法令上の制限 基礎編

開発許可に関する問題3

33条の開発許可基準と29条の開発許可不要の区別

正解・解説


× ×

10
× ×

●開発許可と基準
市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域

 都市計画区域及び準都市計画区域外

29条のどれかに該当 → 開発許可不要

(両区域外では、29条の2項のどれかに該当)

33条の一般的基準に適合 → 開発許可

市街化調整区域

29条のどれかに該当 → 開発許可不要
建築物・第1種特定工作物 33条の一般的基準に適合

かつ34条の基準のどれかに該当 → 開発許可

第2種特定工作物 33条の一般的基準に適合 → 開発許可

●開発許可不要(29条) -都市計画区域及び準都市計画区域内-

(市街化調整区域・非線引き区域・準都市計画区域)
農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為。→両区域外でも許可不要

・「公益上必要な建築物のうち開発区域及びその周辺の地域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がないものとして政令で定める建築物→両区域外でも許可不要

     (博物館・図書館・公民館・鉄道施設・変電所その他これらに類する

      政令で定める公益上必要な建築物)

非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為→両区域外でも許可不要

通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定める開発行為→両区域外でも許可不要

・都市計画事業の施行として行う開発行為。→両区域外でも許可不要

土地区画整理事業の施行として行う開発行為 (施行者は問わず)

 市街地再開発事業の施行として行う開発行為

 住宅街区整備事業の施行として行う開発行為

 防災街区整備事業の施行として行う開発行為

・公有水面立法の免許を受けた埋立地で、まだ工事の竣工許可の告示がない土地の開発行為→両区域外でも許可不要

次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。

1.「都道府県知事は、市街化区域における開発許可の申請があった場合におい

て、当該開発行為が都市計画法33条の開発許可の基準に適合し、かつ、その申請

手続が法令に違反していなくても、公益上支障があると認めるときは、その開発許可

を拒むことができる。」

【正解:×

◆33条の開発許可基準

 第33条1項では、  

都道府県知事は、開発許可の申請があつた場合において、

 当該申請に係る開発行為が、基準に適合しており、かつ、

 その申請の手続が都市計画法又は都市計画法に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、

 開発許可をしなければならない。

 としており、「公益上支障があると認めるときは、その開発許可を拒むことができる。」という文言はありません。

2.「開発区域内の土地について、用途地域が定められている場合で、予定建築物

の用途がこれに適合していないときは、開発許可を受けることができない。」(H12-19-3)

【正解:

◆33条の開発許可基準

 設問文の記述の通りです。

都市計画法33条1項1号では、開発許可の基準として、以下の規定があります。

当該申請に係る開発区域内の土地について、

用途地域、

特別用途地区、

特定用途制限地域、

流通業務地区

港湾法第39条第1項の分区

などの「用途地域等」が定められているときは、

予定建築物等の用途が当該用途地域等に適合していること

特別用途地区にあつては建築基準法第49条第1項又は第2項の条例

特定用途制限地域にあつては同法第49条の2の条例

港湾法第39条第1項の分区にあつては同法第40条第1項の条例に適合していること。)

申請する開発区域内の土地について、地区計画等が定められているときは、予定建築物等の用途や開発行為の設計当該地区計画等に定められた内容と即していなければなりません(都市計画法33条1項5号)

3.「市街化区域内において大学・専修学校の建設をする目的で行う開発行

為をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。」

【正解:

◆29条の開発許可不要の可否

 大学や専修学校、各種学校の建築目的の開発行為は、区域・規模により開発許可を要します。市街化区域内では1,000平方メートル以上であれば開発許可が必要です。

 〔注意〕幼稚園・小学校・中学校・高校・高等専門学校・盲学校・聾学校・養護学校などの建築物を建築する目的の開発行為も区域・規模により開発許可が必要です。

■区域・規模により開発許可が必要 ⇒ 市街化区域(1,000平方メートル以上),市街化調整区域(面積によらず開発許可が必要),非線引き都市計画区域・準都市計画区域(3,000平方メートル以上),両区域外(10,000平方メートル以上)

4.「市街化区域内で、農業者が農機具収納施設を建築する目的で行う開発

行為で規模が1,000平方メートルのものは、開発許可は不要である。」法改正

【正解:×

 農業者が農機具収納施設を建築する目的で行う開発行為は、市街化区域外であれば許可は不要ですが、市街化区域内においては、

 たとえ農業者が必要なものを建築する目的で行う開発行為であっても、そ

の規模が1,000平方メートル以上のものであれば、劣悪な市街地が形成され

ないように、都道府県知事の許可が必要となります。

「市街化区域」とは、市街化を優先的かつ計画的に図るべき区域だからです。

<参考>市街化区域以外

 市街化調整区域区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内両区域外において行う開発行為で、

農業・林業・漁業の用に供する政令で定める建築物

これらの業務を行う者の居住の用に供する建築物

 の建築の用に供する目的で行うものは開発許可は不要です。

 平成4・5・6・9・10・11年と頻出しているので注意!

●類題
1.「市街化区域内において、農業者が自ら居住する住宅及び農産物生産の

ための温室を建築する目的で行う開発行為であっても、その規模が1,000平

方メートル以上のものは、都道府県知事の許可を受けなければならない。」【正解:

   農産物生産・集荷の用・
生産資材貯蔵又は保管
農業を営む者の居住の用
に供する建築物

農産物処理・貯蔵・加工
に供する建築物

市街化区域             規模により許可必要
            (1,000 平方メートル以上)
市街化調整区域       常に不要 規模に関係なく許可必要
(市街化調整区域の許可要件)
非線引き都市計画区域 規模により許可必要
(3,000 平方メートル以上)
準都市計画区域 規模により許可必要
(3,000 平方メートル以上)
都市計画区域及び
準都市計画区域外
規模により許可必要
(10,000 平方メートル以上)

註 「生産資材貯蔵又は保管」の用に供するものとしては,
  サイロ・堆肥舎・農機具等の収納施設など。

5.「区域区分が定められていない都市計画区域について、農業者が自ら居住する

住宅及び農産物生産のための温室を建築する目的で行う開発行為は、都道府県

知事の許可を受ける必要はない。」

【正解:

◆29条の開発許可不要

 いわゆる「非線引き区域」における、農林漁業者の一定の建物のための開発行

為は、都道府県知事の許可を受ける必要はありません。

 これは、「市街化調整区域」でも同じでしたね。

区域区分が定められていない都市計画区域(非線引き区域)、市街化調整区域、準都市計画区域、都市計画区域及び準都市計画区域外の区域(両区域外)

 で、農林漁業者の一定の建物のための開発行為は、都道府県知事の許可を受ける必要はありません。(市街化区域を除いて)

6.「建築物の建築の用に供することを目的とする土地の区画形質の変更で、非常

災害のため必要な応急措置として行うものについても、一定の場合には、開発許可

を受ける必要がある。」

【正解:×

◆29条の開発許可不要

 非常災害のための応急措置は開発許可不要です。

7.「市街化区域において行う開発行為で、図書館の建築の用に供する目的

で行うものは、都市計画法に基づく開発許可が常に不要である。なお、開発行為の

規模は1,000平方メートル以上であるものとする。」

【正解:

◆29条の開発許可不要

公益上必要な建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為は許可不要。

 図書館・博物館・公民館・鉄道施設・変電所その他これらに類する政令で定める公益上必要な建築物(29条3項)

●過去問類題
1.「市街化区域内で、私鉄が駅舎を新設する目的で行う開発行為は、開発許可を受ける必要はない。」

【正解:】 私鉄の駅舎=鉄道施設公益上必要な建築物

8.「国、都道府県、指定都市、中核市、特例市若しくは事務処理市町村が行う

開発行為も、原則として、都道府県知事の許可が必要であるが、国の機関や

都道府県等と都道府県知事との協議が成立することをもって、開発許可があったと

みなされる。」

【正解:

◆都道府県知事との協議

 設問文の記述の通りです(都市計画法34条の2第1項)。

●類題

1.「指定都市、中核市、特例市若しくは事務処理市町村が行う開発行為は、

開発許可は不要であるから、都道府県知事と協議する必要はない。」

【正解:×

 国、都道府県、指定都市、中核市、特例市、事務処理市町村の開発行為には開発許可が必要です。開発許可が不要なのではありません。

 知事との協議が成立したことをもって開発許可があったとみなすので誤りです。

9.「市街化区域内の山林において、土地区画整理事業(規模 5 ha)の施行として

開発行為を行う場合は、原則として開発許可を受けなければならない。」

【正解:×

◆29条の開発許可不要

土地区画整理事業の施行として行う開発行為は開発許可不要

  (施行者は、個人・組合でもよく、施行者を問わない。)

   土地区画整理事業 →平成7・10

ただし、「土地区画整理事業が行われている区域内で行う開発行為というだけでは、開発許可不要とは言えません。平成13

▼ついでに、都市計画事業の施行として行う開発行為も,区域を問わず,開発許可不要です

 都市計画区域内で開発許可不要のもの 両区域外の扱い
 都市計画事業の施行として行う開発行為
(都市計画区域及び準都市計画区域)
許可不要
 土地区画整理事業の施行として行う開発行為  −
 市街地再開発事業の施行として行う開発行為  −
 住宅街区整備事業の施行として行う開発行為  −
 防災街区整備事業の施行として行う開発行為  −

●類題
1.「土地区画整理事業が行われている区域内において行う開発行為は、開発許可を常に受ける必要がない。」

【正解:×

 土地区画整理事業が行われている区域 → 開発許可が必要な場合と不要な場合

                            があり、常に不要とは言えない。

 開発許可を受ける必要がないのは、土地区画整理事業の施行として行われる開発行為です。 (本設問は、H13-18-3 を改題しました。)

10.「開発許可申請に係わる開発区域内の土地について地区計画(地区整備計画が

が定められているものとする)が定められているときは、予定建築物等の用途又は

開発行為の設計が当該地区計画に定められた内容に即して定められていなければ

ならない。」

【正解:

◆33条の開発許可基準

 第33条1項5号では、 開発許可申請に係わる開発区域内の土地について、地区整備計画などが定められている地区計画等が定められているときは、 予定建築物等の用途又は開発行為の設計が当該地区計画等に定められた内容に即して定められていなければならない、とされています。

 地区計画等が定められている場合全てではないことに注意してください。

地区計画  地区整備計画 又は

 再開発等促進区、

 開発整備促進区

防災街区整備地区計画  地区防災施設の区域特定建築物地区整備計画

 又は 防災街区整備地区整備計画

歴史的風致維持向上

地区計画

 歴史的風致維持向上地区整備計画
沿道地区計画  沿道再開発等促進区 又は 沿道地区整備計画
集落地区計画  集落地区整備計画

●景観法制定による開発許可基準の追加
景観計画区域内における開発許可の基準を,景観行政団体は条例で定めることができる。 (都市計画法33条5項)


開発許可の問題4を解く

開発許可のトップに戻る

法令上の制限・基礎編のトップに戻る