法令上の制限 基礎編
建築基準法・道路規制の問題2 敷地・建築物と道路の関係
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
× | ○ | × | × | ○ |
●平成15年12月19日改正施行で新たに追加されたもの |
(その敷地が4メートル未満の道路にのみ接する建築物に対する制限の付加) 第43条の2 地方公共団体は、交通上、安全上、防火上又は衛生上必要があると認めるときは、その敷地が第42条第3項の規定により水平距離が指定された道路にのみ二メートル(前条第二項に規定する建築物で同項の条例によりその敷地が道路に接する部分の長さの制限が付加されているものにあつては、当該長さ)以上接する建築物について、条例で、その敷地、構造、建築設備又は用途に関して必要な制限を付加することができる。 → 2項道路への接道義務(2m以上)を満たしていても,特定行政庁より中心線からの水平距離(境界線)が指定された道路にのみ敷地が接している建築物については,敷地、構造、建築設備又は用途に関して条例で必要な制限を付加することができる。 |
都市計画法の改正により創設された準都市計画区域の区域内でも都市計画区域と同じ規制が適用されます。 |
次のそれぞれの記述は、建築基準法の規定によれば○か、×か。 |
1.「建築物の敷地は、原則として幅員4m以上の道路に接しなければならないが、
この幅員については、地方の特殊性等により加重されることはない。」H6-22-1
【正解:×】
◆接道義務の道路の幅員は原則、4m 建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない。 この道路は、原則として幅員4m以上の道路でした。 しかし、この4mは、42条の道路の定義にもあったように、6mにすることもできました。 特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により 必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内 においては、六メートル この但し書があるため、本設問は不適切になります。 |
【類題】 1.建築物の敷地は、原則として幅員6m以上の道路に接していなければならない。 H8-25-2 【正解:×】 |
2.「建築物の敷地は、原則として道路に2m以上接していなければならないが
その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準
に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がな
いと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについてはこの限りではない。」
▲この設問は、H8-25-1を修正しました。
【正解:○】
◆接道義務 設問文の記述の通りです。 <参照条文> 建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない。ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。(43条1項) <法改正対策> 【改正前】43条ただし書き 建築物の周囲に広い空地があり、その他これと同等の状況にある場合で安全上 支障がないときは、この限りでない。 【改正後】43条ただし書き その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準 に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がな いと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについてはこの限りではない。
▲この設問は、平成8年問25の肢問1を修正しました。原文では、以下のように なっています。(この箇所は改正前に出題されました) 「建築物の敷地は、原則として道路に2m以上接していなければならないが その建築物の周囲に広い空地がある場合等で、安全上支障がないときは この限りではない。」 |
●類題 |
1.「建築物の敷地は、必ず幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない。」 H12-24-2 |
【正解:×】
上記のように、例外規定があるため、「必ず」と言っているので、×になります。 |
3.「建築物の敷地が幅員4m以上の道路に2m以上面していれば、その道路が自動車
専用道路であっても、その建築に制限を受けることはない。」H4-22-2
【正解:×】
◆自動車専用道路 建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならないのですが、 この規定での道路には、 1.自動車のみの交通の用に供する道路 2.高架の道路その他の道路であつて自動車の沿道への出入りができない構造のものとして政令で定める基準に該当するもの(特定高架道路等)で地区計画の区域内の一定のもの などは、含まれていません。(43条1項に記載) 接道義務は消火活動や避難経路の確保のためにあるもので、いくら道路に接しているといっても、その道路が自動車専用道路では、役に立ちません。 つまり、自動車専用道路に2m以上面していても、接道義務を果たしているとはいえず、建築に制限を受けます。したがって、「その建築に制限を受けることはない」というのは誤りです。 ▼原則として、都市計画区域・準都市計画区域では、建築基準法の「道路」〔上記の2つを除く。〕に接する土地でなければ、建築物が建てられません。 |
●地方公共団体による制限の付加 |
建築物の敷地が幅員4m以上の道路に2m以上面していても、
・建築物の用途 ・又は規模の特殊性により、 接道義務の建築基準法の規定だけでは避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては、地方公共団体は、条例で、敷地・建築物と道路との関係について必要な制限を付加することができる、となっています。 ←建築基準法・第43条2項 具体的な制限の付加の中身は、 ・敷地の接する道路の幅員 (幅員4m以上というのを変更する)、 となっています。 この箇所は、平成12年に出題されました。 → 参照・道路の問題・4の設問1 |
4.「現存の住宅を取り壊して、同一敷地に従前と同一規模の住宅を建てるので
あれば、前面道路の幅員がいかほどであっても、建築基準法に違反することは
ない。」 H4-22-1
【正解:×】
◆既存不適格建築物 都市計画区域に編入される以前から、この住宅があったものと仮定します。 例えば、現在住んでいる住宅が、道路に接していても、その道路が2項道路(幅員が4m未満)であれば、セットバックしなければならないため、取り壊して同一敷地に従前と同一規模の住宅を建てることができなくなることがあります。 また、その住宅の敷地の周囲の状況によっては、同一敷地に従前と同一規模の住宅を建てたら、接道義務が果たせなくなる場合も考えられます。 このように、その住宅を建築当時は問題がなくても、現在と同じ敷地に従前と同一規模の住宅を建てることができなくなることがあります。 このような建物を「既存不適格建築物」と言います。このような場合は、同一敷地に従前と同一規模の住宅を建てたら、建築基準法に違反することになります。 |
5.「都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域であっても、都道府県知事が
関係市町村の意見を聴いて指定する区域内では、地方公共団体は条例で、
建築物の敷地は、原則として道路に2 m 以上接していなければならないと定める
ことができる。」(類・昭和58-22-3)
【正解:○】
◆両区域外で特定行政庁が指定する区域 接道義務の規定は、都市計画区域及び準都市計画区域内に限り適用するとされていますが(建築基準法・41条の2)、同時に、都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域であっても、都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域内においては、地方公共団体は、土地利用の状況等を考慮し、適正かつ合理的な土地利用を図るため必要と認めるときは、政令で定める基準に従い、条例で必要な制限を定めることができます。(建築基準法・68条の9) しかし、建築基準法の規定による制限よりも厳しいものにすることはできません。(施行令・136の条の2の9・1項1号) |
●関連事項(住居系地域での壁面線等の指定→容積率の緩和) |
壁面線 |
第一種・第二種低層住居専用地域内における外壁の後退距離 |
●条文チェック −建築基準法43条 |
(敷地等と道路との関係) 第43条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。)に2メートル以上接しなければならない。ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。 一 自動車のみの交通の用に供する道路 二 高架の道路その他の道路であつて自動車の沿道への出入りができない構造のものとして政令で定める基準に該当するもの(次条第1項において「特定高架道路等」という。)で、地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域のうち都市計画法第12条の11 の規定により建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められている区域に限る。)内のもの 2 地方公共団体は、特殊建築物、階数が3以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物又は延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計。)が千平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により、前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては、条例で、必要な制限を付加することができる。 |