法令上の制限 基礎編
開発許可に関する問題1
開発許可の基本
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
× | ○ | × | ○ | × |
次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。 |
0.「市街化区域内の既に造成された宅地において、敷地面積が1,500平方メートル
の共同住宅を建築する場合は、当該宅地の区画形質の変更を行わないときでも、
原則として開発許可を受けなければならない。」
【正解:×】 既に造成された宅地+区画形質の変更を行わない+共同住宅の建築 ↓ 開発行為の定義を確かめると… <開発行為の定義> 主として建築物の建築 又は 特定工作物の建設の用に供する目的で行う 土地の区画形質の変更 ↓
本設問の内容は、開発行為ではないので、開発許可は不要です。 <まとめ>
○…該当する ×・・・該当しない |
1.「市街化区域内において行う開発行為で、その規模が、1,000平方メー
トル以下であるものは都道府県知事の開発許可を必要としない。」
【正解:×】 <要するに> × 以下 → ○ 未満 原則 「市街化区域内」において行う開発行為で、その規模が、1,000平方メー トル“以下”ではなく、「未満」(三大都市圏の一定の区域では原則500平 方メートル未満)であるものは都道府県知事の開発許可を必要としません。 ヒックリ返すと、「市街化区域内」において行う開発行為で、その規模 が、1,000平方メートル「以上」であるものは都道府県知事の開発許可が必要となります。 例外 同じ市街化区域でも、開発許可の必要な範囲は、 ・三大都市圏の一定の区域では原則500平方メートル以上 ・都道府県知事は、市街化の状況により、都道府県の規則で300平方メートル以上 という二つの規定もあり、1000平方メートル未満であったとしても、 日本の全ての市街化区域で、許可不要とは限りません。注意してください。 <確認> *開発許可を必要としない“例外”についても必ず基本書等でご確認下さい。 ◆開発行為には次の2種類があります [1] “一般的な建築物”の建築のため土地の区画・形質の変更を行うこと 【用語の定義】 建築……新築に限らず、増築・改築・移転も含みます。 建築物……ア.土地に定着する工作物のうち、屋根および柱もしくは壁を有するもの イ.アに附属する門または堀 ウ.観覧用工作物(競技場のスタンドなど) エ.地下もしくは高架の工作物内の事務所、店舗、興行場、 倉庫その他これらに類する施設 オ.一体をなす電気・ガス等の建築設備 (建築基準法2条1号) ▼ 木造,鉄筋造の建築物はもちろん、プレハブ等簡易なものも建築物に該当。 [2] “特定工作物(2種類)”を建設するための土地の区画・形質の変更 特定工作物とは、工作物のうちで以下に該当するものです。 【用語の定義】 法・4条11項、施行令1条 ア.第一種特定工作物(環境悪化のおそれのあるもの) コンクリートプラント、アスファルトプラント、クラッシャープラント、 危険物貯蔵施設など周辺に悪影響をもたらすもの イ.第二種特定工作物(災害の発生のおそれのあるもの) 樹木乱伐による溢水(いっすい)の災害発生の防止のために規定 a) ゴルフコース(面積関係ナシに、第2種特定工作物になります。) b) 1ヘクタール以上の運動場、陸上競技場、野球場、テニスコート・ レジャー施設・遊園地・墓園等 (1ヘクタール未満のものは、第2種特定工作物ではありません。) また、学校(大学・専修学校・各種学校を除く)の施設に該当 するものは含めません。(施行令第1条2項の1) <まとめ> 土地の区画・形質の変更とは何か 1 土地の区画の変更→土地の分割(単なる土地の権利の分筆、合筆は含まない) 道路等の公共施設の改廃を伴う敷地範囲の変更など 2 土地の形状の変更→切土又は盛土を伴う造成工事 3 土地の性質の変更→宅地以外の土地を宅地とする行為 農地から宅地への地目の変更など 【注意】 土地の区画・形質の変更をしても、建築物の建築や特定工作物の建設を 目的にしていないものは、開発行為ではないので、開発許可は不要です。 |
開発許可を必要とする開発行為の規模の区域による基準 | |
三大都市圏の市街化区域のうち、一定の区域 | 500平方メートル以上 |
上記以外の市街化区域 | 1,000平方メートル以上
※都道府県知事は、市街化の状況 |
非線引き区域
準都市計画区域 |
3,000平方メートル以上
※都道府県知事は、市街化の状況 |
市街化調整区域 | どんな規模でも開発許可が必要 |
両区域外
(都市計画区域でも、準都市計画区域でもない) |
1 ha以上 |
2.「建築物を建築する目的で開発行為をしようとする者は、原則として、
市街化調整区域内においてはすべて、市街化区域内では1,000平方メートル
以上、区域区分が定められていない都市計画区域(非線引き区域)及び準都市
計画区域において3,000平方メートル以上の土地について行うとき、都道府県知事の
許可を受けなければならない。」法改正
【正解:○】 これが開発許可を要する原則規模です。 ●各区域での開発許可の必要な面積規模 ◆都市計画区域 市街化区域・・・1,000平方メートル以上 区域区分の定められていない都市計画区域・・・3,000平方メートル以上 市街化調整区域…原則として全ての開発行為が開発許可を必要とする。 (面積を問わず、開発許可が必要。) ◆都市計画区域外 準都市計画区域・・・3,000平方メートル以上 両区域外・・・10,000平方メートル(1 ha )以上 ▼なお、例外として、首都圏、中部圏、近畿圏の一定の市街化区域において は、500平方メートル以上とされています。 ▼都道府県知事は、市街化の状況等により特に必要があると認められる場合は、都道府県の規則で300平方メートル以上の一定の範囲内で別に定めることができます。 (指定都市にあってはその市の規則) 市街化区域→ 300平方メートル以上1,000平方メートル未満 区域区分が定められていない都市計画区域及び準都市計画区域 ↓ 300平方メートル以上3,000平方メートル未満 ▼準都市計画区域 都市計画区域外の区域のうち、そのまま土地利用を整序することなく放置すれば、将来における都市としての整備、開発及び保全に支障が生じる恐れがあると認められる区域(市町村決定)のことをいいます。 |
3.「都道府県知事は、用途地域が定められていない土地の区域について開発
許可をするときは、区域・目的・予定建築物の用途を限り、開発区域内の予定建築
物の敷地面積の最低限度に関する制限を定めることができる。」法改正
【正解:×】 <形態条件>平成2・4・6・12年に出題。法改正 用途地域が定められていない土地の区域について開発許可をする場合、 (用途地域が定められていない土地の区域=市街化調整区域・非線引き白地地域・準都市計画区域で用途地域の定められていない区域・両区域外) 都道府県知事が特に必要があると認めるときには、 建ぺい率、建築物の高さ、壁面の位置その他建築物の敷地、構造および設備 に関して制限を定めることができることになっています。 (都市計画法41条1項) これは、41条2項で「この区域内では建築物はこの建築制限に違反して建築 してはならない」として念を押していますが、「ただし、都道府県知事が当該区域 及びそのその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認め、又は公益 上やむを得ないと認めて許可したときは、この限りではない」としています。(平成4年) <地方公共団体の条例による、開発許可の基準の付加> 法改正により、地方公共団体は、条例で次の二つを開発許可の基準に付加できることになりました。 1.開発許可基準の技術的細目(33条2項)の制限の強化又は緩和(33条3項) 2.区域・目的・予定建築物の用途を限り、開発区域内の 予定建築物の敷地面積の最低限度に関する制限(33条4項) この二つとも、指定都市等及び事務処理市町村以外の市町村は、条例を定めようとするときは、あらかじめ、都道府県知事と協議して、その同意を得なければならないとされています。(33条5項) ▼本設問は、41条の制限と33条4項の制限を混同したものです。 |
●過去問類題 |
1.「用途地域が定められていない土地の区域内で都道府県知事が開発許可をするにあたって建築物の敷地、構造及び設備に関する制限を定めた土地の区域内においても、都道府県知事の許可を受ければ、これらの制限を超える建築物を建築することができる。」
【正解:×】「ただし、都道府県知事が当該区域及びそのその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可したときは、この限りではない」(41条2項) |
2.「都道府県知事は、用途地域が定められていない土地の区域内における開発行為について開発許可をする場合において、必要があると認めるときは、当該開発区域内の土地について、建築物の高さの制限に関する制限を定めることができるが、壁面の位置に関する制限を定めることはできない。」 【正解:×】 建ぺい率、建築物の高さ、壁面の位置その他建築物の敷地、構造および設備 に関して制限を必要ならば定めることができることになっています。必ず定めるのではありません。 |
4.「都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内で行う開発行為で、開発区域
の面積が10,000 平方メートル以上のものについては、あらかじめ、都道府県知事の
許可を受けなければならない。」法改正
【正解:○】 <要するに> 10,000 平方メートル= 1 ha 、つまり開発許可必要 改正前は、都市計画区域外の区域は、開発許可が不要でしたが、準都市計画区域が創設された為、二つに分かれました。 都市計画区域「外」かつ準都市計画区域「外」は、法改正のため、1ha 以上の場合は、許可が必要になりました。 都市計画区域「外」でも、準都市計画区域「内」ならば、3,000平方メートル(0.3ha)以上ならば、許可が必要になりました。
なお、本問題集では、今後は、都市計画区域「外」かつ準都市計画区域「外」を 「両区域外」と表記することにいます。 両区域外は、条文では、「都市計画区域及び準都市計画区域外の区域」となっており、 宅建の試験でも、この条文の用語を用いるものと思われます。(基本書によっては、他に 「未定区域」など、この用語はさまざまに個性的な名前をつけられています。) 準都市計画区域および両区域外では、開発許可にあたり法第33条の技術基準が適用されることになります。 |
●1ha以上は、両区域外でも許可必要―29条2項の新設 |
都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内において、それにより一定の市街地を形成すると見込まれる規模として政令で定める規模(1 ha以上)の開発行為をしようとする者いは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる開発行為については、この限りでない。 1.農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為 2.以下の開発行為 ・公益上必要な建築物のうち開発区域及びその周辺の地域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がないものとして政令で定める建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為 ・都市計画事業の施行として行う開発行為 ・公有水面埋立法(大正10年法律第57号)第2条第1項の免許を受けた埋立地 ・非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為 ・通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの |
5.「区域区分が定められていない都市計画区域(非線引き都市計画区域)200平方
メートルと都市計画区域及び準都市計画区域外の区域2,800平方メートルにまたが
る、開発区域の面積が3,000平方メートルの住宅団地建設のための開発行為は、
開発許可が必要である。」(H5-18-4 改)
【正解 : ×】
2つの区域とも、それぞれ開発許可を必要とする面積ではありませんが、2つの区域にまたがった場合には、全体の開発面積の合計では開発許可を必要とするケースがあります。単純化すれば、2つの区域の合計面積を『開発許可を必要とする面積が大きい区域』での開発許可を必要とする面積と比べて開発許可の要否が決定されます。(市街化調整区域を含まないものとします)
本問の場合は、2つの区域の合計が開発許可を必要とする面積が大きい区域である「都市計画区域及び準都市計画区域外の区域」の1 ha(10,000平方メートル)よりも少ないため、開発許可は不要になります。 もし、2つの区域ともそれぞれ開発許可を必要とする面積ではなくても、2つの区域の合計が1 ha 以上ならば、開発許可が必要になります。 【まとめ】 市街化調整区域の入っていない、2つ以上の区域にわたる場合は、 処理が 1) 両区域外を含まないとき 2) 両区域外を含むとき の二つに分けられます。 (市街化調整区域が入る場合は、別に考えなければいけません。面積要件だけでは、市街化調整区域の開発許可は判断できないからです。) 以下の要件を満たすとき、開発許可は不要です。(29条3項、施行令第22条の3) 開発区域の合計と、2つ以上の区域の各区域ごとの面積と、着目点が2つあります。 1) 両区域外を含まないとき
2) 両区域外を含むとき
|
●2以上の区域にわたる場合法改正 |
◆市街化調整区域がこの規定には入っていないことに注意!
市街化区域、 区域区分が定められていない都市計画区域 準都市計画区域 都市計画区域及び準都市計画区域外の区域 ◆市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域のうち2以上の区域における開発区域 各区域とも、それぞれの区域では開発許可対象未満であっても、全体の開発面積では 非線引き区域 or 準都市計画区域の開発許可対象規模を上回る場合には、 開発許可を要することになります。 (開発許可が不要なのは、2以上の区域における開発区域の面積の合計が、 当該開発区域に係るそれぞれの区域について開発行為の許可を要しないこととされる規模のうち最も大きい規模未満 のときになります。) つまり、面積の合計が3,000平方メートル以上(都道府県の規則で別に規模が定められている場合は、その規模 以上)になれば、開発許可を要することになります。 【ケース・1】 市街化区域(1,000平方メートル未満)+非線引き区域(3,000平方メートル未満) 【ケース・2】 市街化区域(1,000平方メートル未満)+準都市計画区域(3,000平方メートル未満) 【ケース・3】 市街化区域(1,000平方メートル未満)+非線引き区域(3,000平方メートル未満)+準都市計画区域(3,000平方メートル未満) 上の三つとも、合計面積が3,000平方メートル以上のときは、開発許可が必要。 (都道府県の規則で別に規模が定められている場合は、その規模 以上) ◆両区域外と 市街化区域と非線引き区域又は準都市計画区域のうちのどれかで 2以上の区域における開発区域 各区域とも、それぞれの区域では開発許可対象未満であっても、全体の開発面積では 両区域外の開発許可対象規模を上回る場合には、開発許可を要することになります。 つまり、合計が1 ha 以上になれば、開発許可を要することになります。 【ケース・1】 市街化区域(1,000平方メートル未満)+両区域外(1 ha 未満) 【ケース・2】 非線引き区域(3,000平方メートル未満)+両区域外(1 ha 未満) 【ケース・3】 準都市計画区域(3,000平方メートル未満)+両区域外(1 ha 未満) 【ケース・4】 市街化区域(1,000平方メートル未満)+非線引き区域(3,000平方メートル未満)+準都市計画区域(3,000平方メートル未満)+両区域外(1 ha 未満) 上の四つとも、合計面積が1 ha以上のときは、開発許可が必要。 |
開発許可が必要かどうか判定する為のフローチャート法改正 |
◆開発許可の要否の判定
1.建築物の建築・特定工作物の建設のための土地区画の形質の変更か? No → 開発行為ではないので、開発許可不要 2.法29条の開発許可不要の例外に該当するか? Yes → 開発許可不要 3.市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域・準都市計画区域・両区域外のどれにあたるか? 建築物か、特定工作物か? 規模はどのくらいか? → 開発許可の要否の決定 ※開発許可の要否と許可・不許可を区別してください! ◆開発許可されるかどうかの判定 4.法33条の開発許可基準を満たしているか? 市街化調整区域の開発許可基準(法34条)を満たしているか? → 開発行為の許可・不許可 |