Brush Up! 権利の変動篇
相隣関係の過去問アーカイブス 相隣関係 (平成16年・問7)
次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。(平成16年・問7) |
1.「土地の所有者は,隣地から雨水が自然に流れてくることを阻止するような工作物を設置することはできない。」 |
2.「土地の所有者は,隣地の所有者と共同の費用をもって,境界を表示すべき物を設置することができる。」 |
3.「土地の所有者は,隣地から木の枝が境界線を越えて伸びてきたときは,自らこれを切断できる。」 |
4.「土地の所有者は,隣地から木の根が境界線を越えて伸びてきたときは,自らこれを切断できる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
●相隣関係 |
所有者は,法令の制限内で,自由にその所有物の使用・収益・処分をすることができますが,土地の所有者には「使用・収益・処分は法令の制限内でなされなけばならないこと」,「相隣関係」(209条〜238条)ーこの2つの制限があります。 相隣関係とは,近隣の土地の所有者間で土地利用の調整などをするためのルールです。土地が近接している以上,トラブルが生じやすく,その防止の意味合いもあります。 この規定は地上権者間又は地上権者と土地の所有者間にも準用され(267条),賃借権や永小作権にも準用されるものと解釈されています。 |
1.「土地の所有者は,隣地から雨水が自然に流れてくることを阻止するような工作物を設置することはできない。」 |
【正解:○】 ◆自然水流に対する妨害の禁止 土地の所有者は,隣地から水が自然に流れてくるのを妨げてはいけません(民法214条)。 |
2.「土地の所有者は,隣地の所有者と共同の費用をもって,境界を表示すべき物を設置することができる。」 |
【正解:○】 ◆境界標の設置 境界線上に設けた 境界標や 囲障 ( いしょう ) , 障壁 , 溝 及び 堀 など ,取り決めがなければ,相隣者の共有と推定され(民法229条), 土地の所有者は,隣地の所有者と共同の費用で,境界標を設けることができます(民法223条)。 また,その費用についても,民法では,次のように規定しています(民法224条)。
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3.「土地の所有者は,隣地から木の枝が境界線を越えて伸びてきたときは,自らこれを切断できる。」 |
【正解:×】 ◆竹木の枝の切除 土地の所有者は,隣地の竹木の枝が境界線を越えてきたときは,その竹木の所有者に,その枝を切除させることができます。土地の所有者自ら,無断でその枝を切り取ることはできません(民法233条1項)。 |
4.「土地の所有者は,隣地から木の根が境界線を越えて伸びてきたときは,自らこれを切断できる。」 |
【正解:○】 ◆根の切取り 土地の所有者は,隣地の竹木の根が境界線を越えてきたときは,その根を切り取って処分することができます(民法233条2項)。
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