法令上の制限 基礎編

高さの規制に関する問題4 日影規制と用途地域

正解・解説


【正解】

× × × ×
●集団規定(容積率・建ぺい率・高さ制限・道路関連規定等)が適用される区域
 ・都市計画区域
 ・準都市計画区域
 ・都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域のうち「知事指定区域」,「準景観地区」(ただし,準景観地区内では,建築物の高さの最高限度・最低限度,壁面の位置の制限,建築物の敷地面積の最低限度のうち必要な制限)

次のそれぞれの記述は、国土利用計画法の規定によれば○か、×か。

ただし、地方自治法に基づく指定都市の特例については考慮しないものとする。

1.「日影規制は、第1種低層住居専用地域においては、高さが7mを超える

建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物に適用される。」

【正解:×クドイ?

◆第1種・第2種低層住居専用地域の日影規制

▼低層住居専用地域では

軒の高さ7mを超えるか、又は、地階を除いて3階以上の建物 ・・・(1)

→本設問では「高さ7mを超える」となっているので不適切。

▼低層住居専用地域以外の適用区域では高さが10 m超・・・(2)

(低層住居専用地域以外の5つの住居系+近隣商業+準工業)

用途地域の指定のない都市計画区域 は、・・・(1),(2)のどちらか

→ゴロ合わせ 奈々さんは十兆円(7軒、3階、10 m超)

●類題
1.「地方公共団体が条例で指定する対象区域内にあっては、高さが7 m を超える建築物は、すべて日影による高さの制限の適用を受ける。」(昭和55-22-1)

【正解:×

 日影による中高層の建築物の高さの制限は、確かに地方公共団体が条例で対象区域を指定します。しかし、その適用を受けるのは、以下の通りであって、『高さが7 m を超える建築物は、すべて日影による高さの制限の適用を受ける』のではありません。

▼低層住居専用地域では

軒の高さが7mを超えるか、又は、地階を除いて3階以上の建物

▼低層住居専用地域以外の適用区域では高さが10 m超

2.「第一種中高層住居専用地域内においても、高さが9mの建築物であれば、

日影による中高層の建築物の高さの制限を受けない。」H3-24-4

【正解:

◆中高層住居専用地域

→ゴロ合わせ 奈々さんは十兆円(7軒、3階、十兆円)

 第1種・第2種中高層住居専用地域内では、高さ10mを超える建築物が日影規制を受けます。本設問のケースでは、高さが9m<高さ10m より、日影規制は受けません

【類題】H7-24-2

●類題
1.「住居地域内で、かつ、日影による中高層建築物の高さの制限が地方公共団体の条例で定められた区域内にあっても、高さ9 m の建築物は、当該制限の適用を受けない。」(昭和57-24-1)

【正解:高さが9m<高さ10m より、日影規制は受けません

3.「日影制限(建築基準法第56条の2の制限をいう。)は、商業地域内においても、

適用される。」 H5-23-4

【正解:×

◆日影制限の適用されない用途地域

商業地域・工業地域・工業専用地域」には、原則として日影制限は適用されません

→ゴロ合わせ 商工は、好戦的

建築基準法56条の2の4項により、日影規制の対象区域外である商業地域内の建築物でも日影規制が適用されることはありますが、その場合は例外的なものです。(下の類題参照。)本設問では、原則を訊ねていると考えてください。

●類題
1.「商業地域内にある建築物であっても、日影による中高層の建築物の高さの制限を受けることがある。」(昭和60-21-2)

【正解:

商業地域は日影規制の対象区域外ですが、日影規制の対象区域外でも、

高さが十メートルを超える建築物で、

冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるもの

は、対象区域内にある建築物とみなして、日影規制の規定を適用することになっています。(56条の2の4項)

上の平成5年の問題は、明らかにこの昭和60年の問題を見て作成しています。
問題文の末尾でニュアンスが異なりますのでご注意を。

4.「近隣商業地域と第1種住居地域にまたがる敷地に建築物を建築する場合に

おいて、地方公共団体の条例により、建築基準法第56条の2の日影による中高層

の建築物の高さの制限が適用されることはない。」H4-23-3

【正解:×

◆異なる用途地域にまたがる敷地

 「2つ以上の用途地域にまたがる敷地の日影規制」と聞いて怖がることはありません。気持をラクにしてください。本設問で訊いているのは、日影規制の適用があるかどうかです。

 日影規制のない用途地域は、ゴロ合わせ 商工は、好戦的(商業地域、工業地域、工業専用地域)でした。

 つまり、近隣商業地域と第1種住居地域は日影規制を受けます

 すなわち、本設問は不適切と言う事になります。

 宅建の試験では、せいぜいその用途地域に日影規制が適用されるかどうかを知っていれば十分です。

建築基準法では、56条の2・第5項に「日影時間の制限の異なる区域の内外にわたる場合」の規定があり、施行令135条の13にその詳細が述べられています。

5.「都市計画区域及び準都市計画区域内における、用途地域の指定のない区域内

の建築物については、地方公共団体の条例により、日影による中高層の建築物の高さ

の制限を受けることはない。」

【正解:×

◆用途地域の指定のない区域にも、日影規制の適用

 用途地域の指定のない区域内でも、日影規制は、地方公共団体の条例により、適用を受けることがあります。

用途地域の指定のない区域内で、日影規制の対象となる建築物は、

軒の高さが7mを超えるか、又は、地階を除いて3階以上の建築物

または

高さ10 m 超の建築物

となっており、そのどちらかは、地方公共団体が条例で決めます。

◆この2つで日影規制の用途地域は大丈夫。

 奈々さんは十兆円(7軒、3階、10 m超)→適用建築物

 商工は、好戦的→日影規制のない用途地域 商・工・工専

 ★注意★

 地方公共団体が条例で日影規制を適用する区域を定めたところだけ、
日影規制が適用されます。

 建築基準法は、日影規制の対象となりうる用途地域を示しているだけです
したがって、建築基準法上は日影規制があってもおかしくない用途地域なのに、
地方公共団体が指定していないために、場所によっては日影規制がない
という場合もありえます。

 つまり、建築基準法には、日影規制をしてもよい用途地域の候補地が書いてあるだけで、その用途地域の全部もしくは一部に日影規制をかけるかどうかは、地方公共団体の条例次第ということになります。日照保護の必要の度合いは地域や区域によって異なるためです。

 ★盲点★

日影規制の対象区域外でも、

高さが十メートルを超える建築物で、

冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるもの

は、対象区域内にある建築物とみなして、日影規制の規定を適用します。


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