法令上の制限 基礎編

開発許可に関する問題

正解・解説

開発許可と公共施設


【正解】

× ×

●公共施設のまとめ
開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、次の協議又は同意を得る必要があります。

(1)開発行為に関係がある公共施設の管理者との協議とその同意

(2)開発行為により設置される公共施設を管理することとなる者に対する協議

(3)開発区域の面積が20 ha 以上40 ha未満の開発行為にあっては、

        義務教育施設の設置義務者、水道事業者に対する協議

  開発区域の面積が40 ha 以上の開発行為にあっては、

        義務教育施設の設置義務者、水道事業者、

        一般電気事業者、一般ガス事業者、鉄道事業者に対する協議

●公共施設とは何か

公共施設・・・道路、公園、下水道、緑地、広場、河川、運河、水路及び消防の用に供する貯水施設

都市計画法・4条14項

14  この法律において「公共施設」とは、道路、公園その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。

都市計画法・施行令・第1条の2(公共施設)

 都市計画法第4条第14項 の政令で定める公共の用に供する施設は、下水道、緑地、広場、河川、運河、水路及び消防の用に供する貯水施設とする。

▼思い違いに注意!!  公民館は、公共施設ではありません。

次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。

1.「開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共

施設の管理者の許可を得なければならない。」法改正

【正解:×

 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ開発行為に関係がある公共施

設の管理者の“許可”ではなく管理者と「協議し、同意」を得なければならない

こととされています。

<関連>

◆開発行為前の公共施設の管理

開発許可を申請する者は、事前に、

ア.開発行為に関係のある、今ある公共施設(道路など)の管理者(市町村

  等)のと「協議し、同意」を得、かつ、(改正前:同意、改正後:協議し、同意)

イ.開発によってこれから設置する予定の公共施設の管理者(原則として市

  町村)と「協議」しなければならない。

◆申請書に添付

 なお、開発許可の申請にあたっては、あらかじめ当該開発行為に関係のある公共施設の管理者の同意を得た書面開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理する者その他法令で定める者協議した経過を示す書面を申請書に添付しなければなりません。(H4-19-2) 30条2項、32条

2.「開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為又は開発行為により

設置される公共施設を管理することとなる者その他政令で定める者の同意を

得なければならない。」法改正

【正解:×

 開発行為又は開発行為によりにより設置される公共施設を管理することとなる者

その他政令で定める者の“同意”ではなく、「協議」をしなければなりません。

<条文をチェック>

第32条  (公共施設の管理者の同意等)

1  開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。

2  開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者その他政令で定める者と協議しなければならない。(→施行令23条)

3  前2項に規定する公共施設の管理者又は公共施設を管理することとなる者は、公共施設の適切な管理を確保する観点から、前2項の協議を行うものとする

●公共施設
施行令を調べてみよう

第27条  

  主として住宅の建築の用に供する目的で行なう20 ha以上の開発行為にあつては、当該開発行為の規模に応じ必要な教育施設、医療施設、交通施設、購買施設その他の公益的施設が、それぞれの機能に応じ居住者の有効な作用が確保されるような位置及び規模で配置されていなければならない。ただし、周辺の状況により必要がないと認められるときは、この限りでない。

第23条  (開発行為を行なうについて協議すべき者)

  開発区域の面積が20 ha 以上について開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、次に掲げる者(開発区域の面積が40 ha 未満の開発行為にあつては、第3号及び第4号に掲げる者を除く。)と協議しなければならない。

1 当該開発区域内に居住することとなる者に関係がある義務教育施設の設置義務者

2 当該開発区域を給水区域に含む水道法第3条第5項 に規定する水道事業者

3 当該開発区域を供給区域に含む電気事業法第2条第1項第2号 に規定する一般電気事業者及びガス事業法第2条第2項 に規定する一般ガス事業者

4 当該開発行為に関係がある鉄道事業法 による鉄道事業者及び軌道法 による
軌道経営者

3.「開発許可を申請する者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の

管理者と協議し、その同意を得なければならず、また開発行為又は開発行為に

関する工事により設置される公共施設を管理する者その他法令で定める者

協議しなければならないが、この規定における管理者又は公共施設を管理すること

となる管理者は、公共施設の適切な管理を確保する観点から、上記の協議を行わ

なければならない。」法改正

【正解:

 32条3項の新設

 本来、32条は、公共施設が適切に管理されることを担保するためのものであり、

開発許可を申請する者は公共施設の管理者、あるいは管理者になる者と協議する

ことになっていますが、これまでは、管理者側から同意・協議を拒んだり、手続を

遅延させたりするケースがありました。

 法改正により、このようなことがないように、協議を義務化しました

4.「開発許可を受けた開発行為により公共施設が設置された場合、原則と

して、その公共施設は工事完了の公告の日の翌日にその公共施設の存する市

町村の管理に属する。」

【正解:

  原則としては、「工事完了の翌日」に公共施設の存する市町村の管理に属する

ことになります。

<条文をチェック>

第39条  (開発行為等により設置された公共施設の管理)

  開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により公共施設が設置されたときは、その公共施設は、第36条第3項の公告の日の翌日において、その公共施設の存する市町村の管理に属するものとする

  ただし、他の法律に基づく管理者が別にあるとき、又は第32条第2項の協議により管理者について別段の定めをしたときは、それらの者の管理に属するものとする。

●過去問類題
1.「開発許可を受けた開発行為に関する工事により設置された公共施設は、他の法律に基づく場合を除き、全てその公共施設の存する市町村の管理に属するものとされている。」

【正解:×

 新しく設置された公共施設の管理については、

他の法律に基づく管理者が別にあるとき、

当該開発行為に関する工事により設置される交共施設を管理することとなる者等との協議により管理者について別段の定めをしたとき

 それらの者の管理に属するものとされています。必ずしも、全てその公共施設の存する市町村の管理に属するものというわけではありません。(32条、39条)

5.「開発許可を受けた開発行為により公共施設が設置された場合、原則と

してその公共施設の用に供する土地は、当該施設の管理者に帰属する。」

【正解:

 本設問は「公共施設の用に供する土地」について問うています。

 原則として「当該施設の管理者(その公共施設の管理をおこなう者=市町

村)」に帰属することになります。

<ちょこっとまとめ>

◆開発行為後の公共施設の管理

ア.開発行為によって新しい公共施設(道路等)が設置された場合、その施

  設の管理は原則として「市町村」が行い、

イ.開発行為によって設置された公共施設の敷地の所有権は、開発行為に関

  する工事完了の公告の日の翌日において、原則として当該施設の管理者

  (=市町村)に帰属する。

→つまり、開発行為を行った者は、例えば自分の土地に作った道路(公共施

 設)の用地を市町村に取り上げられるわけです。もちろん補償金はもらえます。

●過去問類題
1.「開発許可を受けた開発行為により設置された公共施設は、市町村等の管理に属することになるが、公共施設の用に供する土地は、当該市町村等には帰属しない。」

【正解:×管理すべき者が市町村等の場合は、原則として市町村等に帰属します。

6.「開発許可を受けた開発行為により、従前の公共施設に代えて新たな公

共施設が設置された場合、従前の公共施設の用に供していた土地で、国また

は地方公共団体が所有するものは、工事完了の公告の日の翌日において、当

該開発許可を受けた者に帰属し、新たに公共施設の用に供する土地は国また

は地方公共団体に帰属する。」

【正解:

 設問文の記述の通りです。

 「公共施設の“管理”の帰属」なのか「“公共施設の用に供する土地”

帰属」なのかを注意して読むようにして下さい。


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