法令上の制限 基礎編
建蔽率のガイダンス―急がば、回れ
●集団規定(容積率・建ぺい率・高さ制限・道路関連規定等)が適用される区域 |
・都市計画区域, ・準都市計画区域, ・都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域のうち「知事指定区域」,「準景観地区」(ただし,準景観地区内では,建築物の高さの最高限度・最低限度,壁面の位置の制限,建築物の敷地面積の最低限度のうち必要な制限) |
●建ぺい率制限とは何か? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●建ぺい率の意味
大雑把に言えば、容積率が垂直方向の高さに関連するのに対して、 建ぺい率は、「建築物の水平方向の断面積がその敷地の中で占める割合」 を言います。 例えば、建ぺい率が10/10なら、敷地いっぱいに建築物が建てられますが、 建ぺい率が3/10なら、その敷地の3/10しか、建築物を建てるのに使えないことに なります。この場合、敷地の7/10は庭か、空地になります。
また、建ぺい率が決まっていないと、土地を買っても、どのくらいの広さの建物を建てられるのか、わからないことになります。 *** ●建ぺい率の遷移 建ぺい率によっても、街並みは変わります。 横軸を低層住居専用地域から工業専用地域までの用途地域にとり、 縦軸を建ぺい率の数値にとると、分布としては、きれいな正規分布になります。 横軸の用途地域に沿って、見ていきましょう。 低層住居専用地域の建ぺい率は、1種・2種とも3/10から6/10の間で 都市計画で定められており、お屋敷町のイメージ通りに比較的広い庭があります。 住居地域の建ぺい率は、5/10、6/10、8/10で低層住居専用地域と比べると、幾分、建築物の底の部分の面積が敷地に占める面積は広くなり、庭や空地は少なくなります。 さらに、近隣商業地域の建ぺい率では、6/10、8/10になります。庭や空地になるところはかなり少なくなります。場合によっては、この地域では建ぺい率が10/10になることもあります。こうなると庭は全くなくなります。商業地域の建ぺい率では、8/10のみになります。ここでも10/10になることがあります。 しかし、ここが建ぺい率のピークで、準工業地域になるとまた、5/10、6/10、8/10に戻ります。住居系では、建ぺい率の数値が小さいのは庭などが広い為、「ゆとり」や通風、採光、日照などの「良好な住居環境」を意味していましたが、工業系では違います。確かに、通風、採光、日照などの面もありますが、グローバルな環境面、防災面への配慮の度合いが大きくなります。 工業地域は、5/10、6/10 になります。住居地域・準住居地域・準工業地域の建ぺい率で8/10を除いたものになっています。(環境面、防災面への配慮) 工業専用地域になると、3/10から6/10の間と始めの低層住居専用地域の数値に戻りますが、これは主に火災や地震などの天変地異の際に被害が大きくならないようにしているわけです。例えば、ヘリコプターに乗って上空から、工業専用地域を見ると、コンビナートの間にけっこう空地になっているところが多いのがわかります。工業系の建築物や工作物がギッシリ詰まっていたらどうでしょうか。 火災になった時に、延焼するのは当然のこと、それより何より、巨大な火焔の中で救助にも行けなくなります。空地があれば、一つの工作物・建築物に起きた異変を処理しやすくなります。このように、建ぺい率の数値一つで人命にも、係ってくるのです。 行政側は、この建ぺい率を使って街並みを計画的にコントロールすることもできます。一つの用途地域だけでなく、複数の用途地域の建ぺい率全体で、その都市の姿そのものを管理しているようにも思えます。
**** ●建ぺい率の超・暗記法
*** ●建ぺい率の問題を解く時の注意事項 建ぺい率の問題では、「問題文での言いまわし」に足をすくわれることが多いように思われます。 実際に解いてみて、解説をご覧になればわかりますが、ここは思い込みで問題文を読むと危険です。宅建試験での言葉の使い方に慣れるようにしてください。 もちろん、わかっている方から見れば、これは老婆心だと思いますが、意外に引っかかっている方は多いようです。 |