正解・解説
監督・罰則規定に関する問題1
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
○ | × | ○ | × | × |
1.「宅地建物取引業者は、国土利用計画法の規定に違反して刑罰に処され
た場合、これに伴い、宅地建物取引業法の罰則の適用を受けることはないが
業務停止の処分等を受けることはある。」
【正解:○】 宅地建物取引業者が、業務に関し「他の法令」(特定住宅瑕疵担保責任 の履行の確保等に関する法律及びこれに基づく命令を除く。)に違反し、業者 として不適当と認められるときは、「指示処分」及び「業務停止処分」等の対象 になりますが、宅地建物取引業法によって“罰則(刑罰)”の適用を受けることは ありません。 なお、指示処分とか業務停止処分などは、“行政処分”であって罰則では ありません。 “罰則”とは、直接に「懲役刑」に処されるとか「罰金刑」に処されるこ となどのことをいいます。また、二重処罰(刑罰)は日本国憲法によって禁 止されています。 (例)国土利用計画法違反によって「懲役刑」に処され、さらにそれを理由 に宅地建物取引業法によって訴追され、罰金刑等の「刑罰」に処することは できない(ただし、宅地建物取引業法によって“行政処分”等を下すことは できる)。 |
2.「甲県知事の免許を受けた宅地建物取引業者Aが、乙県内において不正
な行為をした場合、甲県知事は、Aに対し業務停止を命ずることができるが
乙県知事は業務の停止を命ずることはできない。」
【正解:×】
「指示処分」や「業務停止処分」については、都道府県知事は、国土交通大 臣又は他の都道府県知事の免許を受けた業者が、“自己の都道府県内”にお いて業務を行うときにも不正行為等があれば、業務の停止命令をすることが できます。 |
<関連> 甲県に本店、乙県に支店がある業者(すなわち“大臣免許”)に対して、乙 県知事は、「支店」だけでなく、「本店」における業務の停止も命じること ができます。 <参考> 国土交通大臣がすべての宅地建物取引業者に対してできる処分の内容は、 「指導・助言・及び勧告」(いずれも軽いオシカリの程度)ダケです。 大臣が行う「業者免許の取消」や「聴聞」については、基本書でご確認下 さい。(国土交通大臣免許業者に対する処分) |
3.「宅地建物取引業者が、その免許の取消処分を受けた場合であっても、
一つの業務の途中であったときには、当該業務に関してのみ引き続き、業者
の地位にあるものとみなす。」
【正解:○】
たとえ処分によって免許を取り消されたからといって、業務を途中で止め られてしまっては、顧客は非常に困ってしまいます。責任を持って最後まで やり通しましょう。 なお、この規定は、「処分」以外にも、業者が「死亡」等をした場合にも 該当します。(このあたりはあまり深く考えないように!) |
4.「宅地建物取引業者が、業務に関し、取引の公正を害する行為をした場
合、その免許権者は、必要な指示をすることができるが、これから起こるで
あろう行為に対しては、指示をすることができない。」
【正解:×】
損害を与える可能性が大きいとき、予見できていながら何もしないのは許さ れません。前もって“指示”をし、トラブルを未然に防ぐことも大切です。 |
5.「甲県知事の免許を受けた宅地建物取引業者Aが、免許を受けてから1
年以内に事業を開始しない場合において、事業を開始しなかったことについ
て正当な理由があるときは、甲県知事は、相当な期間の催告の後、Aの免許
を取り消すことができる。」
【正解:×】
宅地建物取引業者Aが、免許を受けてから1年以内に事業を開始しなかった ときは、甲県知事は、“正当な事由の有無にかかわらず”Aの免許を“取り 消さなければなりません”。 <ついでに…> 国土交通大臣又は都道県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者の所在 (法人である場合は、その役員の所在をいう)を確知できないときは、官報 又は公報でその事実を公告し、その公告の日から30日を経過しても当該宅地 建物取引業者から申出がないときは、当該業者の免許を“取り消すことがで きます”。 ※官報(政府刊行)、公報(都道府県刊行) |