法令上の制限 基礎編
高さの規制に関する問題2 斜線制限−建築物の各部分の高さの制限
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | ○ |
都市計画法の改正により創設された準都市計画区域の区域内でも都市計画区域と同じ規制が適用されます。 |
次のそれぞれの記述は、建築基準法の規定によれば○か、×か。 |
1.「道路斜線制限(建築基準法第56条第1項第1号の制限をいう。)は、用途地域の
指定のない区域内については、適用されない。」H5-23-1
【正解:×】
◆道路斜線 日本では、道路がまだ狭い所もあります。このような事情のある日本では、前面道路の幅員や用途地域(容積率が用途地域によって異なるに応じて建築物の高さを規定して道路側の上部空間を確保しておかないと、衛生的にも、また火事や災害などへの対処にも問題が生じます。これが道路斜線制限の必要な理由です。 この趣旨から考えますと、都市計画区域内で道路斜線制限がない地域があるというのはおかしいと思いませんか? 道路斜線制限は、都市計画区域内で用途地域の指定のない区域でも、適用されます。 また、準都市計画区域内(用途地域の指定のない区域もあります)でも、高さの規制は適用されています。 【類題】H3-24-3 |
2.「隣地斜線制限(建築基準法第56条第1項第2号の制限をいう。)は、第一種
低層住居専用地域及び第一種中高層住居専用地域内については、適用されない。」
H5-23-2
【正解:×】
◆隣地斜線制限 1.隣地斜線制限は、主として隣地間の通風、採光などの環境を確保するためのものです。 このため、もともとユッタリと作られているお屋敷町のイメージの第一種・第二種低層住居専用地域には隣地斜線制限はなじみません。 2.また、前にも申し上げましたように、高さの制限数値が異なることからも言えます。 隣地斜線制限での立ち上がりの高さは20mまたは31mです。 しかし、低層住居専用地域では絶対的高さの制限(10mまたは12m)があって、隣地斜線制限の立ち上がりの高さの20mまたは31mより低いため、隣地斜線制限の適用はありません。 |
3.「北側斜線制限(建築基準法第56条第1項第3号の制限をいう。)は、第一種
低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・
第二種中高層住居専用地域内に限り、適用される。」H5-23-3
【正解:○】
◆北側斜線制限 北側斜線制限は、北側にある建築物の日照などを確保するためのものです。 北側斜線制限は、住居専用地域(第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域)でのみ適用されます。 <注意> ただ、日影規制が適用される第一種・第二種中高層住居専用地域では、日影規制のほうが厳しいために、北側斜線制限は適用されません。 →日影規制対象区域内の第一種・第二種中高層住居専用地域には適用されない。 |
4.「道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限が定められていても、政令で定める
位置において各斜線制限により確保される採光・通風等と同程度以上の採光・通風等
が確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、当該斜線
制限を適用しない。」法改正により創設
【正解:○】
◆各斜線制限の適用除外(56条7項) 平成14年の法改正により新たに作られた規定です。 ●天空率 施行令135条の5 確保される採光・通風等の指標として、天空率を建築基準法施行令で定義。天空率とは、政令で定める、地上の一定の位置から見上げたときの、見える空の割合を数値化したもので、天空率の高い建物は採光や通風が確保されるとし、一定の条件を満たせば、その区域の斜線制限に適合しない建築物でも建築可能になります。 |
●斜線制限のまとめ | |
北側斜線制限 | 低層住居専用地域、中高層住居専用地域のみに適用。
日影規制が適用される第一種・第二種中高層住居専用地域では、日影規制のほうが厳しいために、北側斜線制限は適用されません。 ・建築物のある敷地の北側の土地の日照・通風の確保を目的 |
隣地斜線制限 | ・低層住居専用地域では
高さの制限があるため、隣地斜線の適用はない。
・以下より低い建築物には適用がない。 住居系の適用地域=立上り20 m その他の地域=立上り31 m ・隣地間の通風、採光などの環境を確保 |
道路斜線制限 | 全用途地域および用途地域の指定のない都市計画区域・準都市計画区域に適用。
・道路側の上部空間を確保 |
▼適用される用途地域の範囲
北側斜線制限<隣地斜線制限<道路斜線制限 法改正により、準都市計画区域にも適用されます。 |
▼都市再生特別地区(都市計画法・8条1項・4の2号)
都市再生特別地区内の建築物では、斜線制限の規定、高度地区の規定は適用されません。(建築基準法60条5項) また、日影規制については、対象区域外にある建築物とみなして適用されます。 |