法令上の制限 基礎編
高さの規制に関する問題3 日影規制
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | ○ |
都市計画法の改正により創設された準都市計画区域の区域内でも都市計画区域と同じ規制が適用されます。 |
日影規制が適用される建築物 | |
低層住居専用地域 | 軒の高さが7mを超えるか、又は、
地階を除いて3階以上の建物・・・(1) |
低層住居専用地域以外の適用区域
低層住居専用地域以外の5つの住居系 +近隣商業+準工業 |
高さが10 m超・・・(2) |
用途地域の指定のない区域 | ・・・(1),(2)のどちらか
地方公共団体が条例で決めます |
次のそれぞれの記述は、建築基準法の規定によれば○か、×か。 |
1.「日影規制の対象となる区域については、その区域の存する地方の気候及び風土、
土地利用の状況等を勘案して、都市計画で定められる。」H7-24-1
【正解:×】
◆日影規制の対象区域(建築基準法第56条の2) ・建築物の近隣の日照を確保するのが日影規制の制度趣旨です。 ・日影規制の対象区域は、その区域の存する地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して地方公共団体が条例で指定します。問題文では「都市計画で定められる」となっているため、不適切です。 ・建築基準法では、地方公共団体が日影規制をすることが可能な区域が書いてあるという位置づけです。その中でどのように日影規制の区域を指定するかは、地方公共団体に任されているわけです。 ・都市計画法の改正により創設された準都市計画区域にも、日影規制の対象区域を定めることができます。 ・都市計画区域及び準都市計画区域内では、 低層住居専用地域、中高層住居専用地域、住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域、用途地域の指定のない区域内で、地方公共団体が条例で指定する区域。 (商業地域・工業地域・工業専用地域を除く。) ・都市計画区域及び準都市計画区域外(両区域外)では、 両区域外であっても、都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域内においては、地方公共団体は、当該区域内における土地利用の状況等を考慮し、適正かつ合理的な土地利用を図るとため必要と認めるときは、政令で定める基準に従い、条例で、日影規制について定めることができるとされています。(法68条の9,施行令136条の2の8) |
都市計画区域 | 低層住居専用地域,中高層住居専用地域,住居地域, 準住居地域,近隣商業地域,準工業地域, 用途地域の指定のない区域のうちで, 地方公共団体が条例で日影規制の対象区域を指定する。 (商業地域・工業地域・工業専用地域を除く。) |
準都市計画区域 | |
両区域外 (都市計画区域及び 準都市計画区域外) |
都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域内で, 地方公共団体が条例で日影規制の対象区域を指定する。 |
●類題 |
1.「日影規制は、都市計画区域のうち、地方公共団体が条例で指定する区域内にのみ適用される。」(昭和59-24-1) |
【正解:×】 日影による中高層の建築物の高さの制限は、地方公共団体が条例で指定する区域内の土地に生じる日影を一定時間内に制限しようとするものです。 都市計画区域内に限り適用されるのではなく、都市計画区域外でも、 ・準都市計画区域 ・都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域 (68条の9) に定めることができるので、本設問は×になります。 |
2.「建築物の敷地が道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接する場合で
あっても、日影規制の緩和に関する措置はない。」H7-24-4
【正解:×】
◆日影規制の緩和措置(建築基準法第56条の2の第3項) 条文では、以下のようになっています。 建築物の敷地が道路、線路敷、川又は海その他これらに類するものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合その他これらに類する特別の事情がある場合における日影規制の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。(施行令・135条の12) もともと、日影規制は、中高層建築物によって、その建築物の周囲の土地に日影を一定時間以上生じさせないようにするための規定です。つまり、その建築物のある敷地の近隣が海や川の場合は、日影時間を厳格に制限しなくてもいいだろうということです。 問題文では、「日影規制の緩和に関する措置はない」となっているので不適切です。 ▼ 特定行政庁が許可した場合、日影規制は適用されない。 また、第56条の2の第1項では、日影規制の区域内にある建築物であっても、 特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合においては、この限りでない。 となっています。 |
●類題 |
1.「敷地が公園に接している場合には、日影による高さの制限の適用の緩和措置が認められている。」(昭和55-22-2) |
【正解:×】 建築基準法・56条の2・第3項、同施行令135条の12には、日影による中高層の建築物の高さの制限の緩和の規定がありますが、その中に、『敷地が公園に接している場合の日影による高さの制限の緩和措置』の規定はありません。 |
3.「同一の敷地内に2以上の建築物がある場合においては、これらの建築物を一の
建築物とみなして、日影規制が適用される。」H7-24-3、昭和55-22-3
【正解:○】
◆同一敷地内に2つ以上の建築物がある場合の日影規制 日影規制には、「同一敷地内に2以上の建築物がある場合には、これらの建築物はひとつの建築物とみなして日影規制を適用する」という規定があります。(56条の2の第2項) 例えば、その敷地に2つの建築物があり、一方は日影規制の対象となる高さのA棟、もう一方は日影規制の対象にならない高さのB棟だとします。 日影規制とは、日影を生じさせるのをコントロールするものです。高さの低いB棟の日影に、高さの高いA棟の日影が覆い重なることもありますし、B棟の日影面積よりもA棟の日影面積のほうが大きいわけですから、複合する日影についても考慮する必要があります。 このため、B棟単独では日影規制の対象にならなくても、A棟・B棟を一つのものとしてまとめて取り扱い、B棟も日影規制の対象になります。 |
4.「日影規制(建築基準法第56条の2の制限をいう。)の対象区域外にある建築物
であっても、高さが10mを超えるもので、冬至日において対象区域内の土地に日影
を生じさせるものは、当該対象区域内にある建築物とみなされ、日影制限の規定を
適用される。」頻出問題
【正解:○】
◆対象区域外だが、近隣の対象区域内の土地に日影を生じさせる場合 生活をしていれば「太陽の恵み」は欲しいですよね。 もしも、自分の土地や建物に、近隣の建築物によって日影が生じて日が当たらなかったら、どうでしょうか。まして、その建築物が日影規制の対象区域外にあるとしたら? このようなことのないように、建築基準法では、例え、その建築物が、日影規制の対象区域外にあっても、 ・高さが十メートルを超える建築物で、 ・冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるもの は、当該対象区域内にある建築物とみなして、日影規制の規定を適用します。 |
●類題 |
1.「対象区域外にある建築物で、対象区域内の土地に日影を生じさせるものは、すべて日影による中高層の高さの制限の適用を受ける。」(昭和55-22-4) |
【正解:×】 対象区域内の土地に日影を生じさせるならば、「対象区域外のすべての建築物」に日影規制が適用されるのではなく、対象区域外の建築物のうち、高さが10 m を超える建築物で、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものに限られています。 ▼対象区域外にある高さが10 m を超える建築物で、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものは、当該対象区域内にある建築物とみなして、日影規制を適用します。 |
▼特定行政庁の許可
日影規制の適用を受ける区域内にある建築物でも、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合は、日影規制は適用されません。 |
▼都市再生特別地区(都市計画法・8条1項・4の2号)
都市再生特別地区内の建築物では、斜線制限の規定、高度地区の規定は適用されません。(建築基準法60条の2の5項) また、日影規制については、対象区域外にある建築物とみなして適用されます。 ▼高層住居誘導地区(建築基準法・57条の2・第4項) 高層住居誘導地区内の建築物では、対象区域外にある建築物とみなして日影規制が適用されます。→設問4、建築基準法・56条の2・第4項 ▼特定街区(建築基準法・60条・第3項) 特定街区内の建築物では、日影規制が適用されません。 都市再生特別地区と高層住居誘導地区では、日影規制の対象区域外として日影規制が適用されますが、特定街区では、対象区域外としても扱われないことに注意してください。 |
▼建築基準法での特定街区(建築基準法・60条) (第1項)特定街区内においては、建築物の容積率及び高さは、特定街区内に関する都市計画において定められた限度以下でなければならない。 (第2項)壁面の位置の規定 (第3項)特定街区内の建築物については、第52条から前条までの規定は適用しない。 これにより、建築基準法での容積率(52条)・建ぺい率(53条)・建築物の敷地面積(53条の2)・建築物の各部分の高さ(56条)・日影規制(56条の2)などの規定が適用されません。 |