法令上の制限 基礎編

建築基準法・建築確認と建築協定

●建築確認の問題2

正解・解説


【正解】

× × ×

都市計画法の改正により創設された準都市計画区域の区域内でも都市計画区域とほぼ同じ規制が適用され、建築確認の規定も適用されます。

建築基準法の規定によれば、次の記述は○か、×か。

1.「都市計画区域及び準都市計画区域内 (都道府県知事が都道府県都市計画審議会

の意見を聴いて指定する区域を除く) おいて建築物を新築する場合には、当該建築物の用途、

構造又は規模にかかわらず、建築確認を受ける必要がある。」H7-23-4改

【正解:

◆都市計画区域内の新築は全て建築確認が必要

 都市計画区域内、準都市計画区域内、両区域外の知事指定区域・準景観地区内において建築物を新築する場合には、その建築物の用途、構造又は規模に関係なく、すべて建築確認が必要です。 

  -− -− -− -− -−

☆例外☆

●都道府県知事による指定により、建築確認を受けなくてもよい区域

都市計画区域の区域内

準都市計画区域の区域内

都道府県都市計画審議会の意見を聴いて、

建築確認を受けなくてもよい区域を指定できる

都市計画区域の区域外

(準都市計画区域を除く)

両区域外

関係市町村の意見を聴いて、

建築確認を受けなければいけない区域を指定できる。

●市町村長の指定により、建築確認を受けなくてもよい区域

 (準景観地区内では、原則として、建築確認が必要です。)

準景観地区区域内 市町村長は、

建築確認を受けなくてもよい区域を指定できる

 

●建築基準法の第6条1項4号をチェックしましょう

区域内にある建築物に、建築確認が必要なのは

都市計画区域及び準都市計画区域における建築物

都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)

準景観地区 (市町村長が指定する区域を除く) 内における建築物

都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて

その区域の全部若しくは一部について指定する区域における建築物

2.「都市計画区域及び準都市計画区域外の区域においては、建築物を新築

する際、建築士の設計及び工事監理に委ねれば、建築確認を要しない。」

H5-21-1改 法改正により改

【正解:×

◆両区域外で建築確認が必要になるケース

 都市計画区域の内外を問わず、建築基準法には、建築士の設計及び工事監理に委ねれば建築主事の確認がいらない、という規定はありません。

 両区域外で建築確認が必要なケースは次のようなものです。

1.知事の指定する区域

 都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域では

一般建築物にも、建築確認が必要になります。(建築基準法6条1項4号)

2.準景観地区

 市町村が定める準景観地区では、一般建築物にも、建築確認が必要になります。

3.全国どこでも適用される、建築確認が必要な建築物

 1・2を除いた両区域外でも、その建築物に一定の要件があれば、建築確認が必要です。

なお、木造の建築物、木造以外の建築物は、構造計算しなければならないものと同じ数字になっています。参照→単体規定・1の問題7

特殊建築物 用途に供する部分の床面積が

100平方メートル超

 新築・増改築移転

 大規模修繕・模様替え

木造の建築物 地階を含む階数3以上

・高さ13 m

・軒高9 m

・延べ面積 500平方メートル

木造以外の建築物 地階を含む階数2以上

・延べ面積200平方メートル

用途変更して100平方メートル超の特殊建築物にする  用途変更
増改築移転の注意  10平方メートル超の増築・改築・移転は、

どこでも、建築物は何でも建築確認が必要。 

 ―注意―

防火地域・準防火地域外で

10平方メートル以内は建築確認が不要

・防火・準防火地域では、規模に係らず、種類によらず、

増築・改築・移転は建築確認必要

         ●建築確認要否の判定問題の考え方●

◆どのような建築行為か始めに押さえる(どのような建築物かは後回し)

1.新築は、都市計画区域・準都市計画区域(知事指定区域を除く。)なら、

  建築確認が必要

2.増改築移転は、防火・準防火地域以外の区域では、

  どこでも何でも10平方メートル超は建築確認が必要

3.一般建築物に、大規模修繕・大規模模様替えはない

4.用途変更は、特殊建築物に用途を変えるもので

  その用途に供する部分の床面積が100平方メートル超になるものは、建築確認が必要

  (一般→特殊、特殊→特殊 とあり、類似の特殊→類似の特殊は確認不要)

◆どのような建築物か 木造・非木造・特殊は日本全国共通

◆どこにあるか 都市計画区域(準都市計画区域)か、防火準防火地域か

<覚え方>

 階数は以上、それ以外は

 (防火準防火地域での増改築移転も、10平方メートル)

●木造建築物の覚え方

木造―産後の父さん、苦しいね (出産後は支払いが大変)

 =地階を含めて階数以上

 =延べ500平方メートル超

 父さん=高さ13m超

 苦しいね=軒高 m超

非木造―費目2回で200兆円

 2回=地階を含めて階数以上

 200兆円=延べ200平方メートル超

特殊建築物の問題―人が集まる特殊百兆円

 百兆円=用途に供する延べ床面積100平方メートル超
●類題
都市計画区域及び準都市計画区域外の区域にであっても,都道府県知事が指定する区域及び準景観地区においては,建築物の建築を行う場合は,原則として建築確認を受けなければならない。」(昭和62年・問21)
【正解・

 一定の規模の木造建築物、非木造の建築物、100平方メートル超の特殊建築物の建築は,日本全国どこでも建築確認が必要です。都市計画区域及び準都市計画区域外の区域(両区域外)でも建築確認が必要です。

 一般建築物の場合は,都市計画区域及び準都市計画区域外の区域(両区域外)では建築確認は原則として不要です。しかし,これには例外があり,両区域外でも,「都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域」や「準景観地区」では一般建築物にも,建築確認が必要になります。(建築基準法6条1項4号)

一般建築物の新築・増改築移転で建築確認が必要な区域

(防火・準防火地域外での増改築移転は10平方メートル超のときに建築確認が必要)

・「都市計画区域(建築確認が不要と都道府県知事が指定した区域を除く)」

・「準都市計画区域(建築確認が不要と市町村長が指定した区域を除く)」

・両区域外のうち「建築確認が必要だと都道府県知事が指定した区域

・両区域外のうち「市町村が指定した準景観区域

3.「建築主は、建築主事に対し建築確認の申請をする場合は、あらかじめ周辺

住民の同意を得なければならない。」H9-24-3 【類題】H5-21-2

【正解:×

平成年間に2度も出題されていますが、このような規定は建築基準法にはありません。

4.「新築工事の施工者は、工事現場の見易い場所に、建築主、設計者、工事

施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る建築

確認があった旨の表示をしなければならない。」H8-23-2【類題】H4-21-2

【正解:

◆「建築確認済の標識」の表示義務(89条)

 本問の記述のとおりです。当該工事に係る設計図書を当該工事現場に備えておかなければならないことも覚えておきましょう。

建築基準法 89条の条文

 1 (建築確認を受けた)建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、当該工事現場の見易い場所に、国土交通省令で定める様式によつて、建築主、設計者、工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る同項の確認があつた旨の表示をしなければならない。

 2  (建築確認を受けた)建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、当該工事に係る設計図書を当該工事現場に備えておかなければならない。

5.「建築主事は、事務所である建築物について確認をする場合、建築物の

工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければ

ならない。」H10-20-4

【正解:

◆建築確認での消防長等の同意(略・消防同意)

 特定行政庁、建築主事又は指定確認検査機関は建築基準法による許可、又は確認をする場合、建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければ、原則として、当該許可または確認をすることができない(93条1項)

 しかし、以下に見るように、消防同意がなくても、防火上の安全性を確保できると考えられるものについては、同意の代わりに通知によって処理できるとされています。

 防火・準防火地域以外の区域の1戸建て(住宅の用途以外の用途に供する部分が規定の面積以下ならば併用住宅も可)には、消防長等に対して、建築計画の内容を通知するだけでよく、消防長等からの回答を要しませんが、事務所のみの用途の建築物にはこの通知による処理はできません。これにより、本問は○になります。

消防同意の通知化●法改正。通知でよいとされる建築物が広がりました。

施行令147条の3

同意ではなく通知でよいとされる要件
建築設備 すべて通知
 住宅 以下の全ての要件をみたすものに限る。

防火地域・準防火地域以外の区域内

1戸建て(長屋、共同住宅は不可)

・住宅の用途以外の用途に供する部分の床面積の合計が

 延べ面積の1/2未満又は50平方メートル以下

<参考> 改正前は、建設大臣が指定した規格化住宅、建築士の設計に係るものなども通知の要件としてありましたが、これがなくなり簡素化され、通知ですむものが拡大されました。

消防長などが不同意の場合

 消防長等の不同意の事由が「法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定で建築物の防火に関するもの」でない場合は、この不同意が法律的な根拠がないため、消防等が不同意であっても、建築主事・指定確認検査機関は確認することができます。

6.「国土交通省令で定める軽微な変更を除き、当該確認を受け確認済証を交付

された建築物の計画の変更をして建築物を建築しようとする場合、計画変更の確認

の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければなら

ないが、すでに着工されたものについてはこの限りではない。」

【正解:×

◆確認済証交付後の計画変更は、計画変更の確認が必要

 これまでは、確認済証を交付された建築物等の建築計画を変更する場合は、地域によりバラツキがあり、増築する場合は増築申請、その他の変更については報告などで建築基準規定に適合するかチェックして対処してきました。

 しかし、法改正で、着工しているかどうかを問わず、建築物等の建築計画を変更するときは、軽微な変更を除き、変更をした部分の工事を行う前に、原則として計画変更の確認を受けることになりました。これにより、なし崩し的な計画変更にメスが入れられることになったわけです。これは国土交通省令で規定する軽微な変更を除き、計画変更するたびに確認を受けることになっています。(法6条1項の後半部分)

 本問では、着工していれば、確認は要らないといっているため、×になります。 

また、100平方メートル超の特殊建築物への用途変更の場合での計画変更、さらに、大規模修繕・大規模模様替えの場合での計画変更においても、上と同じく、計画変更するときには、計画変更の確認が必要になります。

<届出になるもの>

 建築物の敷地、構造、建築設備に関する計画変更以外のもの、例えば、工事完了予定日、建築主、工事監理者などの変更の場合は、計画変更の確認の申請ではなく届出をすることになっています。


引き続き、建築確認の問題3を解く

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