Brush Up! 宅建業法篇

正解・解説

処分・罰則規定に関する問題4


【正解】

宅地建物取引業法に規定する 監督処分・罰則に関する次の記述は、○か×か。

1.「国土交通大臣は、すべての宅地建物取引業者に対して、都道府県知事

は、当該都道府県の区域内で宅地建物取引業を営む宅地建物取引業者に対し

て、宅地建物取引業の適正な運営を確保し、又は宅地建物取引業の健全な発

達を図るため必要な指導、助言及び勧告をすることができる。」

【正解:

 都道府県知事の場合、指導、助言、勧告できるのは、当該都道府県の区域内

で宅地建物取引業を営む者であって、その免許した宅地建物取引業者だけでは

ナイところがポイントです。

2.「国土交通大臣は、すべての宅地建物取引業者に対して、都道府県知事

は、当該都道府県の区域内で宅地建物取引業を営む宅地建物取引業者に対し

て、宅地建物取引業の適正な運営を確保するため必要あると認めるときは、

その業務について必要な報告を求め、又はその職員に事務所その他の業務場

所に立ち入り、帳簿、書類その他業務に関係のある物件を検査させることが

できる。」

【正解:

 設問文の記述の通りです。

3.「国土交通大臣は、すべての取引主任者に対して、都道府県知事は、そ

の登録を受けている取引主任者及び当該都道府県の区域内でその事務を行う

取引主任者に対して、取引主任者の事務に関し必要があると認めるときは、

その事務につき必要な報告を求めることができるが、当該取引主任者が求め

られた報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき、50万円以下の罰金に処せら

れる。」

【正解:

 取引主任者が受ける罰則で一番重いのが、この「報告義務違反」であり、50

万円以下の「罰金」に処せられます。(従業者としての守秘義務違反も50万円以下の罰金)

4.「国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許した宅地建物取引業者が

不正手段により免許を取得したことを理由に、免許取消処分をしたとき、そ

の旨を公告しなければならないが、その公告の後であっても、当該宅地建物

取引業者であった者又はその一般承継人は、当該宅地建物取引業者が締結し

た契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引

業者とみなす。」

【正解:

 宅地建物取引業者の免許がその効力を失えば、その者又はその一般承継人

(事務を受け継いだ者)は取引業を営むことができなくなるのが原則です。

 しかし、その免許取消前にすでに締結されていた契約等については、取引

の相手方の立場も尊重する必要があり、その契約に基づく債務の履行等を行

わせることが穏当であると解され、それらの行為を行う者に対し、この宅地

建物取引業法上の義務を課させる必要があり、当該取引の結了(終了)まで

宅地建物取引業者とみなされます。

5.「信託会社及び信託業務を兼営する銀行は、宅地建物取引業を営もうと

するときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を国土交通大臣に

届出をすれば、国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者とみなされる

が、免許に関する規定を除き、宅地建物取引業法の規定が適用される。」

【正解:

  “信託”とは、一定の目的に従って財産の管理又は処分をさせるため、他

人に財産権の移転その他の処分をさせることをいい、その財産権の中には、

金銭、有価証券、動産とならんで宅地建物も含まれています。

 従って、信託財産である宅地建物を不特定多数の者に対して、信託会社が

反復継続して売却等をすることは、同時に宅地建物取引業を営んでいるもの

といえます。

 しかし、信託会社信託業務を兼営する銀行が信託業または銀行業の業務を

営むことができるのは、

 信託会社では信託業法に基づいて内閣総理大臣の免許を受けていること、また、

 信託業務を兼営する銀行では銀行法に基づき内閣総理大臣から免許を受け(かつ、

金融機関の信託業務の兼営等に関する法律による内閣総理大臣の認可)ている

ためですが、

宅建業の業務を営むために新たに宅建業の免許を取得しなければならないとすると、

内閣総理大臣または財務大臣と国土交通大臣の2つの行政庁から

別個の免許を受けなければならないことになることになり、手続面で煩雑になるため、

信託会社及び信託銀行については、宅地建物取引業法の免許に関する事項は

適用されず、国土交通大臣に届け出ることによって、国土交通大臣免許業者と

みなされます。

 しかし、免許に関する事項は別にして、その取引業務に関する事項につい

ては、法律を適用する必要があるため、国土交通大臣は、信託会社等にあら

かじめ、国土交通大臣に届出を義務付けさせ、宅地建物取引業法の規定を適

しています。


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