法令上の制限 基礎編
都市計画法(概容)に関する問題7補
地区計画・2
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
○ | × | × | ○ | ○ |
次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。 |
1.「地区整備計画(市街化調整区域に係るものを除く)においては、容積率の最高限度
又は最低限度を定めることができる。」(H1-19-4改)
【正解:○】 ◆地区整備計画で定めることができるもの。(都市計画法第12条の5第7項) 地区整備計画においては、次に掲げる事項(市街化調整区域内において定められる地区整備計画については、建築物の容積率の最低限度、建築物の建築面積の最低限度及び建築物等の高さの最低限度を除く。)のうち、地区計画の目的を達成するため必要な事項を定めるものとする。 1.地区施設の配置及び規模 2.建築物等の用途の制限、建築物の容積率の最高限度又は最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の敷地面積又は建築面積の最低限度、壁面の位置の制限、壁面後退区域における工作物の設置の制限、建築物等の高さの最高限度又は最低限度、建築物等の形態又は色彩その他の意匠の制限、建築物の緑化率の最低限度その他建築物等に関する事項で政令で定めるもの 3.現に存する樹林地、草地等で良好な居住環境を確保するため必要なものの保全に関する事項 4.前3号に掲げるもののほか、土地の利用に関する事項で政令で定めるもの
<参考>地区整備計画 (都市計画法第12条の4第2項) 地区計画等については、地区計画等の種類、名称、位置及び区域その他政令で定める事項を都市計画に定めるものとする (都市計画法第12条の5第2項) 地区計画については、前条第2項に定めるもののほか、当該地区計画の目標その他当該区域の整備、開発及び保全に関する方針並びに主として街区内の居住者等の利用に供される道路、公園その他の政令で定める施設(以下「地区施設」という。)及び建築物等の整備並びに土地の利用に関する計画(以下「地区整備計画」という。)を都市計画に定めるものとする。 |
【類題】 地区計画を都市計画に定める際、当該地区計画の区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることができない特別の事情があるときは、当該区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることを要しない。 |
【正解:○】 都市計画法12条の5 第8項の前半部です。 |
2.「市街化調整区域内において定められる地区整備計画については、容積率・
建築面積及び高さの最低限度を定めることができる。」(類・昭和57-20-3)
【正解:×】 ◆市街化調整区域の地区整備計画で定められないもの ・建築物の容積率の最低限度、 ・建築物の建築面積の最低限度 ・建築物等の高さの最低限度 市街化調整区域は市街化を“抑制”する地域なので、「〜以上の建物じゃな きゃダメ」などとするのは、目的に反します。(都市計画法第12条の5第7項) ◆市街化調整区域の地区整備計画で定めることができるもの 建築物等の用途の制限、建築物の容積率の最高限度、建築物の建ぺい率の最高限度、建築物の敷地面積の最低限度、壁面の位置の制限、壁面後退区域における工作物の設置の制限、建築物等の高さの最高限度その他建築物、建築物等の形態又は色彩その他の意匠の制限、建築物の緑化率の最低限度等に関する事項 |
3.「地区整備計画が定められている地区計画の区域内において建築物の建築を行う
場合には、市町村長の許可が必要であり、市町村長は、地区計画の内容と建築行為
の内容とが適合するとき許可をすることができる。」(H9-17-4)
【正解:×】 【頻出! 地区整備計画・再開発等促進区・開発整備促進区が定められている区域内での制限】 許可ではなく、届出です。(都市計画法58条の2第1項) ●地区計画の区域内において、 再開発等促進区、開発整備促進区(いずれも12条の5・第5項2号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る)、または地区整備計画 が定められているときは、 建築物の建築、土地の形質区画の変更などの行為を行なおうとする者は、一定の場合を除き、原則として当該行為に着手する日の30日前までに、市町村長に届出なければなりません。また、市町村長は、その届出に係る行為が地区計画に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができます。(58条の2第3項) ▼届出を要する場合 → 再開発等促進区が定められている場合が追加 この規定は、法改正により、再開発等促進区が創設されたことに伴い、地区整備計画が定められている場合のほかに、再開発等促進区が定められている場合にも適用されることになりました。
▼届出なくてもよい場合
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●類題 |
1.「地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の形質区画の変更、建築物の建築等を行った者は、当該行為の後30日以内に、行為の種類、場所など一定の事項を市町村長に届け出なければならない。」(H1-19-2) |
【正解:×】
当該行為の後30日以内のため×→原則として当該行為に着手する日の30日前まで |
2.「地区計画のうち、地区整備計画が定められている区域内において、建築物の建築を行おうとする者は、一定の場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければならない。」 (H12-18-3) |
【正解:×】都道府県知事の許可×→ 市町村長への届出 |
3.「都市計画法によると、地区計画の区域(地区整備計画又は一定の再開発等促進区が定められている区域に限る」 内において、建築物の建築などを行おうとする者は、原則として、一定の事項を届け出なければいけないこととされているが、これに関する次の記述のうち正しいものはどれか。
(1) 届出は都道府県知事に対して行う。 (2) 届出は建築等に着手する前日までに行う。 (3) 軽易な行為であっても届出は必要である。 (4) 都市計画事業の施行として行う行為については届出不要である。(昭和61-20) |
【正解:4】上記の解説参照。 |
◆33条の開発許可基準 都市計画法・第33条1項5号では、 開発許可基準として、開発許可申請に係わる開発区域内の土地について、地区整備計画などが定められている地区計画等が定められているときは、 予定建築物等の用途又は開発行為の設計が当該地区計画等に定められた内容に即して定められていなければならない、とされています。 このように、地区整備計画等では、開発許可申請にあたっても注意しなければなりません。 ▼地区計画等が定められている場合全てではないことに注意してください。 以下のように、右側のものが定められている場合のみです。
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4.「沿道地区計画は、道路交通騒音により生ずる障害を防止するとともに
適正かつ合理的な土地利用が図られるように定めるものとする。」
【正解:○】 高速道路の沿道地域などをイメージしましょう。(都市計画法・13条1項・16項) 沿道地区計画とは、道路交通騒音の軽減と適正かつ合理的な土地利用の促進を目的として、 沿道地区で一体的かつ総合的な市街地整備を進めるため、区市町村が定める計画のことを言います。 ▼沿道地区計画で進める一体的かつ総合的な市街地整備とは何か? 都市計画法の規定では漠然としているため、沿道整備法で鮮やかな印象を焼き付けましょう。 具体的には、当該区域及びその周辺の地域について、道路交通騒音による生じる障害を防止し、又は軽減するため、以下において必要な措置をとることが規定されています。(幹線道路の沿道の整備に関する法律・9条4項) ・遮音上有効な機能を有する建築物等または緑地その他の緩衝空地を沿道整備道路等に面して整備する。 ・当該道路に面する建築物や道路交通騒音の著しい土地の区域に存する建築物について、道路交通騒音により生ずる生涯を防止し、または軽減するため、騒音対策上有効な構造とする。 ・ほかの都市計画ととあわせて効果的な配置及び規模の公共施設を備えた健全な都市環境のものとなるように定める。 ・当該区域の特性にふさわしい用途、容積、高さ、配列などを備えた適正かつ合理的な土地の利用形態となるように定める。 ▼「沿道整備道路」・・・沿道整備法によって都道府県知事が指定します。 |
5.「集落地区計画は、営農条件と調和のとれた居住環境を整備するとともに、
適正な土地利用が図られるように定めるものとする。」
【正解:○】 集落地区計画は、集落地域整備法に基づいて「集落地域」に位置づけられた地区で、営農条件と調和のとれた良好な居住環境の確保と適正な土地利用を図るため、建築物の用途や形態、地区内の居住者が利用する公共施設(道路や公園等)について、総合的かつ一体的に定める都市計画です。(都市計画法・13条1項・17項) ▼集落地域の要件 都市計画区域(市街化区域を除く)内かつ農業振興地域内にある拠点的集落で、周辺に農用地が相当規模あって、当該地域の土地利用の状況等からみて、営農条件及び居住環境の確保に支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認められ、当該地域の自然的経済的社会的諸条件を考慮して、調和のとれた農業の生産条件の整備と都市環境の整備とを図り、及び適正な土地利用を図る必要があると認められる地域(集落地域整備法・第3条) |
●再開発等促進区ー都市計画法・第12条の5・第3項 ⇒ 関連問題はこちら
法改正により、従来の都市計画法の「住宅地高度利用地区計画」、都市再開発法の「再開発地区計画」が廃止されて「地区計画」に統合され、 地区計画の区域内の全部または一部に従来の住宅地高度利用地区等に相当する区域として「再開発等促進区」を都市計画で定めることができるようになりました。 再開発等促進区とは、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とを図るため、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備を実施すべき区域です。(土地利用の転換を円滑に推進する。) このエリアでは、建築物の用途や容積率、高さ制限などを緩和できるようになります。 このエリアは、次に掲げる条件に該当する土地の区域について定めます。 一 現に土地の利用状況が著しく変化しつつあり、又は著しく変化することが確実であると見込まれる土地の区域であること。 二 土地の合理的かつ健全な高度利用を図るため、適正な配置及び規模の公共施設を整備する必要がある土地の区域であること。 三 当該区域内の土地の高度利用を図ることが、当該都市の機能の増進に貢献することとなる土地の区域であること。 四 用途地域が定められている土地の区域であること。 ▼地区計画の都市計画基準(都市計画法13条1項14号) 地区計画は、公共施設の整備、建築物の建築その他の土地利用の現状及び将来の見通しを勘案し、当該区域の各街区における防災、安全、衛生等に関する機能が確保され、かつ、その良好な環境の形成又は保持のためその区域の特性に応じて合理的な土地利用が行われることを目途として、当該計画に従つて秩序ある開発行為、建築又は施設の整備が行われることとなるように定めること。この場合において、次のイからハまでに掲げる地区計画については、当該イからハまでに定めるところによること。 イ 市街化調整区域における地区計画 市街化区域における市街化の状況等を勘案して、地区計画の区域の周辺における市街化を促進することがない等当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないように定めること。 ロ 再開発等促進区を定める地区計画 土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とが図られることを目途として、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備が実施されることとなるように定めること。この場合において、第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域については、再開発等促進区の周辺の低層住宅に係る良好な住居の環境の保護に支障がないように定めること。 ハ 開発整備促進区を定める地区計画 特定大規模建築物の整備による商業その他の業務の利便の増進が図られることを目途として、一体的かつ総合的な市街地の開発整備が実施されることとなるように定めること。この場合において、第二種住居地域及び準住居地域については、開発整備促進区の周辺の住宅に係る住居の環境の保護に支障がないように定めること。 |
●地区計画等の主な狙い 集落地区計画(集落地域整備法 第5条第1項の規定) 集落地域の土地の区域で、営農条件と調和のとれた良好な居住環境の確保と適正な土地利用を図るため、当該集落地域の特性にふさわしい整備及び保全を行うことが必要と認められるものについては、都市計画に集落地区計画を定めることができる。 → 集落地域の土地の区域で、農地と居住する地区を区分けして、営農条件と調和のとれた良好な居住環境の確保と適正な土地利用を図る。 防災街区整備地区計画 (密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第32条第1項の規定) 火事や地震の際の延焼防止や避難上確保されるべき機能の整備を図る。 沿道地区計画(幹線道路の沿道の整備に関する法律第9条第1項の規定) 幹線道路の沿線などで、道路交通騒音により生ずる障害を防止する。 → 地区計画では、建築基準法にも規定があります。 建築基準法68条の2、建築基準法施行令136条の2の4 |