Brush Up! 宅建業法

正解と解説

宅地建物取引業者の免許制度に関する問題4


【正解】

× × ×

1.「宅地建物取引業を営もうとする者は、2以上の都道府県の区域内にお

いて、その業務を行おうとする場合にあっては国土交通大臣の、1つの都道

府県の区域内において、その業務を行おうとする場合にあっては、当該事務

所の所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。」

【正解:×

 2以上の都道府県の区域内に「事務所(本店・支店その他政令で定めるも

の)」を設置する場合は国土交通大臣、1つの都道府県の区域内に「事務所

(同上)」を設置する場合は当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の

免許です。

 しかし、事務所を設置せず、その“業務”を行うダケなら、たとえ都道府

県知事免許業者であっても、日本全国どこでも可能です。

2.「成年後見人又は被保佐人若しくは被補助人、及び破産者で復権を得な

い者は、宅地建物取引業の免許を受けることができない。」

【正解:×

 “成年被後見人”又は“被保佐人”及び“破産者で復権を得ない者”は、免

許を受けることができません。

 しかし、“被補助人”は免許の欠格事由に該当しません

3.「公職選挙法第221条に規定する買収の罪により、執行猶予3年付きの

禁錮2年の刑に処せられた者は、当該執行猶予期間が満了すれば、その後5

年を経過することなく、免許を受けることができる。」

【正解:

 何の法律によろうと、禁錮以上の刑(死刑は別格として、禁錮刑及び懲役

に処せられると、その刑の執行が終わり、5年を経過しなければ免許が

受けられません。〔罰金以上の刑罰で免許取り消しは,宅建業法違反または刑法その他での暴力行為による場合。〕

 しかし、本問の「執行猶予が満了する」ということは、刑の言い渡しの効

力自体が失われることを意味します。

 したがって、刑に処せられたこと(=実刑)にはならないため免許の欠

格事由には該当せず、他の欠格事由等に該当していなければ、すぐにでも免

許が受けられます。

●参考問題
甲県知事から宅地建物取引業の免許を受けたが宅地建物取引業の業務に関して国土利用計画法の規定に違反し,懲役の刑に処せられた場合には,甲県知事は,の免許を取り消さなければならない。(昭和63年・問44改)

【正解:

 何の法律によろうと、禁錮以上の刑禁錮刑及び懲役に処せられると、その刑の執行が終わり、5年を経過しなければ免許が受けられません。

4.「B社の政令で定める使用人が、かつて不正の手段により免許を受けていたとして

当該免許を取り消された場合で、その取消しの日から5年を経過していないとき、B社

は、免許を受けることができない。」(H12-30-2)

【正解:

◆政令で定める使用人が免許取消し後5年を経過していない→欠格事由

本肢は,かつて個人業者であり,宅建業者の免許を取り消された者が,社の「政令で定める使用人」のときは,社は免許を受けることができない,これは×かと訊ねています。

 免許を申請する宅建業者の「役員」(法人の場合)や「政令で定める使用人」(法人・個人業者どちらの場合でも)が欠格事由に該当するときは、当該宅建業者は免許を受けることができません。(5条1項7号,8号)

 かつて個人業者であった者が不正の手段により免許を受けて取消され(66条1項8号)、その取消しの日から5年を経過していない場合も欠格事由となるため(5条1項2号)、本肢の設定では免許を受けることはできません。(5条1項7号)

●宅地建物取引業法5条1項2号
2.第66条第1項第8号又は第9号に該当することにより免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(当該免許を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問、その他いかなる名称を有する者であるかを問わず法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条、第18条第1項、第65条第2項及び第66条第1項において同じ。)であつた者で当該取消しの日から5年を経過しないものを含む。)

わかりやすくまとめると次のようになります。 

〔個人業者で取り消された者〕・・・第66条第1項第8号又は第9号に該当することにより免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者

〔取り消しに係る聴聞の期日・場所の公示の日前60日以内に,当該法人の役員であった者や,名称を問わず,役員等と同等以上の支配力を有していた者〕・・・第66条第1項第8号又は第9号に該当することにより,その法人が免許を取り消され、その法人の取消しの日から5年を経過していない場合で,聴聞の公示日前60日以内に役員等であった者

●役員−宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
第5条第1項関係

1 「同等以上の支配力」の定義について

 本項第2号で「業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む」としているが、「同等以上の支配力」の認定においては、名刺、案内状等に会長、相談役等の役職名を使用しているか否かが一つの基準となる。

2 免許における暴力団の排除に関する措置について

 法第3条第1項の免許を受けようとする者等(法人の場合においては、役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問、その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)及び宅地建物取引業に関し事務所の代表者である使用人、個人の場合においては、その者(その者が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合には、その法定代理人)及び宅地建物取引業に関し事務所の代表者である使用人)が暴力団の構成員である場合には、本項第5号に掲げる要件に該当することとする。

 → 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方

5.「C社の取締役について、かつて破産手続開始の決定があった場合で、

復権を得てから5年を経過していないとき、C社は、免許を受けることができない。」(H12-30-3)

【正解:×

◆破産しても復権を得れば、免許を受けられる

 破産者で復権を得ていない者(法人では、一定の支配力を有すると認められる者が該当する場合)は、免許を受けることができません。

 しかし、破産した後に復権を得て、他に欠格事由がなければ、免許を受けることができます。(5条1項1号)

●参考問題
宅地建物取引業の免許を申請する5年以内に宅地建物取引業に関して著しく不当な行為をした者は,宅地建物業の免許の欠格要件に該当する。(昭和56年・問37改)

【正解:

  宅地建物取引業の免許を申請する5年以内に宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をした者は,宅地建物業の免許の欠格要件に該当します。(法5条1項4号)

●参考問題
1.「宅地建物取引業の免許を受けた個人が,免許を受けてから1年を経過しても事業を開始しないときは,免許の取り消し事由になる。」(昭和55年・問39改)

【正解:

2.「甲県知事の免許を受けた宅地建物取引業者が免許を受けてから1年以内に事業を開始しない場合において,事業を開始しなかったことについて正当な理由があるときは,甲県知事は,の免許を取り消すことはできない。」(昭和63年・問44改)

【正解:×

  免許権者は免許を受けてから1年以内に事業を開始せず,または引き続いて1年以上事業を休止したときは,免許を取り消さなければなりません。(法66条1項6号)

 条文には『正当な理由の有無』の規定はなく,本肢問のように「事業を開始しなかったことについて正当な理由があるとき」でも,甲県知事は,の免許を取り消さなければなりません。

 なお,この規定で免許を取り消された場合は,免許の取り消しから5年以内は免許の申請はできないという規定はないため,いつでも免許の申請はできます。


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