、明らかに違反します。

 このように、居住用建物の賃貸借の媒介と代理が同時に介在する場合でも、全宅建業者の受け取る報酬の総額は1ヶ月分が限度額になります。


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