法令上の制限 基礎編

開発許可に関する問題4

市街化調整区域

正解・解説


【正解】

× × × ×

●開発許可と基準
市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域

 都市計画区域及び準都市計画区域外

29条のどれかに該当 → 開発許可不要

(両区域外では、29条の2項のどれかに該当)

33条の一般的基準に適合 → 開発許可

市街化調整区域

29条のどれかに該当 → 開発許可不要
建築物・第1種特定工作物 33条の一般的基準に適合

かつ34条の基準のどれかに該当 → 開発許可

第2種特定工作物 33条の一般的基準に適合 → 開発許可

次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。

1.「市街化調整区域内において、開発区域の周辺における市街化を促進す

るおそれがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難または著しく不適当と

認められるものについて都道府県知事が開発許可をする場合、開発審議会の議を

経る必要はない。」

【正解:×

●市街化調整区域での許可基準 34条

市街化調整区域は、原則として開発行為が禁止されている区域。

 一定の用途の建築物等のみ開発許可を受ければ建築可能になります。

  開発行為の申請があったとき、(市街化調整区域を除き)、都市計画法第33条の基準

の全てに該当するものは、許可しなければなりません。(開発許可の一般的基準)

 しかし、本問のような「市街化調整区域内における開発行為」については

33条の一般的基準に加えて、都市計画法34条に規定する許可基準を満たすもので

なければ、開発許可をしてはならないとされ、厳しい抑制をしています。

 この34条の中に都道府県知事があらかじめ開発審議会の議を経たものがあります。

 開発区域周辺の市街化を促進するおそれがなく、かつ市街化区域内で

  行なうことが困難又は著しく不適当な開発行為

本問は、これに該当しているため、開発審議会の議を経なければいけません

●都市計画法34条―市街化調整区域での許可基準―
 1.主として当該開発区域の周辺において居住している者の日常生活のため必要な

   物品の販売、加工、修理などの業務を営む店舗、事業場その他これらに

   類する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為(平成元、9年)

 2.市街化調整区域内の鉱物資源、観光資源等の有効な利用上、必要

   建築物、または第1種特定工作物の用に供する目的で行う開発行為

   (採石クラッシャープラント、コンクリートプラントなど)

 3.温度、湿度、空気等について特別の条件を必要とする政令で定める事業の用に

  供する建築物又は第1種特定工作物で、当該特別の条件を必要とするため

  市街化区域内において建築し、又は建設することが困難なものの建築又は

  建設の用に供する目的で行う開発行為

 4.市街化調整区域内において生産される農林水産物の処理、貯蔵、加工

   のための建築物(加工工場等)の用に供する目的で行う開発行為 (平成12年)

 5.特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に

   関する法律の規定による公告があった所有権移転等促進計画の定めるところ

   によって行う開発行為

 6.都道府県が国・独立行政法人 中小企業基盤整備機構と一体となって助成

   する中小企業の事業の共同化又は工場、店舗等の集団化に寄与する事業

   の用に供する建築物・第1種特定工作物の建築または建設の用に供する

   目的で行う開発行為

   (中小企業の共同化による工場など)

 7.市街化調整区域内において現に工業の用に供されている工場施設における事業

   と密接な関連を有する事業の用に供する建築物又は第一種特定工作物で、これら

   の事業活動の効率化を図るため市街化調整区域内において建築し、又は建設する

   ことが必要なものの建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為

 8.政令で定める危険物の貯蔵又は処理に供する建築物又は第一種特定工作物で、

   市街化区域内において建築し、又は建設することが不適当なものとして政令で

   定めるものの建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為

   (火薬庫である建築物又は第一種特定工作物)

 9.前各号に規定する建築物又は第一種特定工作物のほか、市街化区域内において

   建築し、又は建設することが困難又は不適当なものとして政令で定める建築物

   又は第一種特定工作物の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為

   ・道路の円滑な交通を確保するために適切な位置に設けられる道路管理施設、

    休憩所又は給油所等である建築物又は第一種特定工作物

   ・火薬類取締法第二条第一項 の火薬類の製造所である建築物

(ドライブイン(飲食店)、ガソリンスタンドなどいわゆる沿道サービス施設)

 10.地区計画又は集落地区計画の区域(地区整備計画又は集落地区整備計画が

     定められている区域に限る。)内において、当該地区計画又は集落地区計画に

     定められた内容に適合する建築物又は第一種特定工作物の建築又は建設

     用に供する目的で行う開発行為

 11.市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化

    区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であつておおむね

    50以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域

    のうち、政令で定める基準に従い、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村

    の区域内にあつては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下この号及び

    次号において同じ。)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為

   、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上

    支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの

     (開発指定区域、この区域の一部は改正前、既存宅地と呼ばれていました。)

    →三重県の例、→兵庫県の例

 12.開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、

     市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為

     として、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で区域、目的又は予定建築

     物等の用途を限り定められたもの

 13.区域区分に関する都市計画が決定され、又は当該都市計画を変更して

   市街化調整区域が拡張された際市街化調整区域に関する区域が定められた際、

   自己の居住用建築物または事業用の建築物、第1種特定工作物を建設する目的

   で、土地または土地利用権を有していた者で、線引き後6ヶ月以内に都道府県

   知事に届け出た者その届出目的に従って5年以内に行う開発行為

    (市街化調整区域になるとき既存の権利の届け出を受理された開発行為)

 14.前各号に掲げるもののほか、

   都道府県知事があらかじめ開発審査会の議を経て、

  開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、

   市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められるもの

●過去問類題
1.「市街化調整区域内において行う開発行為で、周辺地域における日常生活に必要な物品の販売を営む店舗の建築の用に供する目的で行うもの は、都市計画法に基づく開発許可が常に不要である。なお、開発行為の規模は1,000平方メートル以上であるものとする。」

【正解:×

 34条1項により、 開発許可は必要です。不要ではありません。

34条の規定とは、開発許可を申請して、開発許可処分をする基準のことであって、

開発許可が不要と言うことではないのです。

2.「市街化調整区域内における開発行為であっても、その区域内で生産される

農産物の加工に必要な建築物の建築の用に供する目的で行うものについては、

開発許可を受けることなく、行うことができる。」(H12-20-2)

【正解:×

●市街化調整区域での許可基準 34条

 本設問は、「調整区域内での開発許可不要」と「調整区域内での開発許可基準」の混同を狙ったヒッカケ問題です。上で見たように、本設問の内容は、開発許可を受けなければなりません。決して、許可不要と言うわけではありません。

 4.市街化調整区域内において生産される農林水産物の処理、貯蔵、加工

   のための建築物(加工工場等)の用に供する目的で行う開発行為

3.「市街化調整区域内における開発行為であっても、当該開発区域の周辺におい

て居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理などの業務

営む店舗、事業場その他これらに類する建築物の建築の用に供する目的で行うもの

については開発許可を受けることなく、行うことができる。」

【正解:×

●市街化調整区域での許可基準 34条

 本設問は、「調整区域内での開発許可不要」と「調整区域内での開発許可基準」の混同を狙ったヒッカケ問題です。上で見たように、本設問の内容は、開発許可を受けなければなりません。決して、許可不要と言うわけではありません。

4.「図書館又は公民館の建築の用に供する目的で行う開発行為は、

市街化調整区域内におけるものであっても、その規模の大小を問わず、開発許可

を受けることなく、行うことができる」

【正解:

●市街化調整区域でも許可不要 29条

 図書館、博物館、公民館、鉄道施設、変電所などの公益上必要な建築物

うち開発区域及びその周辺の地域における適正かつ合理的な土地利用及び

環境の保全を図る上で支障がないものとして政令で定める建築物の建築

用に供する目的での開発行為については、規模の大小を問わず、また 区域を

問わず、開発許可は適用除外、不要です。

●過去問類題
1.「市街化区域内において行う開発行為で、博物館の建築の用に供する

目的で行うものは、都市計画法に基づく開発許可が常に不要である。なお、開発

行為の規模は1,000平方メートル以上であるものとする。」

【正解:

 公益上必要で政令で定める建築物の建築の用に供する目的での開発行為については、

 開発許可は不要です。

2.「市街化調整区域内において行う開発行為で、私立大学である建築物の建築の

用に供する目的で行うものは、都市計画法に基づく開発許可が常に不要である。

なお、開発行為の規模は1,000平方メートル以上であるものとする。」

【正解:×

 大学は、公益上必要で政令で定める建築物ではないので、開発許可が必要

5.「市街化調整区域区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計

画区域内、及び都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内において行う開発

行為で、農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務

を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行うものには、開発

許可は不要である。」

【正解:

●市街化調整区域でも許可不要 29条

 都市計画法29条1項2号、29条2項1号により、市街化区域を除いて

農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を

営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為には、

開発許可は不要です。

農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物

・温室、畜舎、蚕室、孵卵育雛(ふらんいくすう)施設、集乳施設どこれらに類する農産物、林産物、又は海水物ふの生産又は集荷の用に供する建築物

・堆肥舎、サイロ、種苗貯蔵施設、農機具収納施設その他これらに類する農業、林業又は漁業の生産資材の貯蔵又は保管の用に供する建築物

・家畜診療の用に供する建築物

・用排水機、取水施設など農用地の保全若しくは利用上必要な施設の管理の用に供する建築物など

   農産物の生産・集荷の用・
農業を営む者の居住の用
に供する建築物

農産物の処理・貯蔵・加工
に供する建築物

市街化区域             規模により許可必要
            (1,000 平方メートル以上)
市街化調整区域       常に不要 規模に関係なく許可必要
(市街化調整区域の許可要件)
非線引き都市計画区域 規模により許可必要
(3,000 平方メートル以上)
準都市計画区域 規模により許可必要
(3,000 平方メートル以上)
都市計画区域及び
準都市計画区域外
規模により許可必要
(10,000 平方メートル以上)

6.「市街化調整区域におけるゴルフコース等の第2種特定工作物の建設の用に

供する目的で行う開発行為については、都道府県知事は、開発許可の際、あらか

じめ、開発審査会の議を経なければならない。」

【正解:×

●市街化調整区域と特定工作物

 市街化調整区域内でも、第2種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為

については、33条の開発許可基準に適合していることが開発許可の要件となって

おり、都道府県知事が開発許可を与える際に、開発審査会の議を経る

必要はありません。 

●開発許可―市街化調整区域内―

【 開発許可不要-29条-のチェック 】 

農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為。

公益上必要な建築物のうち,開発区域やその周辺地域の適正かつ合理的な土地利用・環境の保全を図る上で支障がないものとして政令で定める建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為。

(公民館・鉄道施設・変電所その他これらに類する政令で定める建築物)

註 改正によって,医療施設,福祉施設,幼稚園・小学校・中学校・高校は,区域・開発規模により開発許可が必要になりました。

非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為

通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定める開発行為

・都市計画事業の施行として行う開発行為。

土地区画整理事業の施行として行う開発行為 (市街化調整区域でも、施行者は問わず)

 市街地再開発事業の施行として行う開発行為

 住宅街区整備事業の施行として行う開発行為

・公有水面立法の免許を受けた埋立地で、まだ工事の竣工許可の告示がない土地の開発行為

【市街化調整区域の開発許可】

 市街化調整区域では、原則として、全ての開発行為に開発許可が必要です。

1) 建築物、第1種特定工作物

 開発許可が不要である(29条)かをチェックする。→ Yes 開発許可不要

        ↓ No 開発許可が必要

 開発許可基準(33条)を満たし、かつ

 市街化調整区域での開発許可基準(34条)を満たすものに開発許可

2) 第2種特定工作物→Yes 許可必要

 ゴルフコースは、面積問わず。

 ゴルフコース以外は、 1 ha 以上


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