Brush Up! 権利の変動篇
代理の過去問アーカイブス 平成17年・問3
顕名・代理権消滅後の表見代理・無権代理行為の追認
買主Aは、Bの代理人Cとの間でB所有の甲地の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか 。(平成17年・問3) |
ア | CがBの代理人であることをAに告げていなくても、Aがその旨を知っていれば、当該売買契約によりAは甲地を取得することができる。 |
イ | Bが従前Cに与えていた代理権が消滅した後であっても、Aが代理権の消滅について善意無過失であれば、当該売買契約によりAは甲地を取得することができる。 |
ウ | CがBから何らの代理権を与えられていない場合であっても、当該売買契約の締結後に、Bが当該売買契約をAに対して追認すれば、Aは甲地を取得することができる。 |
1.「一つ」 |
2.「二つ」 |
3.「三つ」 |
4.「なし」 |
【正解】3
ア | イ | ウ |
○ | ○ | ○ |
正答率 | 63.9% |
ア.「CがBの代理人であることをAに告げていなくても、Aがその旨を知っていれば、当該売買契約によりAは甲地を取得することができる。」 |
【正解:○】 代理人が本人のために代理意志を有していることを示さないでした意思表示の効果は代理人に帰属する。 ただし,相手方が,代理人が本人のためにすることを知り〔悪意〕,又は知ることができた〔善意無過失〕ときは,当該意思表示は直接本人に対して効力を生じる(民法100条)。 本肢では,相手方AはCがBの代理人であることを知っているので,本人Bに対して効力を生じ,Aは甲地を取得することができる。 |
イ.「Bが従前Cに与えていた代理権が消滅した後であっても、Aが代理権の消滅について善意無過失であれば、当該売買契約によりAは甲地を取得することができる。」 |
【正解:○】 代理権が消滅していたことについて相手方が善意無過失であれば,代理権消滅後の表見代理が成立し,本人は相手方に対抗することができない(民法112条)ので正しい。代理権の消滅を過失なくして知らない相手方を保護した規定である。 |
ウ.「CがBから何らの代理権を与えられていない場合であっても、当該売買契約の締結後に、Bが当該売買契約をAに対して追認すれば、Aは甲地を取得することができる。」 |
【正解:○】 代理権を有しない者が行った無権代理行為は,原則として本人にその効果が帰属することはない(無効とも有効とも,確定していない状態)が, 相手方が取消権を行使する前に,本人が相手方に対して追認すれば,有効な代理行為となり,本人にその効力を生じる(民法113条)ので正しい。 |